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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第1章 異世界と冒険者
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第2話 盗賊

「何だ!」


 誰かが叫ぶ声を聞く。俺は自分の事かと、驚いて周りを見回すが誰も見当たらない。


 だが、俺は人間の存在を感じられて嬉しくなり、すぐ声がした所を目指して走り出す。すぐにでも、会って話しがしたかった。さっきの声から考えるに、言葉は通じそうだ。


 少し行くと馬車が止まっていた。俺は馬車なんて珍しいなと思いつつ、よく確認もせずに馬車の前に飛び出す。


 俺の目には馬車を取り囲んでいる男達が写し出された。あれ? 見間違いかな? 盗賊に見える。しかも皆さん剣やら斧やらで武装してらっしゃる。


 そして、馬車の方に目を向けると、高そうな服を着たオッサンが震えており、近くに真っ赤に染まった鎧が落ちていた。


 ま、まさか、人じゃないよね? 俺はあの真っ赤な物体が人間だと認めないぞ!


 俺が一人、狼狽していると、盗賊らしき人が一人話し掛けてきた。全部で十人はいそうだ。


「あっ? なんだてめぇは! 何しに来た!」


 うわっ、いきなりの敵対心マックスだ……。俺は、なるたけ話したくなかったけど、答えなかったら殺されそうだと思い、仕方なく答える。


「えっと、たまたまここを通っ――」


「嘘つくんじゃねぇ!」


 ええっ! まさかの人の話しを聞かないパターン?


「わざわざ人が滅多に通らない所を狙ったんだぞ!」


「そうだ! こんな所一般人が通る訳ないだろ!」


 まずい、興奮してきてる。俺は誤解を解く為に、口を開く。


「いや、本当にたまたま通っただけなんです」


「嘘だろ! しっかり剣を装備しているし、もしかしてギルドか?」


「何? ギルドだと、俺らに懸賞金を出してるみたいだからな」


「くそ! もう、手が回ってくるとは!」


 なんだか余計怒らせてしまったみたいだ。それに、勝手に話しが進んでしまっている。このままじゃまずい、非常にまずい。何とかしなくちゃ。


「ち、違いますよ。俺はギルドとか関係ありませんよ」


「はぁ! じゃあ何だってんだ!」


 俺は何かいい言い訳を考える。このままじゃ殺される。何か、何か……、そうだ!


「俺は兄貴達の仲間に入れて欲しいんっす!」


 何言ってんだ俺ー! 俺は自分でも何を言っているんだと思う。


「ふざけてんのか! やっちまえ!」


 一人が言うと、奴らの内二、三人が向かって来る。俺は何故か少し余裕があった。それは、現実味がない為か? 無駄に高いステータスを持っていた為か? どこか冷静な自分がいた。


 先頭の男が、剣を振る。俺はとっさに避ける。だが、頬に鋭い痛みが走る。剣が掠ったのだ。


 俺は痛みに現実味を感じる。俺はここで斬られて死ぬんだろうか。


 俺はそう考えると、怒りが込み上げて来た。意味が分からない。その時、何かが切れる音を聞いた。そこからは、俺は必死に生き残る事以外の事は考えなかった。


 まだ、近くにいた先頭の男を、腰から剣を抜き様に切る。やけに軽く降り抜ける。男の頭は簡単に落ち、鮮血がほとばしる。


 俺はそのまま、後ろの二人に向かう。二人は驚いていた。その隙を狙う。走り出すと、すごく速く走れた。相手の動きも遅く感じた。


「何っ!」


 驚いてる男を切り倒す。続け様にもう一人も切り殺す。辺りに血が舞う。


「てめぇよくも!」


 他の男たちの声が聞こえる。迫り来る剣を避けて切り付ける。また鮮血が飛び散る。次に迫ってきた剣も避ける。そして、切りつける。体が風のように軽い。自分でも驚く様に動く。


 次々と避けては切り付ける。体は止まらなかった。ひたすら生きる事を考え……。


 いつの間にか、立っているのは俺だけになっていた。俺は返り血で真っ赤に染まっていた。


 俺は呆然とする。


 俺は……何を……したんだ…………。


 少しして、俺は自分を取り戻すと自分のした事が、急に怖くなった。


 俺は、人を殺してしまった……。


 必死に吐き気を抑える。


 相手は犯罪者だ……そう、犯罪者なんだ。


 殺さなければ俺が殺されていたんだ、ここは日本じゃないんだ。


 そう自分を無理矢理納得させる。


 そうしないと自分を見失ってしまいそうだった。


 一人で呆然としていると不意に後ろから声が聞こえた。


ご感想お待ちしています。


2012 1/29 加筆修正

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