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パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


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第63話「最終判断者」

『パパラッチ・パパラッチ』登場人物一覧

神崎かんざき 修司しゅうじ

本作の主人公。

元人気俳優で、七年前のスキャンダルによって芸能界を引退。

現在は実業家として成功し、「パパラッチ・パパラッチ」という会社を立ち上げた。

芸能人を追い回す記者を逆に取材するという前代未聞のビジネスを開始し、

メディア・芸能界・スポンサー・政治の裏側にある「物語を作る構造」に戦いを挑む。



真壁まかべ あおい

パパラッチ・パパラッチの調査責任者。

元新聞記者。

報道の裏側を知る人物で、神崎の最も信頼する右腕。

理性的で冷静だが、神崎の手法の危うさを常に理解しており、物語の中で「倫理の視点」を持つ存在。

神崎の行動に疑問を持ちながらも、彼の覚悟を理解し、共に戦う。



佐伯さえき 圭一けいいち

神崎の元マネージャー。

神崎が新人だった頃から担当していた人物。

しかし七年前、相良宗一から金を受け取り、神崎のスキャンダル情報を週刊誌に流したことが発覚。

神崎の人生を壊すきっかけを作った「裏切り者」。



黒川くろかわ 真也しんや

週刊誌記者。

七年前、神崎のスキャンダル記事を書いた人物。

仕事として記事を書いただけだと語る、典型的なゴシップ記者。

神崎にとっては「直接の加害者」ではあるが、同時にメディア構造の中で動く一人の歯車でもある。



相良さがら 宗一そういち

芸能界の大物プロデューサー。

テレビ・映画・音楽業界に強い影響力を持つ人物。

神崎のスキャンダルの裏側で暗躍していた可能性が高い。



城戸きど 正宗まさむね

広告業界の伝説的存在。

日本最大の広告代理店の元会長で、現在は政府のメディア戦略顧問。

テレビ・広告・政治を横断する巨大な影響力を持つ。



有里ゆり

神崎の元恋人。

七年前のスキャンダル当時、神崎の最も近くにいた人物。

現在、週刊誌で「元恋人の独占告白」として登場し、

神崎にとって最も痛い形の攻撃材料として利用される。

六本木のオフィスに、これまでで一番長い沈黙が落ちた。


モニターの光だけが、部屋の輪郭をぼんやりと浮かび上がらせている。


神崎修司のスマートフォンには、すでに投稿が完成していた。


「最終判断者」


そのタイトルの下に並ぶのは、これまでとは明確に質の違う情報だった。


構造ではない。

説明でもない。


一点に収束している。


 


真壁が静かに言う。


「ここ、最後のラインですよ」


神崎は答えない。


 


スタッフの一人が言う。


「これ出したら…」


言葉が続かない。


 


別のスタッフが補う。


「完全に“個”です」


 


 


数秒の沈黙。


 


 


神崎は、ゆっくりと口を開いた。


 


「最初からそうだろ」


 


 


真壁が見る。


 


神崎は続けた。


 


「構造を作るのは人だ」


 


少し間を置く。


 


「最後に決めるのも、人だ」


 


 


その言葉は、静かだった。


だが、逃げ道を残していなかった。


 


 


赤坂。


 


相良宗一は、グラスを持ったまま動かなかった。


 


何かを待っている。


 


投稿。


 


その瞬間を。


 


 


相良は小さく呟く。


 


「どこまで行く」


 


 


有楽町。


 


城戸正宗は、タブレットを見つめていた。


 


画面は更新されない。


 


まだ来ない。


 


 


城戸は言う。


 


「ここからが本当の勝負です」


 


スタッフが聞く。


 


「何がですか」


 


城戸は答える。


 


「誰を出すか」


 


 


六本木。


 


神崎は、スマートフォンを見つめていた。


 


投稿。


 


名前。


 


役職。


 


そして――


 


判断の記録。


 


 


そのすべてが、そこにある。


 


 


指が、わずかに動く。


 


 


だが、止まる。


 


 


ほんの一瞬。


 


 


七年前。


 


 


名前は出なかった。


 


 


構造も、責任も、曖昧なまま終わった。


 


 


だから、何も変わらなかった。


 


 


 


神崎は、ゆっくりと息を吐いた。


 


 


真壁が言う。


 


 


「迷ってますか」


 


 


 


神崎は、少しだけ笑った。


 


 


 


「当たり前だろ」


 


 


 


その言葉に、部屋の空気がわずかに緩む。


 


 


だが、次の言葉で戻る。


 


 


「でも」


 


 


 


神崎は、画面を見たまま言った。


 


 


 


「迷ったままやる」


 


 


 


その一言に、全員が黙る。


 


 


 


送信。


 


 


 


数秒後。


 


 


世界が変わった。


 


 


 


SNSに現れた投稿。


 


 


「最終判断者」


 


 


 


そこに書かれていたのは――


 


 


一人の名前だった。


 


 


 


 


静寂。


 


 


 


そして、一気に崩れる。


 


 


「これヤバい」

「マジで出した?」

「終わった」

「これ本当に出していいやつ?」


 


 


 


赤坂。


 


相良は、その名前を見て、ゆっくりと笑った。


 


 


「そこか」


 


 


その声には、驚きと納得が混じっていた。


 


 


 


有楽町。


 


城戸は、画面を見たまま動かなかった。


 


 


数秒。


 


 


そして、静かに言った。


 


 


「来ましたね」


 


 


 


六本木。


 


真壁が言う。


 


 


「完全に出ましたね」


 


 


神崎は答えない。


 


 


ただ、モニターを見ている。


 


 


そこに映る名前。


 


 


七年前に、出なかった名前。


 


 


 


神崎は、小さく呟いた。


 


 


 


「やっと出たな」


 


 


 


その声には、達成感も、安堵もなかった。


 


 


 


ただ――


 


 


重さだけがあった。


 


 


 


その夜。


 


 


物語はついに――


 


 


“責任の中心”に到達した。

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