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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第3章 勇者と魔王
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第41話 救出 (裏)

今回は視点が何度も変わりますのでご注意を。


分かると思いますが一応、ハッシュベル→エルメナ→スン→???です。



 なんで私がこんな事をしなければならないんだ。


 今更言った所で仕方がないし、姫様も賛成なされたからどうしようもない。


 だが、私はあのハヤトとかいう野郎の言う事を聞くのは堪えられん。


「何をしているのですか、早く行きますよ」


 私がわざとダラダラと歩いていると、エルフの娘が言ってきた。私は仕方なく歩みを速める。……別にエルフが怖い訳じゃないからな。


「で、私たちは何をするんだったか?」


「聞いてなかったのですか?」


 仕方がないだろ、ハヤトのやつがやろうとしている事から姫様を守る為に、途中からは聞く事より反対することに集中していたんだからな。


 それにしても、このエルフの娘は、丁寧に喋るくせにやけに威圧感があるから困る。


「まあいいです。私たちは、脱出用の馬車の確保です」


「力ずくでもいいんだな?」


「ええ、いくら貴方でもあの話しを聞いたらそう思ったでしょう」


 いくら私でもってなんだよ。私は至って普通だぞ。敢えて言うなら姫様への忠誠心が異常だがな。


 まあ、確かにハヤトの話しを聞くとこんな国どうでも良くなるな。




 私たちは馬車が置いてある所と馬屋に着く。


 元々乗ってきた馬車は今、教会の正面で私たちを待っているだろう、無数の神官たちと共に。今回は密かに出なければならないから、奪うのだ。


「頼みます」


 馬車を奪う直前になって、エルフが突然言い出す。


「はっ? 二人でやるんじゃないのか?」


「私は見張りをしておきますから」


 エルフは動きそうにもなかったから、諦めて一人で建物に入って行く。


 中にいた兵士が気付き、騒ぎ出しそうだったから、素早く意識を奪う。


「ふぅ」


 まあ、これくらいなら朝飯前だ。


 中にある馬車の中から良さそうなのを選び、同じく元気そうな馬を選んで繋ぐ。


 馬車に乗り込み外に出ると、エルフが乗り込んで来た。


「東側で待ち合わせです」


「分かってるよ」


 後は、姫様たちを待つのみ。どうか無事でいて下さい。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ハヤトたちと別れて、アタシは教会の西側に来ていた。


 昨日ハヤトから話しを聞いた時は驚いた。そして、この国に心底嫌気がさした。


 ハヤトの作戦を聞いた時、少し無理があるかもしれないと思ったけれど、それでも、やりたいと思った。救ってあげたいと。


「ここら辺かしら」


 アタシは適当に教会の建物に狙いを付けて呪文を唱える。


 アタシの翳した手から火が飛び出し、教会の塔が燃え出す。


 あそこには、誰もいない。それは事前に分かっていたけど、罪悪感を感じる。


 でも、アタシたちが無事に脱出する為には、神官たちの注意を引く必要があったのだから仕方がない。


 アタシは教会の東側に向かい走り出す。


 ハヤト、アタシにあんな犯罪行為をさせたんだから責任取ってよね。


 一人で訳の分からない事を考えて、顔が赤くなるのを感じた。アタシは何を考えてるんだろう。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 あたしは一度部屋に戻って、少し時間が経ってから一人で出た。


 窓から、西の塔が燃えているのを確認すると、走り出す。


「火事なのー!」


 叫びながら、教会を走り回る。


「西の塔が燃えてるの!」


 教会の神官たちの注意を西の塔に向けるために。ひたすら走り回り叫ぶ。


「火事なのー!」


 このあたしの行動が、ハヤトさんの役に立つなら。あたしの力で少しでも助けられる人がいるなら。ただ走り、叫ぶ。


「西の塔で火事なの!」


 しばらく叫んでいると、教会の神官たちは西の塔の異常に気付いて、西に向かう。


 後は、神官たちに怪しまれない様に、教会の東側に行くだけ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 私は教会からの信用をなくし、裏切り者と言われ牢に入れられた。それも、教会の地下2階一般には何もない事になっているそこは、教会が邪魔者を閉じ込めておく場所。主に、犯罪行為をしていない者たちを。


 私はその中でも、特に頑丈な牢に入れられた。


 私は絶望し、泣いた。


 何でこうなったのか、私は全力でやった。でも、限界はある。私は到底本物の天才ではないのだから。


 教会を恨み、魔王を恨み、勇者を恨んだ。でも、それも無意味だと気付き、ただじっと無気力に過ごした。


 一日、二日。


 一週間、二週間。


 もう何ヶ月たったかなんて分からなくなっていた。ただ毎日送られる食事を食べるだけの生活。もしかしたら、まだ一ヶ月も経っていないのかもしれない。


 真っ暗な部屋で毎日毎日する事もなく、ただ考える事しか出来ない。


 そんな生活が破られたのは唐突だった。


 扉の外で物音がすると思っていたら、突然扉が粉々に吹き飛ばされた。


 差し込んできた光の眩しさに、思わず目を閉じる。


 そして、私は呆然とする。


 相当強い魔法で閉じられていたはずなのに。私が理解する事すら出来ない魔法でがんじがらめにされていたのに。


 中に入って来たのは、青白い剣を手にした。黒目黒髪の少年だった。


「……勇者さ、ま…………」


 私は無意識に言葉を発していた。


ご感想お待ちしています。


明日も投稿しますので、よろしくお願いします。

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