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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第97話「見せる責任」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

「公開します」


 


その一言は、これまでの流れを壊した。


 


責任を“認める”でもない。

責任を“取る”でもない。


 


責任を――


 


“見せる”。


 


 


六本木のラウンジ。


ガラスの外にいる人間たちの動きが、一気に変わる。


 


スマートフォンを握る手。

誰かに電話をかける者。

ただ立ち尽くす者。


 


 


その全員が、同じことを感じていた。


 


 


「そこまでやるのか」


 


 


 


室内。


 


神崎修司は、城戸正宗を見ていた。


 


 


評価でも、否定でもない。


 


 


ただ、確認するように。


 


 


 


「どこまでですか」


 


 


 


城戸は、すぐに答えた。


 


 


 


「意思決定の過程すべてです」


 


 


 


 


真壁が、小さく息を呑む。


 


 


 


それは――


 


 


構造そのものを開く行為。


 


 


 


神崎は、少しだけ間を置いた。


 


 


 


「止められますよ」


 


 


 


 


城戸は、わずかに笑った。


 


 


 


「でしょうね」


 


 


 


 


その余裕は、強がりではない。


 


 


覚悟だ。


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、立ち上がっていた。


 


 


グラスは、テーブルに置かれたまま。


 


 


 


「やりすぎだ」


 


 


 


その声には、初めて“焦り”が混じる。


 


 


 


部下が言う。


 


 


 


「止めますか」


 


 


 


相良は、数秒考えた。


 


 


 


そして――


 


 


 


「止める」


 


 


 


 


その一言で、空気が変わる。


 


 


 


有楽町。


 


城戸の側近たちは、完全に動揺していた。


 


 


 


「それを公開すれば…」


 


 


 


「すべてが露出します」


 


 


 


 


城戸は、静かに言った。


 


 


 


「だからです」


 


 


 


 


その答えは、揺らがない。


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ゆっくりと背もたれに体を預けた。


 


 


 


「なぜ、そこまでやるんですか」


 


 


 


 


城戸は、少しだけ考えた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「あなたが言ったからです」


 


 


 


 


神崎の目が、わずかに動く。


 


 


 


 


城戸は続ける。


 


 


 


「責任は“人の中”にある」


 


 


 


 


「それを示すには、これしかない」


 


 


 


 


その言葉は、静かだった。


 


 


 


だが――


 


 


 


確信があった。


 


 


 


 


神崎は、数秒黙った。


 


 


 


そして、少しだけ笑った。


 


 


 


「やりますね」


 


 


 


 


その一言は、本音だった。


 


 


 


 


そのとき。


 


 


 


神崎のスマートフォンが震える。


 


 


 


通知。


 


 


 


真壁が、画面を見る。


 


 


 


「来ました」


 


 


 


 


神崎が聞く。


 


 


 


「どこから」


 


 


 


 


真壁は答える。


 


 


 


「複数です」


 


 


 


 


モニターに映る。


 


 


 


・関係企業からの問い合わせ

・法務部門からの警告

・匿名の圧力


 


 


 


 


神崎は、小さく呟いた。


 


 


 


「早いな」


 


 


 


 


城戸は、静かに言った。


 


 


 


「当然です」


 


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「だから、急ぎます」


 


 


 


 


その一言で――


 


 


 


空気が切り替わる。


 


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「いつやります?」


 


 


 


 


城戸は、迷わず答えた。


 


 


 


「48時間以内に」


 


 


 


 


その言葉に、全員が息を呑む。


 


 


 


 


赤坂。


 


相良のスマートフォンが鳴り続けている。


 


 


 


だが、出ない。


 


 


 


 


「間に合うか…」


 


 


 


小さく呟く。


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、立ち上がった。


 


 


 


「じゃあ」


 


 


 


 


城戸を見る。


 


 


 


「一緒に見ましょうか」


 


 


 


 


その言葉は――


 


 


 


共闘でも、対立でもない。


 


 


 


“証人”の提案だった。


 


 


 


 


城戸は、わずかに頷いた。


 


 


 


「ええ」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


責任は――


 


 


 


“公開”という形で、現実になろうとしていた。

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