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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第93話「見える場所」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

場所は、六本木に決まった。


だがそれは、ただのオフィスではない。

ガラス張りのラウンジスペース。

外からも中からも見える構造。


 


完全な公開ではない。

だが、完全な非公開でもない。


 


“見える場所”。


 


その設計自体が、意思だった。


 


 


六本木・パパラッチ・パパラッチ オフィス。


 


真壁がレイアウトを確認している。


 


「ここに座ると、外からシルエットは見えます」


 


スタッフが言う。


 


「音声は?」


 


 


「取れません。ただ、動きは全部見える」


 


 


 


神崎は、その空間を見渡した。


 


 


逃げ場がない。


 


 


だが――


 


 


“隠れる必要もない”。


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、その情報を受けて笑っていた。


 


 


「いいな」


 


 


 


部下が言う。


 


 


「公開に近い形です」


 


 


 


相良は頷く。


 


 


 


「見せる気だな」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、移動の準備をしていた。


 


 


スーツの袖を整える。

ネクタイの位置を直す。


 


 


スタッフが言う。


 


 


「本当に行かれるのですね」


 


 


 


城戸は、鏡を見たまま答えた。


 


 


 


「ここで行かなければ、終わります」


 


 


 


 


その言葉に、迷いはなかった。


 


 


 


六本木。


 


夜。


 


 


ガラスの外には、すでに人の気配がある。


 


 


記者ではない。

通行人でもない。


 


 


“見ている人”。


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「集まってますね」


 


 


 


神崎は、静かに頷いた。


 


 


 


「見たいんだろ」


 


 


 


 


数分後。


 


 


エレベーターが開く。


 


 


 


城戸正宗が、姿を現した。


 


 


 


空気が、変わる。


 


 


 


ゆっくりと歩く。


 


 


 


無駄のない動き。


 


 


 


神崎と、目が合う。


 


 


 


数秒。


 


 


 


何も言わない。


 


 


 


だが――


 


 


 


すでに、対話は始まっている。


 


 


 


城戸が、席に着く。


 


 


 


神崎も座る。


 


 


 


ガラス越しに、外の人間が見ている。


 


 


 


 


城戸が、口を開いた。


 


 


 


「こういう形にしますか」


 


 


 


その声は、落ち着いている。


 


 


 


神崎は答える。


 


 


 


「見える方がいいんで」


 


 


 


 


城戸は、わずかに頷いた。


 


 


 


「なるほど」


 


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「では、始めましょう」


 


 


 


 


その一言で――


 


 


 


空間が、切り替わる。


 


 


 


 


神崎は、城戸をまっすぐ見た。


 


 


 


「まず確認させてください」


 


 


 


 


「この件に関与していますか」


 


 


 


 


直球。


 


 


 


一切の装飾がない。


 


 


 


 


外の空気が、一瞬止まる。


 


 


 


城戸は、すぐには答えなかった。


 


 


 


数秒。


 


 


 


その沈黙が、重い。


 


 


 


そして――


 


 


 


「関与の定義によります」


 


 


 


 


その返答は、曖昧だった。


 


 


 


だが――


 


 


 


逃げてはいない。


 


 


 


 


神崎は、少しだけ笑った。


 


 


 


「便利な言葉ですね」


 


 


 


 


城戸は、静かに返す。


 


 


 


「正確な言葉です」


 


 


 


 


二人の視線が、ぶつかる。


 


 


 


ここから先は――


 


 


 


“言葉の戦い”になる。


 


 


 


その夜。


 


 


 


見える場所での対話は――


 


 


 


すべての視線を集めながら、静かに始まった。

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