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act9 新メンバー加入!

△月×日

以前浅井尚弥クンとまた飲みに行った時(私はもちろんジュース!)、彼に何か興味があるかと尋ねたら、何故かこっちを見ていた。

 どう捉えたらいいのか分からなかった私はただ、沈黙を続けたままだったけど、あれから何日も経った今でもそれが頭から離れられない!それなら、どういう意味か聞いておけば良かった。(時、既に遅し)

 「と、言う訳で噂の浅井尚弥君を連れてきました〜」

 この間店で彼と話した後、みんなに彼の話をした。そして今日、渉の家に集まるのでその場に彼を連れて行くことにしたのだ。

 同情ではなく、彼に何か興味を持ち始めて欲しいという気持ちから起こした私の行動……。それでも先日の彼の視線が気になって仕方が無い。

 忘れようと思っても忘れられない。

 気になるけど、聞く事も出来ない。

 「夏海?」

 伊織が肩を叩いてきた。

 「と、とりあえずみんな、簡単な自己紹介をしてくれるかな?」

 今時、小学生じゃあるまいし自己紹介なんて……と思うが、初対面なのでまずは形式だけでも……ね?


 「じゃあ、俺から。体育学部の一ノ瀬渉! よろしく」

 「社会学部の萩原蓮子よ。夜遊びが大好き、あとイイ男も大好きよ」

 そう言うと、蓮子は指で軽く彼の顎を上げた。また、蓮子の悪いクセが出た。


 「医学部の倉田梓です。えっと、趣味は花を生けることです……よろしくお願いします」

 少し照れくさそうにしながらも自己紹介する梓を、彼はかわいい小動物を見るような目で見ていた。これは私も予想していた。小柄な梓は女の私から見ても本当に可愛いのだ。たいていの男たちも、そんな風に思うのも無理はない。

 しかし、そんな男たちの視線から梓がこうして無事でいられるのも……。

 「芸術学部の東條伊織よ。よろしくね。それと……」

 伊織は女性らしい仕草でニッコリ笑いながら彼に自己紹介をしていたが、それは徐々に“男”の表情へと戻り、話を続けた。

 「この倉田梓は俺の彼女だから、手を出したら……殺すぞ」

 伊織のギャップの激しさに、思わず彼も驚き頷いていた。


 「文学部の浅井尚弥です。よろしく。みんな、それぞれのトップで有名人だから何となく知っていました」

 あんたの方がすごいだろ……。多分、全員が思っているに違いない。


 「あれ? 琉依は?」

 渉の言葉で琉依がまだ来ていない事を思い出した。

 「遅れるって連絡あったわよ。もう、来るんじゃないかしら」

 伊織が梓の髪を結いながら答えた。

 彼に琉依の事を言おうとしたが、渉や蓮子と話をしていたので琉依が来るのを待つ事にした。

 彼が笑って渉達と話をしているのを見ると、何かに興味を……という私の“作戦”は成功したと言ってもいいのだろうか? まぁ、ただの自己満足に過ぎないのだけれど。


 「おー! 邪魔するよ」

 やっと琉依が部屋に入ってきた。そして彼の姿を確認すると、近くまで行ってニッコリ笑いながら、

 「宇佐美琉依です。この間、バーで会ったよね。あれ、兄貴の店なんだ。これからよろしく」

 手を出して、軽く彼と握手をした琉依は変わらず笑顔だった。


 “これからよろしく”

 この言葉はどこにかかっているのか……。琉依自身? それとも、ナオトのお店のこと?


 「夏海? 何ボーっとしてるの」

 琉依の言葉に疑問を抱いていたら、渉が声を掛けてきた。

 「ちょっと考え事していましたよ!」

 「何? 俺の事?」

 ちょっとでも考え事していたら、必ず自分の事だと言い切る琉依に呆れていたが、その通りだから何も言えなかった。


 「二人って、付き合ってるの?」

 「そう見える? 夏海、やっぱり俺達恋人同士に見えるみたい」

 「冗談じゃないわよ! 琉依! いい加減にしなさいよ。あと、あなたも一番したらいけない勘違いよ!」

 調子に乗る琉依に怒鳴りつけると、彼にも注意をした。しかし、彼は私の答えに納得していないのか、微妙な表情を見せていた。これも先日の私への視線同様、どう捉えたらいいのかわからなかった。


 全員が揃って、いつものように話をしている私たちの中に今日から新しいメンバーが入った。

 とても頭が良くて、とても親切で、とても……不思議な存在の彼=浅井尚弥。


 そして……賢一と別れたばかりなのに、私の心は何故か微妙に動き始めている……。



 これは何の始まり?


 (ていうか、琉依と彼がいつの間にか消えてるし!)

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