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宝石の子供達  作者: 港瀬つかさ
白の王国関連

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全て貴方の為に(ミリディアナとアレクシード)

 長い純白の髪を一本の三つ編みにした女性がいる。澄み切った無色透明な瞳の美貌。白の王国第1王女、ミリディアナ・ダイアン(愛称・ミリー)がそこにいる。王都を一望できる高い塔の上で、彼女は長い髪をなびかせていた。

 四年前の夏の日、彼女の弟は変わった。愛称をフォムという王子・インフォームド・ダイアンをは、文字通り変貌した。別人になったとしか思えない程性格が変わったのだ。それまで懐いていた従兄が留学から帰還すると、すぐさまそれを辺境に追いやる。誰もが驚いたものだ。

 戦場においてヒトの血を浴びる事に抵抗を持たなくなった。他人を策謀にはめて陥れても、その唇に浮かぶ笑みは消えなかった。冷酷にして冷淡。狂王子とまで呼ばれるようになってしまった少年は、もう彼女の言葉にすら反応しない。誰にも彼の心を動かす事はできなかった。


『ミリー……。』

「……っ?!アレクなの?」

『あぁ、俺だ。意識だけを君の所へ飛ばしている。』

「貴方の声を聞くなんて、どれくらいぶりかしら?」


 突然姿を現した従弟に、けれど彼女は優しい微笑みを浮かべた。辺境へ追いやられて尚、その才は王都にまで鳴り響く。次代の王の支えとなり国を守護するであろうと誰もが思っていた。当の次代の王に拒絶されてしまったが。

 離れていて尚、拒絶されて尚、アレクシードは従弟の身を案じている。全てはあの豹変した王子の為に。哀れになるほど、二人はあの王子を愛し、信じていた。まるで、そうする事しか知らないように。


『あいつはどうしている?』

「変わらないわ。相変わらずあのままよ。」

『……そうか。すまない、ミリー。俺が王都にいれば少しは何とかするんだが。』

「無理はしないで。今の貴方が王都に来るのは危険すぎるわ。」


 やんわりと押し止められ、アレクシードは苦笑した。ミリディアナに謝罪して、彼は姿を消した。消耗しすぎた力を回復させる為に。



 彼等の全ては、彼の王子の為に。

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