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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第94話「定義の外側」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

ガラス越しに、人の気配が揺れている。


声は届かない。

だが、視線は確実に届いている。


 


その中で、二人の会話だけが静かに進んでいた。


 


「関与の定義によります」


 


城戸正宗の言葉は、曖昧でありながら逃げてはいない。


 


神崎は、その言葉を否定しなかった。


 


ただ、受け取る。


 


そして、ゆっくりと返す。


 


「じゃあ、その定義を教えてください」


 


 


城戸は、少しだけ視線を落とした。


 


考えているわけではない。

整理している。


 


 


「意思決定に直接関わったかどうか」


 


 


神崎は頷く。


 


「その定義で言うと?」


 


 


数秒の沈黙。


 


 


城戸は答えた。


 


「直接は関わっていません」


 


 


 


外の空気が、わずかに動く。


 


 


だが――


 


 


まだ、決定打ではない。


 


 


 


神崎は、視線を外さずに続ける。


 


 


「間接的には?」


 


 


 


城戸の目が、ほんのわずかに動く。


 


 


 


その変化は小さい。


 


 


だが、確実だった。


 


 


 


城戸は、静かに言う。


 


 


「影響を与えた可能性はあります」


 


 


 


その一言で、空気が変わる。


 


 


 


完全な否定ではない。


 


 


だが、認めてもいない。


 


 


 


真壁が、少しだけ息を吐く。


 


 


 


「…来ましたね」


 


 


 


六本木の外。


 


 


ガラス越しに見ている人間たちの動きが変わる。


 


 


スマートフォンを取り出す者。

誰かに連絡する者。

ただ見続ける者。


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、その様子を映像で見ていた。


 


 


 


「うまいな」


 


 


 


小さく呟く。


 


 


 


「逃げてない」


 


 


 


だが同時に。


 


 


 


「決めてもいない」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸の側近たちが、息を詰めて見ている。


 


 


 


誰も口を開かない。


 


 


 


その一言が、どこまで影響するか。


 


 


理解している。


 


 


 


六本木。


 


神崎は、少しだけ体を前に出した。


 


 


 


「可能性、ですか」


 


 


 


城戸は頷く。


 


 


 


「はい」


 


 


 


神崎は、静かに言った。


 


 


 


「便利な位置ですね」


 


 


 


 


城戸の目が、ほんのわずかに鋭くなる。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「関与してないとは言えない」


 


 


 


「でも責任も取らない」


 


 


 


 


その言葉は、淡々としていた。


 


 


 


だが――


 


 


 


核心を突いている。


 


 


 


城戸は、数秒黙った。


 


 


 


その沈黙は、これまでとは違う。


 


 


 


言葉を選んでいる。


 


 


 


そして、口を開いた。


 


 


 


「責任は、立場によって変わります」


 


 


 


 


神崎は、わずかに笑った。


 


 


 


「いい言葉ですね」


 


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「でも」


 


 


 


 


その一言で、空気が引き締まる。


 


 


 


神崎は言った。


 


 


 


「その“立場”を作ってるの、あなたですよね」


 


 


 


 


完全な静寂。


 


 


 


外の動きが、止まる。


 


 


 


真壁が、息を止める。


 


 


 


 


城戸は――


 


 


 


初めて、視線を逸らした。


 


 


 


ほんの一瞬。


 


 


 


だが、それは明確だった。


 


 


 


その夜。


 


 


 


対話は――


 


 


 


“定義”の外側へと踏み込んだ。

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