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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第80話「止まる連鎖」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

一人が止まると、空気が変わる。


音ではない。

命令でもない。

だが、確実に伝播する。


 


都内の制作会社。

朝。


 


会議室の空気が、いつもと違っていた。


 


プロデューサーが資料をめくる。

ディレクターが視線を落とす。

若いADが、メモを取る手を止める。


 


 


「この件、どうする?」


 


 


誰かが口にした瞬間、全員が同じものを思い浮かべる。


 


「関係者によると」


 


 


 


ディレクターが言う。


 


「裏取れてないですよね」


 


 


プロデューサーが答える。


 


「いつもそんなもんだろ」


 


 


だが、その言葉に力はなかった。


 


 


ADが、小さく言う。


 


「でも、今は…」


 


 


 


その“今”が、すべてを変えている。


 


 


 


六本木。


 


真壁がモニターを見ながら言う。


 


「二つ目、来ました」


 


 


神崎は、静かに頷く。


 


「いい流れだ」


 


 


 


スタッフが言う。


 


「でもこれ…時間かかりますよ」


 


 


神崎は答える。


 


「早い必要はない」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


「むしろ遅い方がいい」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、資料をテーブルに投げた。


 


 


「面倒くさいことになってきたな」


 


 


 


部下が言う。


 


 


「現場の判断が止まっています」


 


 


 


相良は、椅子に深く座る。


 


 


 


「止めるか」


 


 


 


その一言に、部屋の空気が固まる。


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、同じ報告を受けていた。


 


 


 


「各所で確認プロセスが増えています」


 


 


 


城戸は、静かに言う。


 


 


 


「当然です」


 


 


 


スタッフが聞く。


 


 


 


「対応は?」


 


 


 


城戸は答える。


 


 


 


「何もしません」


 


 


 


 


スタッフが驚く。


 


 


 


「よろしいのですか」


 


 


 


城戸は、わずかに目を細めた。


 


 


 


「これは止められない」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ホワイトボードの前に立っていた。


 


 


「最初の一人」


 


 


その下に、新しく書く。


 


 


「二人目」


 


 


 


そして、その横に。


 


 


「連鎖」


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「もう止まりませんね」


 


 


 


神崎は、静かに答えた。


 


 


 


「いや」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「止めに来る」


 


 


 


 


その瞬間。


 


 


 


オフィスの空気が、わずかに張る。


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


 


「誰が」


 


 


 


神崎は、答えた。


 


 


 


「上だ」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良が、電話を取る。


 


 


 


「…ああ」


 


 


 


相手の声は聞こえない。


 


 


 


だが、相良の表情がわずかに変わる。


 


 


 


「分かってる」


 


 


 


短く答える。


 


 


 


「動く」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸の元にも、別の連絡が入る。


 


 


 


「調整の指示が来ています」


 


 


 


城戸は、静かに目を閉じた。


 


 


 


「来ましたね」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、スマートフォンを見ていた。


 


 


 


新しい通知。


 


 


 


「会いたい」


 


 


 


差出人。


 


 


 


相良宗一。


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「…来ましたね」


 


 


 


神崎は、画面を見たまま言った。


 


 


 


「来たな」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


止まり始めた構造は――


 


 


 


次の段階へと、押し戻されようとしていた。

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