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アルタナ  作者: 玲 アキラ
1/5

 自分の人生(ものがたり)を見ているような、体験しているような不思議な感じ…

(あぁ、いつもの夢か…)


 アイツは、母親の両親から金を巻き上げ、自営業という名のニートをして家族を自分のいいように扱った

 殴る時は「お前の為に」、「殴る方も痛いんだぞ」と何度も言われた───まるで『暴力』を『愛情表現』のように

 平気で家族に嘘をつかせて、子供の手伝いの域を越えた労働させて、寝不足の家族に「寝なくても死なない」と言った…これが『愛情』?


 日常的な暴力はなかったが反抗したときの暴力がその分エスカレートした

 母親は「ごめんなさい」「すみません」といっても殴られ髪を掴まれて引きずり回された

 兄は何度も執拗に蹴られ、踏みつけられていた

 そんな姿を見て抵抗などできなかった


 日常的にあったのは、すべての行動の監視…地獄だった

「言うことを聞かない奴は出ていけ」

 それも条件付きで、自分の金で買っていないものは置いていけというもの

 服すらも置いていけと…遠間ましの『死ね』

 それでいて、聞かれて答えられないと

「答えられないなら、息をするのもやめちまえ!」

 結局『死ね』…子供ながらに理不尽さを感じた


(誰か助けて!アイツを殺して!なんで誰も助けてくれないの?なんで見て見ぬふりをするの?こんな人生なんて酷すぎる!)

 どれほど訴えてもその声は届かなかった


 いつも通り顔色を伺い、辛くても泣かず、悔しくても言葉を飲み込んで笑った…それしか生きる方法が思い付かなかった

 この頃には既に抵抗したら余計辛くなると当たり前のように思えて、抗うことを諦めていた


 言われる通りにする自分を嫌い、運命を呪った


 どうして父親(アイツ)は、大切な人を守れる体、力があるのに人を傷つけることに使うのか理解できなかった

 いや、理解したくなかった



 そんなある日、父親(アイツ)から電話が来た…

 嫌だけど出ないと帰ってから怖いから電話に出た

 母親と兄妹が家出して帰ってこないから探せという内容だった

断るという選択は…わかるよね?


 何日も探した

 自分だけ捨てられたのか…どんどん不安になった

 ご飯も睡眠もろくに取らずにひたすら探した

 眠ると「お前は気楽でいいな」と精神攻撃…体力的にもすでにピークだった


 家族を探して見通しのいい道を探した

気がついたら、目の前に車が…

「えっ!?」と思った時には大きな衝撃と音、痛み…

 薄れる意識の中、赤く染まる視界…


(もし抗えてたら…変わったかな?)


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