49 平和な日々
依然僕とのディープキスを敢行中のライレイ。
「んっ、んっ、……ちゅう」
僕の中で淑やかに暴れ回るライレイの舌。
先ほどの巨女ミキの舌と比べたらアユとメダカぐらいの物量差があるが、女の子の舌ということで、興奮度は甲乙つけがたい。
ミキの食欲による暴走に当てられてしまったのだろうか。
彼女からこんなに積極的な行動が出るのは、あるいは初めてかもしれなかった。
いや、そういう言い方は語弊があるかもしれない。
ライレイはいつも僕に愛されることに対して積極だった。
ただ、基本的に彼女は、男である僕から愛されること、あるいは凌辱されることに積極的で、自分から率先して行動してくることはなかった。
それはメス化したらオスに犯されるのが当たり前のオーク娘の標準的な習性とのことだが、最近のライレイは、一人の女性として種の習性を凌駕しつつあった。
僕を愛することに必死というか……!
「……ッ!」
しかしそれではダメだ。
女性に恥をかかせては、男の面子が立たない。
男は常に奪われる側でなく奪う側。与えられる側でなく与える側にいなくては。
というわけで、覆いかぶさる体勢だったライレイを押し返し、逆に僕が覆いかぶさる体勢となる。
「きゃあッ!? ……むぐッ!?」
短い悲鳴も、唇を塞ぐことで途切れさせる。
今度は僕の舌がライレイの口の中に侵入する。
「「あーッ!?」」
その模様に気づいて、ケンカに没頭していたリズ、ヨーテの二人が駆け寄ってくる。
「何やってんのよ! 何やってんのよライレイ!?」
「中隊長がまた抜け駆け……!」
「アタシらがゴロウジローの妻の座を争って頂上対決してる最中に何してんのよ!?」
「もっとも強い者が欲しいものを得る。それがオークの鉄則……!」
二人の抗議に、ライレイは僕に口の中を蹂躙されつつ答えた。
「ふぉごは、ふげふぁげふぇらはみまねん、ちゅぶ、ふぉろうひろはまほ、ちゅう、ふぁいじょーほ……!」
「「何言ってるかわからねー!!」」
他のオーク娘たちも、ライレイの抜け駆けに不満が高まる。
「んごぉ……!」
ライレイが何か指示のようなものを出すと、それに呼応してミキがおっぱいから口を離した。
「「え?」」
一瞬のうちにミキの頭部が首から下全体よりもさらに大きくなり、同じように大きくなった口でリズ、ヨーテの両名を一口の元に加え込んだ。
さすがに丸呑みとまでは行けなかったが、上半身は容易くミキの口に収まり、尻二つだけが口の端からはみ出していた。
「ぎゃー! リズ様! ヨーテ様がー!!」
「ミキ様に食べられて壁尻状態にー!?」
やはりあの無茶な食べ方も『暴食』の能力から起因するものなのだろうか?
上半身を飴のように舐めしゃぶられるリズ、ヨーテの二人は、それに反応するように尻をビクンビクンと震わせていた。
女体化した『七凄悪』最強決定戦は、『暴食』ミキの勝利で幕を閉じたようだ。
「あの……、ゴロウジロー様、申し訳ありません」
唇をプハッと離して、ライレイがモジモジという。
「こんなはしたない、女の方から殿方の唇を奪おうとする女なんて、ゴロウジロー様は幻滅されたりしませんか? 自分からやっておいてなんですが、それだけが心配で……!」
しかし『色欲』レリスを代表とする新キャラ続々の登場で、ライレイも危機感を募らせていたのだろう。
「このまま何もせずにいたら、愛する人を他の女に奪われてしまうかもしれない」などと。
そういう意味では、ライレイはオーク娘の中でもっとも女であることが濃厚であるのかも知れなかった。
彼女をそんな不安にさせてしまった自分を不甲斐なく思う。
「大丈夫だ、そんなことで僕はライレイを嫌ったりしない」
「ゴロウジロー様……!」
「むしろ、そんなにまで僕のことを一途に思ってくれていることが嬉しい。ライレイよ。これからも常に僕の傍らにいてほしい」
「ゴロウジロー様、大好きです!」
固い抱擁を交わす僕たち二人。
その傍らでは、今でもリズ、ヨーテの二人がミキの口内に囚われていた。
周りで一般のオーク娘たちが騒ぐ。
「ぎゃー!! 大変よ、リズ様とヨーテ様の尻がー!!」
「少しずつミキ様の口の中に引きこまれていくー!!」
「さっきからお二人のお尻がうんともすんとも言わなくなったわ! やっぱり口の中じゃ呼吸できてない!?」
「このまま二人を丸呑みさせてはいけないわ! 足をもって引っ張るのよ!」
「よし! せーの!」
「オーエス! オーエス!」
「オーエス! オーエス!!」
熾烈な綱引き合戦はしばらくの間続いたが、途中機転を利かせたオーク娘の一人によってミキの脇がくすぐられ、緩んだ口元からリズ、ヨーテの両名を助け出すことに成功。
唾液塗れとなった彼女たちは、飲み込まれかけた時の様子をこう語ったという。
「変な性癖に目覚めそうになった」
と……。
* * *
その後。
唾液塗れになったリズ、ヨーテを洗い流しながら、二人の、どうしても、という要求から彼女たちにもディープキスを敢行。
その様子を見ていた他のオーク娘たちもねだってきたため、その娘らにもキスして、それを延々繰り返していたら夜になっていた。
正確な数は早々にわからなくなってしまったが、少なくとも二千人とキスしたかと思う。
それでも全体二十八万人にはまったく及ばない。
しかもその後に、ライレイからさらに怖いことを聞いた。
『ゴロウジロー様、二十八万というのはあくまで、ゴロウジロー様ご自身が女体化させたオークの数に過ぎません。当然オーク族の中には、それ以前から女体化していたオークがいます。それらも含めなければオークの都の総人口は計れません』
そういうのを含めたら?
と聞くと返ってきた答えが……。
『約七十万人です』
となった。
彼女たちは僕が直接女体化させたわけではないので責任云々は関係ないが、それでもオークの男性が僕しかいない以上、相手は僕しかありえない。
いよいよ抜き差しならなくなってくる事態に、今日は今日でライレイはじめ二千人ものオーク娘と接吻してしまったし、だんだん自分の中で理性の壁にヒビが入っていくのを感じる。
こんなにも僕のことを慕ってくれるのだから、もう細々したことはどうでもいいやで酒池肉林を満喫しもいいかなー? と少しずつ彼女たちの思慕によって理性が削り取られていく日々のことだった。
唐突に問題が起こったのは。
捕虜バルキリー、ライン=メイデの強襲。




