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宝石の子供達  作者: 港瀬つかさ
黄の騎士団長コンビ関連

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41/54

君の傍に在る(ガレルドとアスティー)

 泡沫の夢の中に微睡むように、青年はゆっくりと寝返りを打った。白銀色の短い巻き毛が、フワリと形良い頬を覆っている。眠っている時は常よりも幾らか幼く映る相棒を見て、ガレルドは苦笑を浮かべた。休暇を満喫するのだと言い張った親友は、昼食後すぐに昼寝を実行したのである。

 腰までの長い漆黒の髪を体の下に敷いてしまわないように珍しく結わえ、ガレルドは大人しく親友に膝を提供している。ポカポカと陽気の良い日差しの下ならば、確かに心地よく眠れるだろうと思った。すっと、藍色の双眸を空へと向けて、彼は一瞬だけ目を伏せた。太陽の日差しは優しく暖かく、この国の仮初めの平穏が永遠であるかのように思わせてくれた。


「・・・・全く、お前程我が儘な男は知らないぞ?」


 25歳になって尚堪え性の薄い親友に向けて、ガレルドは溜息混じりに囁きかける。だがしかし、その親友を相手に平然と我が儘を言わせ続ける彼に、そういった愚痴を口にする資格はないのではなかろうか。俊足の黒豹の異名を持つリーダス騎士団を束ねる男は、目の前で眠る跳躍する銀狼として知られるアイル騎士団を束ねる男に、周囲が呆れ返ってしまう程甘いのである。


「……うぅん……。」

「アス?起きたのか?」

「……ぅー……。」


 もぞもぞと体を動かして、再び眠りに没頭する25歳。常は確かに正当派二枚目な美貌を持つ貴族様で、誰もが憧れる男である。自分の前でだけで晒される子供っぽい一面に、ガレルドは溜息をつきたくなった。アスティーの性格が掴めないと思うのは、こういう時ではなかろうか。

 たとえば、もしも10年前に出会っていなければ、どうなったのか。考える事すらできなかった。気づけば出会って以来延々と相棒関係を続けてきたのである。お互いが違う騎士団に所属しているとはいえ、アイル騎士団とリーダス騎士団は黄の王国を支える護りの比翼である。交友があって叱るべきであり、彼らもそれが当然の事だと思っていた。

 王家の血を引く貴族の嫡男と、貴族の養子として引き取られた庶民。本来ならば相容れないはずの二人は、出会ってすぐに意気投合した。性格云々で考えれば、衝突する事はあると思われるのだが。それでも彼らは親友になり、互いを不可欠の存在として認識している。


「……っ。」


 膝を掴む指の強さに、一瞬だけガレルドは呻き声を上げた。下手をすれば爪が食い込んでいるのではないかと思える程の強さで掴まれ、さすがにアスティーの指を剥がしにかかる。けれど、剥がそうとして触れた指が、膝を掴んでいた手に囚われる。何がどうなったのだろうかと考えている隙に、しっかりと握り込まれてしまった。縋るような指の強さに逃れる事を諦めて、彼は肩を竦める。

 宥めるように、柔らかな白銀の髪を撫でた。一瞬ビクリと怯えた身体が、すぐに力を抜いていく。痛い程強い力でガレルドの手を握りしめていた指からも、力が抜けた。そっと表情を伺い見えれば、安堵したような無垢な笑みがあった。


「…………お前、それは反則だろう……。」


 おいおいと呟くガレルドの声は、アスティーには聞こえていない。この我が儘小僧と毒づく声は、けれど彼が思っている程冷たくはない。むしろ誰かが聞いていたら、その温かさにとまどうだろう。照れ隠しのように頭を振って、ガレルドはぽんぽんとアスティーの頭を撫でた。



 傍にいる事が当然になってしまっていた、ある日の一幕。

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