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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第91話「沈黙の代償」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

沈黙は選択だ。


だが、その選択には必ず“代償”が伴う。


 


六本木のオフィス。


モニターには、新しい動きがはっきりと映り始めていた。


 


・広告契約の一部停止

・番組出演者の差し替え検討

・共同プロジェクトの一時保留


 


 


真壁が言う。


「明確に“避けられて”ますね」


 


神崎は、静かに頷いた。


 


「距離を取り始めた」


 


 


スタッフが言う。


 


「でもこれ…確定じゃないのに」


 


 


神崎は答える。


 


「確定してなくても、リスクは避ける」


 


 


 


それが企業の判断だった。


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、報告を受けながら小さく笑った。


 


 


「来たな」


 


 


部下が言う。


 


 


「想定より早いです」


 


 


 


相良は、グラスを置いた。


 


 


 


「沈黙のコストだ」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗のデスクの上には、複数の資料が並んでいた。


 


 


契約見直し。

リスク評価。

影響分析。


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


「このままでは、損失が拡大します」


 


 


 


城戸は、静かに資料を閉じた。


 


 


 


「分かっています」


 


 


 


 


その声は落ち着いている。


 


 


だが――


 


 


完全ではない。


 


 


 


スタッフが続ける。


 


 


「対応を取るべきでは」


 


 


 


城戸は、ゆっくりと顔を上げた。


 


 


 


「今、何を言っても」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「疑いを確定させる材料になる」


 


 


 


 


その判断は正しい。


 


 


だが――


 


 


コストが大きい。


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ホワイトボードの前に立っていた。


 


 


「沈黙」

「影響」


 


 


その下に、新しく書く。


 


 


「代償」


 


 


 


真壁が言う。


 


 


「見えてきましたね」


 


 


 


神崎は頷く。


 


 


「見せたかったやつだ」


 


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「でも…これ、潰しに来ますよ」


 


 


 


 


神崎は、少しだけ笑った。


 


 


 


「来るな」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良のスマートフォンが震える。


 


 


 


新しい連絡。


 


 


 


「別ルートでの調整、進めますか」


 


 


 


相良は、数秒考えた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「やる」


 


 


 


 


その声は、低かった。


 


 


 


有楽町。


 


城戸の元にも、別の報告が入る。


 


 


 


「外部からの圧が強まっています」


 


 


 


城戸は、静かに言った。


 


 


 


「分かっています」


 


 


 


 


そして――


 


 


 


初めて、少しだけ視線を落とす。


 


 


 


ほんの一瞬。


 


 


 


 


六本木。


 


神崎のスマートフォンが震えた。


 


 


 


知らない番号。


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「出ますか」


 


 


 


神崎は、画面を見たまま答えた。


 


 


 


「出る」


 


 


 


 


通話ボタンを押す。


 


 


 


「はい」


 


 


 


数秒の沈黙。


 


 


 


そして、声。


 


 


 


「…城戸です」


 


 


 


空気が、止まる。


 


 


 


神崎は、表情を変えない。


 


 


 


「どうも」


 


 


 


 


城戸が言う。


 


 


 


「一度、お話しできますか」


 


 


 


 


短い言葉。


 


 


だが――


 


 


すべてを変える一言。


 


 


 


神崎は、少しだけ間を置いた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「いいですよ」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


沈黙は――


 


 


 


ついに、破られようとしていた。

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