27 逗留
攻め寄せる天界軍を駆逐し、やること済ませた僕たちだが……。
「それでは皆様方、これより会議を始めたいと思います」
「いいわよ」
「議題は……」
「「「第一回、フゴフゴ『どうやったらゴロウジロー様にレイプしてもらえるか会議』!!」」」
ライレイ、リズ、ヨーテのオーク三人娘が、膝とおっぱい突き合わせて何やら密談を始めていた。
ここはいまだに邪悪の山の麓。
天界軍を迎え撃つために布陣したこの場所で、天界軍はもう既に粉々になったので、ここに留まる理由はもうないはずなんだけど、僕らはまだここにいる。
天界軍迎撃のために用意された七万九千のオーク兵団――、今では七万九千の美女軍団だが――、コイツらも食べ物を採取しに行ったり、即席の寝床をしつらえたりとかで、ぶっちゃけ野営化が進んでいる。
任務は終了したんだから帰らなくていいのかよ?
っていうか、そんな会議はせめて僕の聞こえないところでやってください。
「そうは言いますがねゴロウジロー様」
僕の呆れた表情を察したのか、ライレイが弁明を展開してきた。
「本来私たちが下された任務は、一日そこそこで完了するような類のものではなかったのです」
「そうよ、ここまで行軍してくるのにかかる日数はもちろんだけど、到着してから始まる天界軍との戦闘そのものにも、何日もかかると予定してたんだからね!」
「……こちらも天界軍も、動員数は万単位。容易に決着つくわけない。一進一退を繰り返し、ヘタすれば何ヶ月も戦い続ける覚悟だった」
リズとヨーテまで追随してくる。
つまりあれか。僕が本気出しちゃったせいで何ヶ月もかかる戦いが一瞬で済んじゃったということか。
そりゃまた失礼いたしました。
「いや、ゴロウジローを責めるわけじゃないわよ。いついかなる時も強いは正義よ」
「強すぎて予定が狂うことは何も困らない。……むしろバッチコイ」
そうですか。
「でも、思ったより早く終わったからって、その分走って予定繰り上げようって気にはならないわよねー」
「……時間が空いたら、その分サボりたくなるのがオークのサガ。時間は有効に使う、怠けることに」
と言って地面にゴロ寝しだすオーク娘ども。
元がオークであるだけに、所々ブタだなって思える節がある。
「「「オークはブタじゃないです! イノシシです!!」」」
とか思っていたら三人娘から総ツッコミを食らった。
「って言うか、キミらさっきから僕の心読みすぎじゃない?」
「これがゴロウジローの言う『愛』のなせる業よ」
「……愛もいいけど凌辱もね」
わけがわからん。
とにかく美女オーク軍団七万九千人。今ではバカンス気分でそこら中に屯していた。
「広く開けた地形、雄大な景観、竜の脅威から解放されて確保された安全……。ゴロウジロー様に凌辱されて孕まされた子供を育てるには、うってつけの土地です」
「さすがにそこまでの空き時間はないわよ」
「何年ここに居座る気……?」
ライレイの、邪悪の山の麓に広がる平野部を見渡す目がウットリとしていた。
なんかもう脳が「女の幸せを探すモード」に入っているというか。
逞しい夫、たくさんの子供と来て、次に望むのはマイホームか。
「そこで! 最初の議題に戻るのです!」
女オークのライレイは憤然と言った。
「「「第一回、フゴフゴ『どうやったらゴロウジロー様にレイプしてもらえるか会議』!!」」」
「ハモらなくていいから」
リズとヨーテまで鼻息荒くなり出した。
「いいですか、ゴロウジロー様!!」
ライレイの鼻息も当然荒い。
「私たちオークは、最初は皆オスとして生まれます! そして戦いを繰り返し、負けた弱き者はメスに変わります!」
「玉を潰されてね」
「そこは詳細を述べなくてもいいんです!!」
顔真っ赤になるライレイ可愛い。
「そしてですね! メスになったオークが何より優先してすべきことは、子供を産むことです! できれば自分を負かせた強いオークの子供を! そうすることでオークはより強いオスの血統を効率的に残し、代を経るごとに豪壮となっていくのです!!」
「度重なる天界軍の攻撃に、オーク族だけが生き残ることのできた所以ね!!」
「強くなければ生き残れない……!」
そうだなあ。
ライレイも、リズも、ヨーテも、最初に会った時は実に普通のオークだったんだよなあ。
それが僕と戦い、紆余曲折あって玉砕されて、こんな身も心も可愛い姿に。
周りにいる七万九千人の美少女たちもそうだ。
これこそまさに生命の神秘。
「だからこそ! 私たちには今ゴロウジロー様が必要なんです!」
「数万もの天界軍を一瞬で全滅させるその強さは、アタシたちのお腹を通して次の世代へ継承させるに値するわ!!」
「ウチらがメス化して果たすべき仕事。そのために……」
「「「私たちをレイプしてください!!」」」
「嫌です」
「「「こーれーだーよー!?」」」
失意と共に崩れ去るオーク三人娘。
それを周囲のオーク娘たちも酸っぱい顔で眺めている。
「なんで!? なんでゴロウジロー様は私たちをレイプしてくれないんですか!?」
「レイプこそ強者が浴すべき当然の権利でしょう!」
「自分が負かした女をガンガンレイプして孕ませる。それがオーク繁栄の秘訣……!」
と彼女たちは執拗に、無理やりな交接を迫ってくるんだけども……。
「だから何度も言ってるだろう。僕はレイプは嫌なの」
「何故ですか!?」
「子作りは愛がないとダメなの」
と言って頑なに固辞する僕です。
「またこれですよ! ゴロウジロー様ったら私たちが迫るたびにアイアイ言って、おサルさんですか!? オークはブタでしょうに!!」
「イノシシだろ?」
主張ブレさせないで。
「子供に必要なのは、より強い父オークの血統なのです! つまり強さです! 強さとは暴力です! それを示すためにオスはメスを屈服させ、心をへし折りながら孕ませなければいけないんです!」
「だからそれは違うって言ってるでしょう。新しい世代を生み出すのに注ぐのは肉体の元だけじゃない。心も注がないとダメなの。親同士が互いを愛しあう感情なの」
「そんなのまったくわかりません! 心なんて形のないものが、どうして強さというハッキリ形あるものに影響するというんですか!?」
ではハッキリ形で示してみよう。
僕はライレイを両腕で掻き抱き、しっかりと抱擁した。
「ああッ!?」
ライレイの豊満な乳房が、僕の胸板に押し付けられて楕円に潰れる。
「大好きですゴロウジロー様……ッ!」
「おい」「おい……!」
刺々しいリズ、ヨーテのツッコミ。
最近ライレイのチョロさに磨きがかかってきた。




