二人の想い
教会から出て、商店街に向かった
馴染みの店で狩りと採取したものを渡し、お金を受け取った
「まいどー」
そのまま大通りを外れて繁華街に入った
酔っぱらいを見つけては、ぶつかり謝るを何度か繰り返し
路地裏に入る頃には服の下にはたくさんの貴金属があった
これは父親に叩き込まれたことだった
「我ながら最低だな…」
(でもあと…すこしで、ミリアを解放できる!)
地面に転がる金を見て自嘲した
今の自分では真っ当な手段ではミリアの為に出来ることはなかった
汚い金で申し訳ないと思いながらも、早く奴隷から解放してあげたかった
最初は自分と同じ不幸な子を助けたかった
同情なのか…または下心なのか
それでもアルタナの中でミリアの存在は時間が経つにつれて大きくなっていった
ミリアが衰弱し始めていることは、すでに気づいていたが決して口にはしなかった…できなかった
一生懸命笑いかけてくれるミリアを見たら何も言えなかった
ミリアの為なら手を汚すことも厭わなかった
この頃にはミリアはアルタナにとって欠けがえのない存在となっていた
「こんな私が、ルタのそばにいていいのかな?」
ミリアもまた、アルタナの存在は大きかった
(私のせいでルタまで不幸になってしまったら…。でもルタの側にいたい!ルタの気持ちに甘えて…私は本当に卑怯だ…)
最初はアルタナが何か企んでいるのではないか疑っていたが、日が立つにつれてアルタナが来るのを楽しみに待つようになっていた
その気持ちに気づいたとき、家族があんな目にあったのに自分はこれでいいのかと、自己嫌悪した
だが想いを止めることはできなかった
自問自答の日々だが、それでもミリアは楽しかった
少しずつ体が弱っている感覚があったが今を楽しみたかった
アルタナとの日々がミリアにとって欠け替えのないものになっていた