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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第1章 異世界と冒険者
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第23話 スンとルン

 村に着くと柵が破壊されていて、見張りの男達が倒れていた。俺が近づくと1人が顔を上げる。


「魔物が……魔物が村に入っちまった。頼む……村を家族を守って……く……れ…………」



 そう言うと力を失った様に倒れる。俺は近寄り助け起こす。


「おい! しっかりしろ!」


 くそっ、何てことだ! 村人が犠牲になるなんて……ミルシアも近寄り様子を見ている。


「……命に別状はありません」


 そ、そうか、俺が絶対に仇を討ってやる。だから安心して逝きな…………………………………って、命に別状はないだと!? さっきの言葉、完全に死に際の台詞だったぞ?


 いかんいかん! こんな事をしている場合じゃない、急がないと。とりあえずミルシアが言うに2人とも命に別状はないみたいだし。


「急ぐぞ! スン、ミルシア!」


 俺達が村の中心あたりまで走ると、猪の魔物が見つかった。その前には、果敢にも魔物を迎え撃つ村人達の姿が。


「スン! 行ってこい!」


 俺はスンに魔物を倒しに行かす。幸な事に、魔物は一体だけみたいだ。


「分かったの!」


 スンが行くと俺はミルシアに言う。


「ミルシア、スンが危なくなったら助けてやってくれ」


「んっ? ハヤト様はどうするのですか?」


「俺はちょっとしなきゃならない事が出来た」


「そうですか、なら任せて下さい」


 ミルシアは俺のしたい事が分かったのか、詳しくは聞いて来なかった。俺はミルシアから離れて、さっき見つけたルンさんの所に向かう。


「どうです? スンも立派に冒険者してるでしょう?」


 俺は、心配そうにスンを見ているルンさんの横に立ち、同じくスンを見ながら話し掛ける。


 スンは猪の魔物に挑み掛かると、一人で奮闘している。


「っ!?」


 ルンさんは驚いた様にこちらを見る。


「貴方は確か――」


「そう、スンと一緒に冒険者をしている、ハヤトという者です」


「何故、貴方が此処に?」


 ルンさんはスンの方に視線を戻しながら聞いてくる。


「それはルンさん、貴女がスンを心配していると聞いたからものですから」


 スンは今までの疲れか、猪の突進に反応が遅れる。


「あっ!」


 ルンさんは思わず声を出す。だが、俺は安心して見ていられる。


 猪はスンに届く前に突風に飛ばされた。


「い、今のは?」


「今のはもう1人の仲間ミルシアの魔法です。貴女がスンを心配するのは分かります。ですが、スンには俺達仲間がいます」


 スンは倒れた魔物に止めを刺していた。


「スン自身も決して弱くないですし、危なくなったら俺が命を懸けてでも守りますよ」


「…………」


 俺は黙っているルンさんを残してスンの元に向かう。




 次の日、俺達は町に戻る為にスンの家を後にした。




 昨日は、あの後大変だった。村を救った英雄だとか何とか言って、俺達の為に宴会が開かれた。


 宴会では、スンが村の英雄として盛り上げられ、俺達はその仲間という事になっていた。


 まぁ村人達が見た戦闘がスンのだけだったからな。スンも嬉しそうだったし良かった。


 でも、ルンさんがスンに話し掛ける機会はなかったと思う。それが少し気がかりだった。


 俺とミルシアは、村人達に酒を勧められ、飲まされた。


 俺はもちろん飲んだ事がなかったが、意外とおいしかった。だが、残念な事にアルコールにはそんなに強くなかったらしく、二日酔いが酷い。今も頭が痛い。


 ミルシアは酒を飲まされると、すぐに顔が赤くなり、俺に愚痴り、いつも以上の暴言を吐き始めた。酒癖が悪いみたいだ。


 終いには、俺の周りには誰も村人がいなくなった。皆さんミルシアを避けたのだ。俺達は英雄だったんじゃ……。


 と言う具合で騒ぎまくった。結果、今日は昼前まで寝ていた。


 俺もミルシアも二日酔いだった。頭がガンガンする。スンは大丈夫だったみたいで、ピンピンしていた。




 俺達が村を出ようとした時、後ろから声が聞こえた。


「スンー! スン!」


 ルンさんが走って来ていた。俺とミルシアはスンから少し離れる。ルンさんはスンの側まで来ると俯いて息を整える。


 スンは突然の事に驚いて目を見開いている。ルンさんは息が整うと、俯いたまま喋りだす。


「……スン、あの……今まで、無視したりしてゴメンね。わたしはあなたが本当にちゃんとした冒険者に、なれると思っていなかったの」


 ルンさんは顔を上げてスンの顔を見て話す。


「でも、昨日あなたが魔物と戦っているのを見て、ちゃんと大きくなっているんだと知ったの。ちゃんと冒険者としてやっているんだと分かったの」


 ルンさんは俺の方を向き、口元を緩めると言う。


「あなたの事を守ってくれる人もいるみたいだし、もう心配しなくても大丈夫かな?」


「……ルンお姉ちゃん、あたし……あたし……、お姉ちゃんがあたしの事心配してくれてるのを分かってたのに、勝手に村を出て…………ごめんなざい……」


 スンは涙を流しながら謝っていた。スンも色々と思っていたのだろう。


「いいのよ、わたしも無視したりしてゴメンなさい」


 ルンさんはスンを優しく抱きしめる。少しすると、ルンさんはスンを放し、言う。


「スン行きなさい。あなたの仲間達が待っているわ」


「……分かったの。行ってくるの!」


「身体には気を付けるのよ! また、いつでも帰って来ていいのよ!」


 スンが俺達の所まで来ると、ルンさんが大きな声で言う。


「ハヤトさん、ミルシアさん、スンの事を頼みます!」


「もちろんです! 任せて下さい!」


「お任せ下さい」


 俺達はルンさんに見送られて村を出た。


一応これで第1章は終わりです。


第2章もよろしくお願いします。


ご感想お待ちしてます。


2012 3/7 加筆修正

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