表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/94

第90話「沈黙の圧力」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

沈黙は、音よりも強い。


何も言わない。

何も否定しない。

何も認めない。


 


だが――


 


そこに“意志”があることだけは、誰にでも分かる。


 


 


六本木のオフィス。


モニターには、城戸正宗の名前が流れ続けている。


 


「反応しないの逆に怖い」

「普通なら否定するよね?」

「何も言わないってどういうこと?」

「様子見てるだけじゃない?」


 


 


真壁が言う。


「完全に“解釈のフェーズ”ですね」


 


神崎は、静かに頷く。


 


「答えがないからな」


 


 


スタッフが言う。


 


「でもこれ…」


 


 


言葉を選ぶ。


 


 


「こっちからは動きづらいですよね」


 


 


神崎は、画面から目を離さずに答える。


 


 


「動かなくていい」


 


 


 


その言葉に、全員が一瞬止まる。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「今は、向こうの番だ」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、グラスを持ったまま動かない。


 


 


城戸が動かない。


 


 


それは想定通り。


 


 


だが――


 


 


“止まりすぎている”。


 


 


 


相良は、小さく呟く。


 


 


 


「何を待ってる」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、机の上に置かれたスマートフォンを見ていた。


 


 


通知は増え続けている。


 


 


だが、手は伸びない。


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「沈黙を続けるのですか」


 


 


 


城戸は、静かに答えた。


 


 


 


「続けます」


 


 


 


 


「沈黙は、選択です」


 


 


 


 


その一言に、部屋の空気が固まる。


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ホワイトボードの前に立っていた。


 


 


「沈黙」


 


 


その文字を、じっと見ている。


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「どう崩します?」


 


 


 


神崎は、すぐには答えなかった。


 


 


 


数秒。


 


 


 


「崩さない」


 


 


 


 


真壁が、少しだけ眉を上げる。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「崩れるのを待つ」


 


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「それ、時間かかりますよ」


 


 


 


神崎は、静かに答えた。


 


 


 


「時間はかける」


 


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「その代わり、深くなる」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良のスマートフォンが震える。


 


 


 


新しい報告。


 


 


 


「一部企業が、城戸氏との契約を見直し始めています」


 


 


 


相良の表情が、わずかに変わる。


 


 


 


「…早いな」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸の元にも、同じ報告が届く。


 


 


 


「影響が出始めています」


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「対応を…」


 


 


 


城戸は、ゆっくりと首を横に振った。


 


 


 


「まだです」


 


 


 


 


その声は、変わらず静かだった。


 


 


 


だが――


 


 


 


ほんのわずかに、重さが増している。


 


 


 


六本木。


 


神崎は、モニターを見ていた。


 


 


 


新しい流れ。


 


 


 


「企業が動き始めた?」

「やっぱり何かあるのか」

「でも確定じゃないよね」

「でも無視できない」


 


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「外側から来ましたね」


 


 


 


神崎は頷く。


 


 


 


「内側より早い」


 


 


 


 


そして、小さく呟いた。


 


 


 


「崩れ始めたな」


 


 


 


 


ホワイトボードに、新しく書く。


 


 


 


「影響」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


沈黙は――


 


 


 


初めて、“圧”として形を持ち始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ