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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第87話「反応の層」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

名前は、爆発しなかった。


だが、沈まなかった。


 


それは炎のように燃え上がるのではなく、

水に落ちたインクのように、ゆっくりと広がっていく。


 


六本木のオフィス。


モニターには、相良宗一の名前を含んだ投稿が増えている。


 


「関与が疑われる、ってどういうこと?」

「断定じゃないのが逆にリアル」

「でもこれだけじゃ弱い」

「でも流れ的には一番ありそうな位置」


 


 


真壁が言う。


「きれいに分かれましたね」


 


神崎は頷く。


 


「三層だな」


 


 


スタッフが聞く。


 


「三層?」


 


 


神崎は、画面を見ながら言った。


 


「信じる層」


 


 


「疑う層」


 


 


「判断しない層」


 


 


 


その整理は、正確だった。


 


 


そして――


 


 


一番重要なのは、最後の層。


 


 


 


神崎は、静かに続ける。


 


 


「ここが動くかどうかだ」


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、まさにその“判断しない層”を見ていた。


 


 


熱はない。

怒りもない。

断定もない。


 


 


だが――


 


 


“残っている”。


 


 


相良は、グラスを指で回しながら呟く。


 


 


「消えないな」


 


 


 


部下が言う。


 


 


「対応、どうしますか」


 


 


 


相良は、少しだけ考えた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「一回、触る」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、静かに言った。


 


 


 


「来ますね」


 


 


 


スタッフが聞く。


 


 


 


「何がですか」


 


 


 


城戸は答える。


 


 


 


「反応です」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎のスマートフォンが震えた。


 


 


通知。


 


 


 


新しい投稿。


 


 


 


「相良宗一氏、本件への関与を否定」


 


 


 


短い声明。


 


 


 


「事実無根であり、法的措置も検討している」


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「触りましたね」


 


 


 


神崎は、静かに画面を見ている。


 


 


 


そして――


 


 


 


少しだけ笑った。


 


 


 


「出てきたな」


 


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「これ、まずくないですか」


 


 


 


「法的措置って…」


 


 


 


 


神崎は、首を横に振る。


 


 


 


「むしろいい」


 


 


 


 


その言葉に、全員が一瞬止まる。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「無視されるのが一番困る」


 


 


 


 


真壁が頷く。


 


 


 


「反応=関与の証明ではない」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「でも、“関係がある可能性”は強まる」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良は、声明文を出したあと、静かに画面を見ていた。


 


 


 


反応が流れる。


 


 


 


「否定したな」

「まあそう言うよね」

「逆に怪しい」

「いや、普通に無関係でしょ」


 


 


 


 


相良は、小さく笑った。


 


 


 


「いい」


 


 


 


 


その目は、まだ余裕を持っている。


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ホワイトボードの前に立つ。


 


 


 


「名前」

「一人目」


 


 


その横に、新しく書く。


 


 


 


「反応」


 


 


 


 


そして、その下に。


 


 


 


「二人目」


 


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「行きますか」


 


 


 


神崎は、ゆっくりと頷いた。


 


 


 


「次だな」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


最初の名前は――


 


 


 


“動き”を引き出した。

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