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act6 パンストの彼の正体

○月△日

昨夜、また琉依に助けられた私。目が覚めると昨夜の事で反省ばかり・・・。いくら幼馴染みとはいえ、少し頼りすぎている。そろそろ“琉依離れ”しないといけない!(できるのか・・・)


 「おはよ〜」


 琉依と教室に入ると、すでに蓮子と梓が待っていた。

 梓は私の方に駆け寄ってくると、ギュッと抱きついてきた。

 「あ、梓?」

 ただ驚く私と琉依だったが、それでも梓は私から離れようとはしなかった。

 あぁ、昨日の賢一の一件か。梓も一緒にいたから、私が落ち込んでいると思ったのかしら。まぁ、落ち込んだのは合っているけれど。挙句にはお酒に頼る始末だったし。

 「大丈夫だよ、梓。私はもう大丈夫だから」

 私の言葉に梓が見上げてくる。ホント、可愛いなぁ……そう思っていると、琉依が私から無理やり梓を引き離して今度は自分が梓に抱きついた。


 「可愛いなぁ、梓は。でも抱き付く相手を間違っているでしょ?」

 「きゃーっ! きゃーっ!」

 強く抱き締める琉依から離れようと、梓は必死にもがいていた。そんな梓を助けようと、手を差しのべようとした時だった。

 「うぉらぁぁっ! 俺の梓に何してんだーっ」

 怒鳴り声と同時に、琉依の頭を殴る伊織の姿があった。

 殴られた拍子で梓が琉依から離れると、伊織は梓を抱き締めた。

 「も〜! かわいそうな梓! 怖かったでしょう?」

 琉依を殴った時は完全に“男”だった伊織だが、再び元の“オカマ”に戻っていた。

 「梓〜」

 「梓に触らないでちょうだい! 妊娠したらどうしてくれるのよ!」

 しつこく梓に抱きつこうとした琉依を、伊織が叱咤した。抱きついただけで妊娠なんかする訳がないのにと思ったが、相手は琉依。女遊びのひどい琉依だからなぁ、そう言われても仕方が無いか。

 「そうそう、忘れるとこだったよ。夏海、この間のパンストの彼! 彼の正体がわかったのよ」

 出た、パンストの彼! 正体って今朝、琉依から聞いたよ。浅井尚弥って名前だってことくらい。

 話が長くなりそうだったので、私達はまた講義をサボる結果になった。



 それから私達は、遅刻してきた渉と合流して喫茶店で先程の話の続きを始める事にした。

 「……で、正体って? 例のパンストの彼の名前ならもう知っているけど」

 流石に少々うんざりした顔で蓮子の方を見ながら話す。

 「あの“パンストの彼”もとい、浅井尚弥って実はとんでもない人物だったのよ!」

 蓮子の言葉に、思わず興味を抱き始めてしまった。そんな私同様、他の皆も視線を蓮子に向けていた。

 「何よ、とんでもないって。とんでもない悪人って事?」

 「そんなまさか! この世に琉依以上の悪人がいるかよ!」

 「そうよねぇ、全世界の女性の敵ですもの。超えたくても、なかなか超えられる壁じゃないわよねぇ!」

 伊織と渉が笑いながら話をしているのを、琉依もまた悪びれる事も否定する事もなく笑っていた。

 「話がそれている! 蓮子! 続き!」

 ケラケラ笑っている男どもを睨みつけると、蓮子に話の続きを促した。

 「そ、そうそう。それで、あの浅井尚弥って男はね……」

 蓮子の言葉1つ1つに思わず息を飲んでしまう。

 「彼、現在は文学部の国文学科にごく普通の成績で在籍しているけど、実は入学試験をトップの成績でパスしているのよ! しかも、うちの医学部と理工学部にも受験していて、両方ともまたトップの成績だったって」

 はっ? 何ですって? 蓮子の言葉に、全員が言葉を失っていた。でも、医学部のトップは確か……


 「梓だったよなぁ」

 全員が梓の方を見ていた。医学部に在籍している梓は、この大学全体のトップだと言っても過言ではないくらい成績優秀なのだが。

 「あっ、でも話は聞いた事あるよ。“表の倉田・影の浅井”って。あぁ、これの事だったんだぁ」

 梓は思い出したかの様に、言葉を発した。

 「梓がトップになったのは、彼が医学部と理工学部をケッたからなのよね」

 まぁ、もったいない。私は彼がなぜそんな行動に出たのか、理解に悩んだ。天才も限界まで行き着くと、バカな行為に出てしまうのかしら。

 「あらぁ、意外よね。私達以外にトップクラスの才能を持った人間がいるなんて」

 伊織が鏡で自分の顔を見ながら呟いた。

 確かに、ここにいる6人は各学部でトップクラスの成績を残しているが。


 芸術学部の伊織、社会学部の蓮子、医学部の梓、体育学部の渉、そして国際学部の琉依と私(自分で言っていいのか)

 「ふ〜ん、まぁ俺には関係ないけど? あぁそうだ、俺ちょっと事務所に行って来る。用事を忘れるところだったよ」

 琉依はそう言うと早々と席を立ち、その場から去っていった。

 琉依はあぁ言ったが、私は少しだけど彼に興味を抱き始めた。理解に苦しむ彼の行動の真意を確かめたいとさえ思ったのだ。


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