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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第79話「最初に動く者」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

揺れは、小さく始まった。


誰かが声を上げたわけではない。

誰かが暴露したわけでもない。


 


ただ、現場で“止まる”人間が出た。


 


 


都内の編集プロダクション。


深夜。


 


締切間際のフロアで、一人の男がキーボードの上で手を止めていた。


 


記事の最終確認。

見出しの調整。

いつも通りの流れ。


 


だが――


 


画面の中の一文が、どうしても引っかかる。


 


「関係者によると――」


 


 


その一行に、指が進まない。


 


 


隣の席の同僚が言う。


 


「どうした?」


 


 


男は答えない。


 


 


ただ、画面を見ている。


 


 


 


六本木。


 


神崎は、複数の現場の動きをモニターで追っていた。


 


 


「来たな」


 


 


真壁が頷く。


 


 


「一人、止まりました」


 


 


 


神崎は、静かに言った。


 


 


「最初はいつも一人だ」


 


 


 


赤坂。


 


相良のもとに報告が入る。


 


 


「記事が一本、止まっています」


 


 


 


相良は、眉をわずかに動かした。


 


 


 


「理由は?」


 


 


 


「確認中です」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸も同じ報告を受ける。


 


 


 


「現場の判断が鈍っています」


 


 


 


城戸は、静かに答えた。


 


 


 


「鈍っているのではない」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「考えている」


 


 


 


 


編集プロダクション。


 


男は、ようやく口を開いた。


 


 


 


「これ…本当に出していいのか?」


 


 


 


同僚が、少し笑う。


 


 


 


「今さら何言ってんだよ」


 


 


 


男は、画面を指差した。


 


 


 


「この“関係者”って、誰だよ」


 


 


 


沈黙。


 


 


 


同僚は、答えない。


 


 


 


答えられない。


 


 


 


 


六本木。


 


真壁が言う。


 


 


 


「連鎖、始まりますね」


 


 


 


神崎は、静かに頷いた。


 


 


 


「始まるな」


 


 


 


 


編集プロダクション。


 


男は、キーボードから手を離した。


 


 


 


そして、言った。


 


 


 


「これ、一回止めよう」


 


 


 


同僚が、顔をしかめる。


 


 


 


「は?今さら?」


 


 


 


男は、ゆっくりと首を振る。


 


 


 


「今だからだ」


 


 


 


 


その一言で――


 


 


何かが、切り替わった。


 


 


 


赤坂。


 


相良のスマートフォンに、新しい報告が入る。


 


 


「他の案件でも、確認作業が増えています」


 


 


 


相良は、小さく笑った。


 


 


 


「広がったな」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸は、静かに言った。


 


 


 


「止まり始めましたね」


 


 


 


スタッフが聞く。


 


 


 


「これは良いことですか?」


 


 


 


城戸は、少しだけ考えた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「どちらとも言えません」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、ホワイトボードを見ていた。


 


 


「圧力」

「選択」


 


 


その横に、新しく書く。


 


 


「最初の一人」


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「重要ですね」


 


 


 


神崎は頷いた。


 


 


 


「全部ここからだ」


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


構造は――


 


 


 


初めて、“内側から”止まり始めた。

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