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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第69話「決める側」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。

「俺は、決めない」


その言葉は、会場の中心に落ちたまま、しばらく動かなかった。


 


誰もすぐには反応できない。

それは逃げではない。責任放棄でもない。


 


むしろ――


最も重い役割の放棄だった。


 


決めることを、他者に渡す。


 


 


有楽町の会場。


記者の一人が、ゆっくりとマイクを握る。


 


「…では、我々が判断する、ということですか?」


 


神崎はその記者を見る。


 


少しだけ、柔らかく。


 


「違います」


 


一拍置く。


 


「“あなたたちも”です」


 


 


その言葉に、会場の温度がわずかに変わる。


 


 


「記者だけじゃない」

「見てる人間も」

「関わった全員」


 


 


責任が、拡散する。


 


だが同時に、具体化する。


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、画面を見ながら目を細めた。


 


「やるな…」


 


 


これは、逃げではない。


 


むしろ逆だ。


 


 


“審判”の役割を、全員に押し付けた。


 


 


 


有楽町。


 


壇上の男は、神崎の言葉を静かに聞いていた。


 


 


その目は、さっきとは違う。


 


 


敵を見る目ではない。


 


 


理解しようとする目。


 


 


 


男は言った。


 


 


「それは、責任の放棄では?」


 


 


 


神崎は、少しだけ笑った。


 


 


「そう見えますか」


 


 


 


男は答える。


 


 


「はい」


 


 


 


神崎は、ゆっくりと頷いた。


 


 


 


「じゃあ、あなたはどうします?」


 


 


 


その問いは、鋭かった。


 


 


 


男は、一瞬だけ言葉に詰まる。


 


 


 


神崎は続ける。


 


 


 


「あなたは、さっき責任があるって言いましたよね」


 


 


 


男は頷く。


 


 


 


「はい」


 


 


 


神崎は言う。


 


 


 


「じゃあ、どう取るんですか」


 


 


 


 


会場の空気が、再び引き締まる。


 


 


 


これは、逃げられない問いだった。


 


 


 


責任を認めた以上――


 


 


次に問われるのは、“行動”だ。


 


 


 


男は、マイクを握り直す。


 


 


 


指に、わずかな力が入る。


 


 


 


そして、言った。


 


 


 


「…私は」


 


 


 


一瞬、目を閉じる。


 


 


 


開く。


 


 


 


「本件について、すべての役職を辞任します」


 


 


 


 


会場が、揺れる。


 


 


 


記者たちが一斉に動く。


 


 


 


「辞任ですか!」

「いつ付けで!」

「後任は!」


 


 


 


だが、その中心にいる二人は、動かない。


 


 


 


神崎は、ただ見ている。


 


 


 


男は、続けた。


 


 


 


「そして、調査に全面的に協力します」


 


 


 


その言葉は、はっきりしていた。


 


 


 


逃げではない。


 


 


 


“受ける”選択。


 


 


 


六本木。


 


真壁が小さく呟く。


 


 


「決めましたね」


 


 


 


神崎は、ゆっくりと頷いた。


 


 


 


「ああ」


 


 


 


 


赤坂。


 


相良は、その発言を聞いてグラスを置いた。


 


 


 


「綺麗に落としたな」


 


 


 


だが、その目は冷静だった。


 


 


 


「ただ」


 


 


 


少し間を置く。


 


 


 


「これで終わりじゃない」


 


 


 


 


有楽町。


 


壇上。


 


 


男は、神崎を見た。


 


 


 


その視線に、もう敵意はなかった。


 


 


 


ただ、問いがあった。


 


 


 


「これで、あなたは満足ですか」


 


 


 


 


神崎は、少しだけ考えた。


 


 


 


そして、答える。


 


 


 


「満足はしてないですね」


 


 


 


 


男が聞く。


 


 


 


「なぜですか」


 


 


 


 


神崎は、静かに言った。


 


 


 


「これは終わりじゃないから」


 


 


 


 


その言葉は、会場全体に広がる。


 


 


 


責任が出た。


 


行動も出た。


 


 


 


だが――


 


 


 


それは、ただの“一区切り”に過ぎない。


 


 


 


神崎は、最後に言った。


 


 


 


「ここからですよ」


 


 


 


 


その一言で――


 


 


 


この物語は、次の段階へと進み始めた。

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