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ハーレム目指して何が悪い  作者: かいむ
第1章 異世界と冒険者
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第19話 スン

新年明けましておめでとうございます。


今年もよろしくお願いします。



「ふぁ~」


 俺はギルドに向かいながら欠伸をしていた。眠くはないんだが、自然と出る。


「……ハヤト様はいつも欠伸をしていますね」


 ミルシアが呆れた様な視線を送ってくる。


「そ、そうかな? そんなに……」


「ちゃんと頭が働いてるんですか?」


「ぐっ、だ、大丈夫だと思う……」


「そうなんですか?」


 俺はミルシアから疑いの篭った目を向けられた。まあ俺は基本あんまり考えずに直感で行動する人間だから、ミルシアの言う事を完全に否定する事はできない。悲しいな。


 俺逹はギルドの前まで来ると、スンを探す。


「あっ! いました。んっ、あれは?」


 ミルシアの声に、ミルシアが見ている方を見るとスンがいた。スンは何人かの冒険者と対峙していた。険悪な雰囲気だ。


 近づいていくと、話し声が聞こえてくる。


「だから、俺達が倒した魔物の魔石は何処にあるのか聞いてるんだ!」


「そ、それはギルドに換金を頼んでいるから、受け取ったら山分けにしたら――」


「ハハハ。こいつ何言ってんだ。そんな約束本気にしていたのかよ」


「ハッ、元々お前には分けねぇつもりだったし~」


「お前はただの荷物持ちと囮だよ。大体、お前みたいな無能を誰が必要とすんだよ!?」


 冒険者逹に次々て投げ掛けられる暴言に、スンは泣きそうになっていた。


 俺はこれはスンの事だから、口を出さないで見ていようと思っていたけれど、余りの言いようにこれ以上我慢して見ている事は出来なくなって割り込む。


「よう、スン。待たせたか?」


 スンは俺の声を聞いて、俯いていた顔を上げる。


「ハ、ハヤトさん!?」


 スンは俺を見ると、顔を歪めた。見られたくなかったって所か。スマンな、我慢できなかった。


「あ″っ、お前は何だ?」


「はぁ、あっ! お、おいコイツは……」


 どうやら一人が俺の事に気づいた様子で、他のやつらに耳打ちしている。


「な、なんであんたらがコイツと?」


 一人が恐る恐る、聞いてくる。


「俺達はスンとパーティーを組む事にしたんだ」


「な、何?」


「で、でも、あんたらここに居るって事は、あのドラゴンを倒したんだろう? その実力ならコイツは邪魔にしかならないぞ」


「それに、コイツは俺らを騙して魔石を独り占めする様な奴だぞ」


 次々と焦った様に言う冒険者達。


「おいおい、お前らが騙してスンにただ働きさせようとしたんだろう。んで、しまいには見捨てて逃げ出したんだろう?」


 俺が指摘すると冒険者逹は唇を噛み、スンを睨んでいる。


「それに俺はスンを必要としている」


 俺はスンの頭に手を置きながら断言する。


「くそっ、覚えてろよ! いつか金を取り返してやるからな!」


 ドラゴンを倒した俺達には敵わないと思ったのか、捨て台詞を残して去って行く冒険者達。よかった。


「よかったなスン。あいつらの事は気にしなくていいからな。金も貰っとけ」


「うん。……ね、ねえ、あたしが必要ってどうしてなんですか?」


 スンが恐る恐る聞いてきた。


「えっ! そ、それは…………」


 俺は思ってもいなかった事を聞かれ、狼狽する。


「……やっぱり、必要じゃないですよね……」


「必要と言ったのは嘘だったのですか、最低ですね」


 ミルシアも追い撃ちをかけて来る。


 いや、勢いで言ったんだが、二人の言葉に何か理由を言わないといけないと思い口を開く。


「あ、あれだ、荷物持ちとか?」


「あの人達と同じですか……」


「最低ですね。やっぱり理由はないんですか」


「いや、そういうわけじゃないぞ、ちゃんと理由がある」


 俺は全身から汗が吹き出てくるのを感じた。くそっ、もうやけだ。


「そう、あれだ、スンはかわいいだろう。そう、俺にはスンのかわいさが必要なんだ! 猫耳サイコー!」


 俺は勢いで言い切る。顔が沸騰しそうだ。


「ふえっ……」


「……身体目当てですか、本当に最低ですね」


 スンは顔を真っ赤にして俯く。ミルシアは軽蔑した目で睨んできた。


「もういいだろ! とにかく、スンは俺の癒しだ。さあ、受付に行くぞ」


 俺は逃げる様に言って受付に向かう。いつもの如くミリアさんの所だ。


「何か揉めていたみたいですけど、大丈夫でしたか?」


「ああ、一応は」


「あの人達はしつこい事で有名ですから、気を付けて下さい」


 あいつらしつこいのか。って、しつこくて有名て、一体何をしたんだ。


 スンが狙われるかも知れないな。気を付けよう。


「ありがとうございます。昨日の魔石はどうでしたか?」


 俺が聞くとミリアさんは奥に行って、魔石を持って来た。


「まずハヤト様ですね。これは新しいダンジョンの主ですね?」


 そう言って真っ赤な魔石を取り出した。


「主の討伐ありがとうございました。さすがハヤト様ですね。これであのダンジョンもじき無くなるでしょう」


「いえいえ、倒せたのはたまたまですから」


「この魔石は十五万セールです。他に千セールの魔石が十三個、主を倒したので十万セールで、合計二十六万三千セールです」


 俺がお金を受け取ると、ミリアさんはスンの魔石を取り出す。


「スン様は千セールの魔石が四十八個の四万八千セールです」


 スンもお金を受け取りギルドを後にする。


「なあスン、あいつらに襲われるかも知れないから気を付けろよ」


「あ、はい、分かりました」


 う~ん、心配だな。いっそ――。


「なぁ、俺達と一緒の宿に泊まらないか?」


「え! 良いんですか?」


 スンは俺の言葉に驚いた様に言う。


「ああ、別にいいよなミルシア?」


「ええ、大丈夫ですよ」


「と言う事だ」


「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 俺達はスンの泊まっていた宿に行って、スンの荷物を取って来る。それから、俺達の宿に行く。


 受付にいたニーナの前に立つ。


「ニーナ。また一人増えるけど良いか?」


「はい、大丈夫ですよ。部屋は同じでいいですか? それにしてもハヤトさんはモテモテですね」


「そういうのじゃないよ。部屋は同じでいいよ」


「ベッドを用意できるのは明日になりますが、いいですか?」


「ああ、大丈夫だ。ありがとう」


 俺達は部屋に向かう。


 ベッドは明日ということなので毛布を貰って来る。俺が一人床で寝る事にした。


 ミルシアもスンも自分が床でいいと言っていたけど、俺が床だと押し切った。


 スンは緊張しているのか余り喋らなかったけど、ベッドに横になるとすぐに寝たみたいだ。


 俺も毛布に包まり、すぐに眠った。

ご感想お待ちしてます。


2012 2/24 加筆修正

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