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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第2章 旅と勇者
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第25話 ハッシュベル

 俺達は馬車に揺られていた。王都には、馬車でも四、五日かかるらしい。


 いくら馬車と言っても普通の馬と違い、人間が走る程のスピードしか出せない。いや、出そうと思えばもっと速く走れるのだろうが、そこまで急いでる訳ではないし、スピードを出せば揺れも激しくなる。


 そんな訳でゆっくり進んでいるのだが、馬車の中では会話が無い。本当に静かだ。


 ミルシアは何時もの事だし、スンは人見知りな所がある事は分かっている。だが今日のスンは人見知りのせいではなかった。俺が昨日、エルメナの事やら、俺が異世界から来たとか、諸々の言ってなかった事を教えたのだ。


 当然スンは混乱していた。だが、俺が異世界の人間なのは、別にどうでもいいと言っていた。って、どうでもいい事は無いと思うんだが……。まぁ、そのままの俺を認めてくれたのだ。ハヤトさんはハヤトさんだと思うの! だとさ、いや~嬉しかったね。


 まぁその事も含め、色々な事を一気に知ったスンは、今も色々考えているんだろう。時折、……異世界、とか、……王女、とか聞こえて来る。ハッシュベルに聞かれてないか心配だ。聞かれると色々マズイ。


 そういえば、スンはここ二、三週間で、相当強くなった。なんせ、スンの故郷から戻ってから、高ランクの依頼とか、ダンジョンに行きまくったからな。


 元々身体能力が高かったのだろうけど、凄く強くなった。その高い身体能力を生かした戦い方は目を見張る物があった。一対一なら俺も負ける程に。


 まあ、俺はチートで、戦闘センスとかは、あまりないからな。……なんとも悲しくなってくる話だ。


 閑話休題。


 ミルシアもスンも話さないし、ハッシュベルはずっと不機嫌そうだ。そんなに嫌だったのか? 俺達との旅が? まぁ、俺も嫌だったんだけど、歩いて王都までは遠すぎる。仕方がなかったんだ。エルメナの手紙にも書いていたんだし。


「なあ、ハッシュベ――」


 俺が話し掛けようとしたら、ハッシュベルは物凄い形相で睨んで来る。怖っ! 俺は諦めて、ミルシアの方に視線をスライドさせる。


「なあ、ミルシア」


「何でしょう?」


「何か話をしないか?」


「……話ですか?」


 俺の言葉に首を傾げるミルシア。


「そう、話だ。暇だから何か話さないか?」


「いいですよ」


「王都って、どんな所なのかな?」


「そうですね……、行った事がありませんから分かりませんね」


「いや、事実を知りたい訳じゃなく、こう、予想というか、希望みたいなのだよ」


「希望ですか? ハヤト様が私のおもちゃに――いえ、何でもありません」


 えっ! 何それ、ミルシアの隠れた希望が垣間見えたよ! 俺はミルシアのおもちゃにされるの!?


「……そ、そうか。いや、もういいよ…………」


「……?」


 ミルシアは何? という顔をしていたけど、俺はミルシアが怖かったんだ。何かいけない事を聞いた気がして。俺は諦める。


 俺はまた、視線をスライドさせるとスンが視界に入って来る。だが、スンは目が死んでいた……。そして、時折聞こえる小さな呟き。怖っ! あのかわいかったスンが!


 俺は話すのを諦めて景色を見ながら揺られ続けた。一日ってこんなに長かったんだね…………。




 結局、一日目の野宿の場所まで話す事はなかった。


 道から少し離れた所に、馬車を止めると御者は馬車を見ておくから、適当な所で野宿して下さいと言う。御者も王族の近衛や王女の客人と一緒に寝るのは、きつかったんだろう。ちなみに御者は二人いる。


 俺達は、ハッシュベルに付いて、野宿の場所を探す。野宿の場所が決まると、俺はハッシュベルに言う。


「じゃあ、俺達がテントを張っておくから、ハッシュベルは薪になる木の枝を集めて来てくれ」


「はぁ、お前ら何を言――」


「そうですね、ハッシュベルさんお願いします」


 さすがミルシア、乗ってくれた。君の願望は恐ろしいけど。


「くっ! だから嫌だったんだよ!」


 ハッシュベルは怒りながらもちゃんと薪を探しに行く。去り際に目に光る物が見えたのは、気のせいだろう。復活したスンは苦笑いしていた。


 俺達はちゃんとテントを張り、ハッシュベルを待つ。テントは二つ男と女それぞれだ。二人で寝ても少し余裕がある広さだ。でも、ハッシュベルはデカイから狭くなりそうだな。


「ん~、遅いな」


「やっぱり、一人で行くのは危なかったかもなの」


「いや、あいつも王族直属の騎士なんだろ、一応。大丈夫だろ」


「そうです。大丈夫です」


 少しすると、ハッシュベルは帰って来た。ハッシュベルは無言で薪に火をつけ、焚火を起こす。


 俺達はそこで持って来た保存食を温めて食べる。冷たいままよりは美味しいかったが、所詮は保存食、パサパサしていた。


 俺達は少し会話して、寝る事にする。見張りは、順番にする事になった。最初はハッシュベル、次に俺だ。女性陣は明日にしてもらう事になった。


 俺達はハッシュベルを残してテントに入る。俺は一日中馬車に揺られたから疲れた。その疲れを癒す為に寝る。




 俺はハッシュベルに揺り起こされる。ん、もう交代の時間か。俺はテントから出ると、まだ軽く火が付いている焚火の前に座る。


 俺は一人考える。果して、本当に勇者の召喚が行われたのだろうか? そして、俺はその勇者なのだろうか? まあ、それも全て王都に行けば分かるのかな。


 俺は、色々考えながら朝まで見張りを続けた。




 結局何も起こらず、朝になった。皆を起こして、朝飯を食べる。残念な事に、またおいしくない保存食だけど……。


 朝食を食べ終わると、赤色が目立つ馬車に乗り出発する。


 俺は昨日の様に暇なのは勘弁なので、ハッシュベルに話し掛ける。


「なあ、ハッシュベルってさあ、何で近衛になったの?」


 俺は適当に質問を投げかける。


「だから、呼び捨てにするな!」


「そうか、姫様が可愛すぎて近くで仕えたかったんだな? まぁ、気持ちは分からなくはない」


 俺がハッシュベルに話すと何故かこうなる。うんうんと頷くスンとミルシア。ハッシュベル弄りに皆さん慣れてきた様で。


「お、お前、ふざけるのもいい加減にしろ!」


 ハッシュベルは今まで散々言われて、溜まっていたみたいで、爆発する。


「よし、いいだろう! 此処で誰が一番偉いのか決めておこう! ハヤト、貴様、私と決闘しろ! その勝者がこの中で一番偉い、それでいいだろ!」


 はぁ? 決闘? こいつはいきなり何を言い出すんだ!?

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