きみはきらわれているよ
スニーカーの紐を結び 銀色の自転車に跨る
力強く漕ぐペダル 流れていく街
初夏の風が髪を撫でながら 言う
「きみはきらわれているよ」
「うん、しってる」
教室の窓を溶かす 真っ白な太陽
ひやり冷たい 古い木の机
名も知らない鳥 深緑に隠れながら、言う
「きみはきらわれているよ」
「うん、しってる」
夕闇の坂道 きらめく水平線
どこかの家から カレーのにおい
宵の明星 月にならんで、言う
「きみはきらわれているよ」
「うん、しってる」
「うん、......しってる」