表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パパラッチ・パパラッチ  作者: 礼嗣


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/94

第13話「スポンサー」

テレビ局の力は、表から見るよりずっと単純な構造で動いている。


視聴率。


スポンサー。


金。


その三つだけだ。


政治の影響もある。世論の圧力もある。だが最後に決めるのは、広告費だ。


広告費が消えれば番組は終わる。


スポンサーが降りればテレビ局は謝罪する。


それが現実だった。


 


パパラッチ・パパラッチのオフィスでは、巨大なモニターが並ぶ会議室に社員が集まっていた。


神崎修司はホワイトボードの前に立っている。


そこには、テレビ局の名前が並んでいた。


日テレ

TBS

フジ

テレ朝

テレ東


その横に、別のリスト。


スポンサー。


自動車会社。

通信会社。

化粧品メーカー。

飲料メーカー。


日本の大企業が並んでいる。


神崎は言った。


「テレビ局は」


マーカーでスポンサーの方を丸で囲む。


「ここで生きてる」


真壁葵が腕を組む。


「スポンサー攻撃?」


神崎は頷く。


「そう」


社員の一人が言った。


「でも」


「スポンサーは」


言葉を選ぶ。


「簡単に動かない」


神崎は笑った。


「動くよ」


ホワイトボードを指す。


「条件がある」


社員が聞く。


「条件?」


神崎は言った。


「炎上」


会議室が少し静かになる。


神崎は続けた。


「企業が一番怖いもの」


マーカーで書く。


「ブランド毀損」


真壁が小さく息を吐いた。


「つまり」


神崎は頷く。


「テレビ番組に広告を出すと」


書く。


「炎上する」


社員の一人が言った。


「そんなことできるんですか」


神崎は答えた。


「できる」


 


神崎はリモコンを押した。


モニターにデータが表示される。


SNS分析。


企業名。


テレビ番組名。


炎上履歴。


 


神崎は言った。


「この会社」


画面を指す。


ある飲料メーカーだった。


真壁が言う。


「大企業」


神崎は頷く。


「この会社」


「過去三回」


モニターを切り替える。


「広告先の番組が炎上してる」


社員が言った。


「偶然?」


神崎は笑った。


「違う」


社員たちが神崎を見る。


神崎は言った。


「作った」


会議室の空気が少し変わる。


真壁が静かに言った。


「それ」


「危ない」


神崎は答える。


「知ってる」


真壁は神崎を見た。


「それ」


「世論操作です」


神崎は笑った。


「違う」


真壁が眉を上げる。


神崎は言った。


「観測」


真壁は黙る。


神崎は続けた。


「SNSってさ」


モニターを指す。


「火種がある」


「でも」


少し笑う。


「火をつける人間もいる」


社員の一人が言った。


「つまり」


神崎は言った。


「火種を見つけて」


「火をつける」


真壁は静かに言った。


「それ」


「ダークヒーローですね」


神崎は笑った。


「ヒーロー?」


少し考える。


「違う」


真壁が聞く。


「じゃあ」


神崎は答えた。


「記者と同じ」


真壁は黙った。


それは、正しい。


神崎のやっていることは。


構造を壊すために。


同じ構造を使っている。


 


会議室の空気が少し重くなる。


社員の一人が言った。


「社長」


神崎が見る。


社員は言った。


「俺たち」


「本当に正しいんですか」


真壁がその社員を見る。


神崎は少し黙った。


それから言った。


「分からない」


社員が驚く。


神崎は続けた。


「でも」


窓の外を見る。


「正しいことだけやって」


笑う。


「この世界は変わらない」


真壁は神崎を見ていた。


神崎の目は、迷っていなかった。


だが。


迷いがないわけでもなかった。


 


そのとき。


会議室のドアが開いた。


社員が飛び込んでくる。


「社長!」


神崎が振り向く。


「どうした」


社員は言った。


「スポンサー」


「一社」


息を整える。


「降りました」


会議室が静まり返る。


真壁が聞く。


「どこ」


社員は言った。


「東海飲料」


神崎は少し笑った。


「早いな」


社員が言う。


「理由」


「炎上です」


神崎は頷いた。


「予定通り」


真壁は神崎を見た。


「つまり」


神崎は言った。


「始まった」


 


その頃。


都内の高層ビル。


広告代理店の会議室。


城戸正宗は、静かにニュースを見ていた。


画面には。


スポンサー降板。


その文字。


城戸は笑った。


「神崎修司」


秘書が聞く。


「どうします」


城戸は言った。


「面白い」


窓の外を見る。


「久しぶりだ」


秘書が聞く。


「何が」


城戸は言った。


「物語を」


少し笑う。


「壊そうとする役者」


そして。


ゆっくり言った。


「潰す」


 


物語は。


まだ。


序盤だった。


 


そして。


神崎修司はまだ知らない。


この戦いが。


 


日本最大の広告戦争に。


 


発展することを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ