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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第3章 勇者と魔王
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第50話 洋館

 扉の向こうには――特に何もなく、普通の玄関が広がっていた。と言ってもでかい洋館らしく、だだっ広い玄関で、眼前に広がるのは椅子に座っている女性の絵画だ。


「――すげぇな」


 俺はただその絵画に圧倒された。流石は古い洋館だ……何が流石なのかは聞かないで欲しい。


 だが、立ち止まっている場合ではない。もうすでに夜。吸血鬼が起きていても不思議はない。


 いつなんどき襲われるかわからない、警戒するべきだろう。俺は気持ちを入れ替え、周りに神経を向ける。


「――行こうか」


「……は、はい……」


 セフィアは緊張しているのか声が固い。


 とりあえず吸血鬼の居場所が分からないから、洋館の中を家捜ししていく事にする。


 まずは、近くにあった階段を上り、2階に行き、手近な部屋に入る。


 そこは、客間なのか部屋にベッドが置いてあり、結構広かった。


「う〜ん、吸血鬼ってどこにいるんだろう?」


「……分かりません。でも本当に居るんでしょうか?」


「居そうな雰囲気はプンプンしてるけどな」


「……ですね。何だか嫌な感じです」


 ――ガタンッ!


 俺たちが喋っていると、突然部屋のドアが閉まる。


「うわっ」


「……キャ!」


 ビックリして思わず声が出る。俺たちは目を合わせて、恐る恐るドアに近づく。


 何なんだ、いきなり見つかったのか?


 俺は不安を振り払うようにドアを勢いよく開き、外に飛び出し腰の剣に手を添えて、臨戦体勢になる。


 だが、廊下にはなにもおらず、攻撃もこない。物音一つしない不気味な静寂が辺りを包んでいた。


「……何も居ないか」


「……怖いです。絶対何か居ましたよ」


 セフィアが不安そうに言ってくるが、俺にも何が何やら分からない状態だ。


 その不安を取り去ってやる事は出来ない。


「大丈夫だろう。自然にドアが閉まっただけだよ」


「……絶対何か居ますよ。吸血鬼とかじゃなくて、霊的な何かが。もう帰りましょう」


 涙目で訴えてくるセフィアは可愛すぎて、流されそうになるが、一度来た以上どうにかしたい。とにかく、噂の吸血鬼に早く会いたい。


「そう言うなって、何もせずに帰りましたなんて言える訳ないだろ」


「……それはそうですけど……」


 そんなに嫌そうな顔をするなよ。なんか俺がいじめてるみたいに感じるだろ。


「とにかく、吸血鬼を探すぞ。さっさと見つけて、問題解決してこんな洋館おさらばだ」


「……分かりました」


 セフィアは渋々了解して、俺たちは部屋の捜索を続ける。




 2階の部屋は全て見終えたが、特に何もなかった。全て客間のようで、どの部屋も同じような作りだった。


「じゃあ、1階を見るか」


「……そうですね」


 セフィアは完全にびびって、俺の後ろを付いて来るだけになっていた。俺の後ろを離れないように付いて来る姿は、どこか小動物を思わせ可愛かった。


 階段を下に下りる。そして、近くの扉を開き中に入ると、そこは2階の客間とは違い、応接間になっていた。


「特に何もないか……」


 今更だが、これって不法侵入だよな。ここに吸血鬼が居るからと言われていたから何のためらいもなく入ったけど、普通の人が住んでいたらやばいんじゃないのか。


 まあ、今更だから気にせず行こう。頼むから吸血鬼居てくれよ。


「……そうですね。何も無いです」


 俺の後ろから顔だけ出し部屋を見渡して、セフィアは言う。可愛いからやめて欲しい。思わず守りたくなる仕種だ。


「次の部屋に行くか」


 隣の部屋は食卓らしく、長机の周りに椅子が並んでいた。


「普通だな」


「……そうですね」


 そこから直接繋がっている部屋には、キッチンがあった。


 立派なキッチンには、食器が流しに置かれたままだった。


「ん〜、誰かは居るみたいだな」


「……普通の食器ですね」


「普通の人の家だったらどうしよう?」


 嫌な予感がするぞ。この食器はどう見ても、普通の食事を取ったとしか考えられない。


「……最悪ですね」


 とりあえずその部屋から出て、次の部屋に向かう。


 そこは、リビングらしき所でまたも特におかしな所はなかった。


 後残った扉は一つだけ。頼むから吸血鬼居てくれよ。さもないと、俺たちはただの不法侵入者になってしまう。


 祈りながら扉を開くと、そこに部屋はなかった。


 そこに広がっていたのは、下に向かって伸びる階段だった。


「えっ? 階段か」


「……地下室ですか」


 よし! 怪しくなってきたぞ。


 俺たちは慎重に階段を下りて行くと、行き着いたのは再び扉だった。


「開くぞ、いいか?」


「……はい、どうぞ」


 後ろから緊張したような声が聞こえてきた。


 俺は覚悟を決め、片手を剣の柄に置きながら扉を開く。


 そこで見たものは、鏡に向かって身嗜みを整える。若い男だった。その男はスーツを着て、髪をオールバックに撫でつけていた。


「えっ?」


「……ふわっ?」


 俺たちの口から驚きの声が出た。するとその声が聞こえたのか、男が振り向く。


「――なっ、お前ら何処から入った! 勝手に人ん家に入ってるんじゃないぞ!」


 普通に怒られた! 俺は相手が吸血鬼なら、すぐに襲い掛かってくると思っていたから、拍子抜けした。


「すみません!」


 俺はついつい普通に謝っていた。



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