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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第1章 異世界と冒険者
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第3話 奴隷商人

 後ろからの声に振り返ると高級そうな服を着たオッサンがいた。馬車の近くで震えていた男だ。


「あの、助けて頂いてありがとうございました」


「いや、別にいいよ」


 俺はぞんざいに答える。いいから放っておいて欲しかった。俺は今、自己嫌悪中なんだよ。いくら生き残る為でも、人を殺してしまうなんて……。


「護衛の者もやられて危ういところでした。商品の奴隷も無事でしたし、どうお礼をしたらいいのか」


 だが、男は俺の気も知らずに話し続ける。やっぱりあの鎧は人で、護衛だったのか。


 商品も無事でよかった……って奴隷?


 あー、そういえば俺がしてたオンラインゲームでも、一人でプレイする人のために奴隷を買って一緒に戦うってのがあったな。


 何のためのMMOだって思って、俺はパーティー組んで、奴隷なんて無視してたから忘れてた。俺は既に、ここが、ゲームにそっくりな世界だと認めつつあった。


「ど、奴隷?」


 思わず聞き返す。いくらゲームそっくりの世界だとしても、信じられなかった。


「はい奴隷でございます。あなた様は見た所冒険者みたいですが、パーティーを組んでいるわけでもないみたいですし、奴隷を買われたりなさらないんですか?」


 平然と答える男、堂々と言うんだから、一般的に認められているんだろうか? 少なくとも、密売人とかではなさそうだ。


 しかし、こう普通に奴隷と聞くとなんだが嫌だな。やはり現代日本人としては、違和感しかない。


「金があまり無いんで……」


 持っていなかったが、一応少ないことにしておく。マズイな、お金もなかったら生きていけないんじゃ……。


「それならその盗賊たちは賞金が掛けられていると思いますから、その賞金で買えると思いますよ?」


 まじで、賞金とかあるのか? でも、人を殺してお金貰うって、気分的には最悪だな。


「よろしければ町までお送りしましょうか? 私は町で奴隷商をやっておりますオスカーと申します。よければ私の店にもお越し下さい。命を助けて頂いたのですし、安く致しますよ」


 そう言って笑うオスカーさん。町まで送ってくれるのか、それは嬉しい。賞金も手に入りそうだし、何とか生きて行けそうだ。ただ、結果的に盗賊達のおかげで生きて行けるのだから、気持ちは複雑だった。


「そうですか。ならお願いします。そういえば賞金を受けとるにはどうしたらいいんですか?」


「えっと、武器を持ってギルドに行けばいいんですが、知らなかったのですか?」


 俺が聞くとオスカーさんは驚いた顔をしたが答えてくれた。


 しまった。怪しまれたか。異世界から来たという事は、なるべく知られない方がいいだろう。ごまかそう。


「いや、 田舎から出てきたばかりなんですよ」


 まずったかな? まっ、大丈夫だろう……そう思っておこう。


 俺は死体をなるべく見ない様にしながら、盗賊達の武器を集める。


 俺はいつの間にか、人を殺した衝撃は薄まっていた。余りの事に体が勝手に忘れようとしているのかもしれなかった。




 馬車で町まで送って貰うことになり、俺は馬車に揺られている。


「え~と、これから行く町はなんて町なんですか?」


「冒険者の町マスラです。近くにダンジョンがあって、冒険者が多いんです。アースファルト王国では二番目に大きい町です。」

 

 んー、ゲーム内にはなかった国や町だな、そこまでは一緒じゃないのかな。よく分からないぞ、俺がたまたまチートを持っているだけの、全く違う異世界という可能性もあるな。


「そういえば、さっきの盗賊たちに魔法使いがいなかったですけど、やっぱり珍しいのですか?」


 俺は考えても仕方がないので、ステータスを見て不思議に思っていた事を聞く。


「ええ、魔法の才能がある人は少ないそうです。ハヤト様は魔法を?」


「いや、俺は剣だけです」


 やっぱり珍しいのか。


 そういえば日本語が通じている、異世界だからかな? とにかくよかった。言葉が通じて。何故だか分からないけど、便利だからいいや。


 その後、オスカーさんの話しで、一年は365日で地球と同じ、月や日、時間も同じみたいだと分かった。ほぼ地球と変わらんな。分かりやすくていいや。


 黒髪黒目はいないことはないがそれなりに珍しいらしい。


 それからもオスカーさんと雑談しながら町を目指し、馬車はゆっくりと進んで行く。




「うわ~」


 マスラは俺が予想してたより大きかった。周りは柵で囲まれて正面に立派な門がある。


 マスラに入ると結構人がいた。町並みは中世のヨーロッパの様な感じだ。出店みたいなのがたくさんあって、店の人たちが口々に客引きしている。


 冒険者らしき剣や斧を持った人、ローブを着たいかにも魔法使いだという人もいる。


 驚いたことに耳が尖っているエルフと思われる人や、背が小さくやたら筋肉質なドワーフっぽい人までいた。


 そんな異種族に驚いてまじまじと見ていると、オスカーさんに聞かれる。


「どうしました?」


「いや、俺の故郷には異種族がいなかったから」


 俺はごまかす。


「そうなんですか?ここら辺では普通ですよ」


 と笑っていた。でも、決して嘘ではない……俺の故郷、つまり地球ではいなかったからな。


 十字路に差し掛かった時オスカーさんがこっちを向く。


「そこの角の建物が冒険者ギルドです。盗賊たちの賞金はそこで貰えます。ギルドの登録もしたほうがいいでしょう。向かいが宿屋、私のやっている奴隷商はここを右に曲がった先にあります」


「親切にありがとうございます」


「いえいえ、命を助けられたのですから当然です。奴隷が必要になったら来て下さい。安くしますので」


「それでは」


 そう言って盗賊たちの剣を入れた麻の袋を持って、オスカーさんと別れた。


 麻の袋はオスカーさんに貰った。俺は荷物を何も持っていなかったからな。大きい割には軽く、持ちやすい。


 まず、冒険者ギルドに行ってギルドに登録して、賞金でも貰う事にしよう。


ご感想お待ちしています。


2012 1/30 加筆修正

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