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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第1章 異世界と冒険者
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第7話 依頼

「ご―――、――人―」


 ん~、何か聞こえるな。


「ご主人様、ご主人様」


 ご主人様? 誰だこんなかわいい声にご主人様などと呼ばれている、うらやましいやつは!


「ご主人様! ご主人様!」


 はっ! 近くで殺気が。俺は身の危険を感じて飛び起きる。すると、すぐ近くにミルシアがいた。あの殺気はミルシアからなのか?

 

「とりあえず聞きたいことがある」


「何でしょう、ご主人」


 俺が言うと、ミルシアは表情を変えずに答えた。さっきのご主人様って、聞き間違いじゃないよな。何回も聞こえたからな。


「あ~、まずそのご主人様ってのは何だ?」


「ご主人様はご主人様です。私を買ったので当然です」


 ご主人様、ご主人様ってなんか変な感じだな。普通に呼んで欲しい。


「そのご主人様ってのは止めてくれないか?」


「それはご主人様の命令でも無理ですね」


 何故か反抗的になっている。ミルシアって、こんな感じだったっけ? それに命令したら聞かなきゃならんだろ……まっ、嫌ならいいけど。


「そ、そうか。それから、さっきの殺気は何だったんだ?」


 さっきの殺気なんつって。


「何でもありません。それから面白くない事を考えないで下さい」


 無表情で答えるミルシア。怖っ! 心を読まれた。


「心を読んだりしてません」


 やっぱり読んでるじゃん。買う奴隷間違えたかも。美人だからって、即決するんじゃなかった。


「朝食の時間ですよ」


 何だかミルシアは奴隷というより、メイドみたいになっていた。


 朝食を食べると、ギルドで依頼を受けようと思ってギルドに向かった。ミルシアの実力を見たいし、金も稼がないとダメだからな。




 ギルドに着くと俺たちは、目立った。全身黒ずくめの俺に、ローブを着た美人のエルフのミルシアのコンビだからな。


 視線が痛い!


 主に俺への嫉妬の視線が。何だあの怪しい男は、という声が聞こえる気が……。


 男の嫉妬は醜いぞ!


 とりあえず、視線を無視して掲示板に行く。俺はランクFからEの依頼書をざっと見てみると、掃除とか、荷物持ちなどの、簡単な雑用の依頼が多かった。


 Dにはいくつか討伐系の依頼があった。俺は魔物の名前はよく分からなかったので、ミルシアに聞いてみる。


「なあミルシア、討伐系の依頼でどれがいいと思う?」


「討伐系ですか? ならこれが初心者が最初に受けるのにいいと思います」


 と言って、一枚の依頼書を指差した。その紙を見てみると、ゴブリンの討伐と書かれていた。数は十匹、報酬は百セールか。


 まあ、どんなのかやってみよう。ゴブリンなんて、RPGでは雑魚だから、多分大丈夫だろう。


 受付に持って行くといつものミリアさんがいた。


「この依頼お願いします」


「はい、ゴブリン10匹の討伐ですね」


 話し掛けると笑顔で答えてくれた。やっぱり笑顔だよな。ミルシアは喋ってくれる様になったけど、無表情だからな……。


 俺が何気なく隣のミルシアを見ると、睨まれた。怖っ。


「はい、そうです」


「では、この依頼はギルドからの依頼ですので、私から直接詳しい事を言います。ゴブリンはこの町の裏にある森にいます。そこにいるゴブリンを十匹倒して下さい。倒した証拠はゴブリンの耳ですので、持って来て下さい」


 耳か、えぐいな。


「分かりました、よし、ミルシア行こう!」


「分かりました、ご主人様」


 ご主人様というミルシアの発言に周りから殺気が集まる。ご主人様っての止めてくれないと、俺の命に関わる。




 町を出て裏に回ると、すぐに薄気味悪い森が広がっていた。


「なあミルシア、ゴブリンってどんなやつなんだ?」


 森の中を歩きながら聞く。


「えっ、ご主人様は、ゴブリンを知らないのですか?」


 残念ながら知らないんだよな。何となくのイメージならあるんだが、ゲームとかによく出てくるから。だけど、詳しくは分からない。



「ああ、その事は後で詳しく話すから」


 俺はミルシアに異世界の事を言うと決心して、先を促す。


「分かりました。ゴブリンは小さい二足歩行でこん棒を持っている、醜いやつです」


 ん~、分かりにくいが多分想像のやつと同じだ。


「何となく、分かった」


 少し森の奥の方まで行くと、少し開けた場所にゴブリンが何匹かたむろっていた。


「ミルシア、魔法を使ってみて」


 ミルシアの実力を知るために魔法を使わせる。相手も気付いてないみたいだし、ちょうどいい。


「分かりました」


 そう言うと、目を瞑って集中し始めるミルシア、綺麗だ。まるで、女神の様に神秘的だ。俺はミルシアに思わず見とれていた。


 すると、ミルシアは突然目を開き、呪文を叫ぶ。


風の斬撃ウインドスラッシュ!」


 俺は風を感じる。すると、数匹のゴブリンは切り裂かれる。不可視の風がゴブリンを切り裂いたみたいだ。


「おお、やるじゃん」


 俺は、残ったゴブリンに向かって走る。双剣を自分で使うのは初めてだ。ちゃんと使えるか心配だが、ミルシアに格好悪い姿を見せる訳にはいかない。


 俺は二本の剣を抜き、左右に構える。俺は何故か、双剣がしっくりきた。ゴブリンに近づくと自然に剣を振っていた。次々とどす黒い血を吹き出して倒れるゴブリン達。


「うわっ!」


 こうも自然に使えるとは、驚いた。だが、例えゴブリンという魔物だとしても、自分で切るのは吐きそうになった。だが、俺はミルシアに気付かれない様にする。


「ご主人様は、強いんですね」


 ミルシアが驚いていた。俺も驚きだよ。ミルシアもなかなか強いみたいだし、もっと強い魔物もいけそうだな。


 とりあえず、ゴブリンの耳をそぎ落とし袋に詰め込んでいく。気持ち悪いが我慢する。こんな事をミルシアにやらせたくない。俺が慣れるしかないんだ。



 ゴブリン退治を終え、町に戻るとギルドに向かう。


 ギルドに入るとミリアさんにゴブリンの耳に渡した。


「はい、たしかに受け取りました。こちらが報酬の百セールになります」


 Dランクの依頼だったから、後一回でEランクに上がれる。明日にでも、依頼を受けて上げてしまおう。


「それじゃあ、また明日きます」




 ギルドを出て、宿屋に戻る。


「お帰りなさい、ご飯はどうしますか?」


 ニーナが話しかけてきた。


「ただいま。ご飯は今からもらいます」


 思わずニーナの笑顔に俺の頬も緩む。


「ご主人様、気持ち悪いですよ」


 何だよいいじゃないか、こんな無邪気な笑顔がいいんだよ。


 その後、ご飯を食べて、部屋に戻った。

ご意見、ご感想などがありましたらどんどんお寄せ下さい。


2012 2/5 加筆修正



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