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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第78話「揺らす設計」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。



最終判断者さいしゅうはんだんしゃ

大手企業・メディア・広告を横断する意思決定の中核にいる人物。

七年前の神崎のスキャンダルにも関与していたとされ、

今回、音声や記録によってその関与が可視化される。

当初は「組織の一部」として責任を曖昧にするが、、、



観客かんきゃく

SNSのユーザー、視聴者、一般の人々。

当初は消費者として情報を受け取る存在だったが、

神崎の言葉によって「選ぶ側」へと引き上げられる。

本作において、最終的に“物語の意味を決定する存在”。

六本木のオフィスに戻ったとき、空気はすでに“次”に切り替わっていた。


誰も言葉にはしない。

だが、全員が理解している。


 


ここからは――


追うフェーズではない。


 


“動かす”フェーズだ。


 


 


神崎は、ホワイトボードの前に立った。


 


「金」

「人」

「構造」

「責任」

「証拠」

「自分」

「判断」

「残るもの」


 


そのすべてを一度、横線で消す。


 


スタッフが、息を飲む。


 


 


神崎は、新しく書いた。


 


 


「圧力」


 


 


その一言で、意味が変わる。


 


 


真壁が言う。


 


「どこにかけますか」


 


 


神崎は答える。


 


「全部に」


 


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、グラスを揺らしていた。


 


 


まだ来ていない。


 


だが、来る。


 


 


「そろそろだな」


 


 


その予感は、確信に近い。


 


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、静かに資料を見ていた。


 


 


スポンサーの動き。

広告の流れ。

番組の編成。


 


 


「どこから来るか」


 


 


小さく呟く。


 


 


 


六本木。


 


神崎は言った。


 


 


「一番下から行く」


 


 


スタッフが聞く。


 


 


「下、ですか」


 


 


神崎は頷く。


 


 


「現場」


 


 


 


真壁が、すぐに理解する。


 


 


「記者」


 


 


 


神崎は首を振る。


 


 


「もっと下」


 


 


 


一瞬の沈黙。


 


 


 


そして、真壁が言う。


 


 


「…外注」


 


 


 


神崎は頷いた。


 


 


 


「制作、編集、フリー」


 


 


 


「切られても誰も困らない層」


 


 


 


 


スタッフの空気が変わる。


 


 


 


そこは、“守られない場所”だ。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「そこに、情報を流す」


 


 


 


「曖昧なやつを」


 


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「確定じゃない情報、ですね」


 


 


 


神崎は頷く。


 


 


 


「判断させる」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良のスマートフォンが震える。


 


 


メッセージ。


 


 


「現場で噂が回り始めています」


 


 


 


相良は、少しだけ笑った。


 


 


 


「来たな」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸の元にも、同じ報告が入る。


 


 


 


「現場での混乱が広がっています」


 


 


 


城戸は、静かに目を閉じた。


 


 


 


「なるほど」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、モニターを見ていた。


 


 


小さな記事。

匿名の投稿。

現場の証言。


 


 


まだ、弱い。


 


 


だが――


 


 


広がっている。


 


 


 


スタッフが言う。


 


 


「これで…上が動きますか」


 


 


 


神崎は、少しだけ考えた。


 


 


 


そして答える。


 


 


 


「動かないと困る状況を作る」


 


 


 


 


真壁が言う。


 


 


 


「逃げられないように」


 


 


 


神崎は頷く。


 


 


 


「そう」


 


 


 


 


ホワイトボードに、さらに書く。


 


 


 


「選択」


 


 


 


 


「動くか」


 


 


 


「止めるか」


 


 


 


 


 


赤坂。


 


相良は、静かに言った。


 


 


 


「止めるか」


 


 


 


 


有楽町。


 


城戸は、静かに言った。


 


 


 


「動くか」


 


 


 


 


六本木。


 


神崎は、何も言わなかった。


 


 


 


ただ、見ている。


 


 


 


 


その夜。


 


 


 


構造は――


 


 


 


静かに、揺れ始めた。

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