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答え「スフィンクスの愛撫」より~クノップフ【ギリシャ神話】

挿絵(By みてみん)

Fernand Khnopff フェルナン・クノップフ 1896

La Caresse de la Sphinx『スフィンクスの愛撫』

(著作権フリーの画像を掲載しています)


─────────────────────────




君の出す謎々(なぞなぞ)に答えを突きつけて

息の根を止めようなんて思ってないよ


ずっと旅をして来たんだ

握りしめた知性の杖を頼りに

なんでも解き明かして

そうさ、解き明かしたつもりで


どうやら どこかで青い玄関の柱を(くぐ)

君の()む世界へと踏み込んでしまったらしい


君に触れたい

心の求めるままに

ビロードの肌 しなやかな四肢

うねる豊かな髪に


君は何も言わない

僕も言葉を捨てて

本能の声にだけ 耳を傾ける


捨てきれない杖から

知性の宝石が 冷たく問いかけてきた


 朝は 産み落とし (はぐく)む者

 昼は 寄り添い (いつく)しむ者

 そして夜は 心の奥底で求める原型


謎々の答えは

母親の顔をした獣


違う!

君は 僕の追い求める芸術

ミューズ 理想そのもの

君自身が 謎々なんだ


きっと ここが旅のゴール

答えの出ない怪獣を相手に

僕は思いを()ね上げて

言葉以外の形に整え 捧げる


黙って愛撫しつつ

獣の鉤爪が お腹に触れるたび

体を引き裂かれるんじゃないかって

ひやひやしながら




─────────────────────────



ギリシャ神話「オイディプスとスフィンクス」



ギリシャの都市国家、テーバイ。

ライオス王とイオカステ王妃の間に、子どもが生まれました。


しかし、神託が下ります。(byアポロン神殿)


「この子は、やがて父を殺し、母と結ばれるだろう」


結ばれるって、つまり母親と結婚するってこと。

心底ビビった王と王妃は、生まれたばかりの赤子の足を縛り、山に捨ててしまいます。


この赤子が「オイディプス」。

縛られて「腫れた足」を意味するのだそう。ひどいネーミング。


ところが、さすがに王子様。

生まれながらツキを持っていたようで、別の王家に拾われます。

コリントス王のポリュボスと王妃メロペ。二人は、実の子としてオイディプスを育てました。


時がたち、立派な青年となったオイディプスは、よせばいいのに神託を受けます。


「お前は父を殺し、母と結婚する運命にある」


神さまはブレません。同じ内容の神託を下しました。


ところで、オイディプスはコリントス王と王妃が実の父母だと思っています。

「そんなのダメだ。愛する両親を自分の運命に巻き込みたくない!」

と、国を離れ旅に出たのです。


これで、運命は回避できた。

安心していたオイディプスでしたが、そうは問屋が卸しませんでした。


旅の途中、オイディプスは年老いた男に出会います。

従者を引き連れていて、なんか偉そう。


「道を譲れ」

狭い山道で横柄に言われ、若いオイディプスに火が付きました。

だって自分も王子様だしね。

「いや、お前が譲れよ」


激しい口論となり、とうとうオイディプスは相手を殺してしまいました。


……その相手の男こそ、誰あろう自分の父、ライオス王。


「お前は父を殺し、母と結婚する運命にある」

知らぬまま、予言の前半が成就してしまったのです。



そして、予言の後半はどうなったか。


旅するオイディプスは、都市国家テーバイに着きました。

もちろん、自分の生まれの国とは知らずに。


ところが、テーバイはスフィンクスという怪物に苦しめられていました。

町の入り口に座り込んで、通る者に謎々を出すのです。


「朝には四本足、昼には二本足、夜には三本足になるものは何か?」


正解を答えられなかったら、即アウト。

食い殺されてしまいます。

命がけのクイズ王選手権状態。

誰も答えられずに、死屍累々。



挿絵(By みてみん)

Gustave Moreau ギュスターヴ・モロー

Oedipus and the Sphinx オイディプスとスフィンクス 1864

(著作権フリーの画像を掲載しています)




そこに、オイディプスがやって来て、みごとに謎を解きます。


「それは人間だ。幼いときは四つん這いで、成長して二本足で歩き、老いて杖をつく」


スフィンクスは敗北を悟り、崖から身を投げて死にました。

プライド高いなあ。

もしくは、スフィンクスが体現しているのは野性や本能とかの「倒せない何か」で。

オイディプスの「知性」が、それに勝利したって示すためですかね。



それはさておき。

オイディプスは、国の危機を救った英雄として称えられます。


「こいつが王になればいいんじゃね?」

テーバイの王ライオスは亡くなっていました。

殺したのは、他ならなぬこいつですけど。


そして、おあつらえ向きに未亡人となっていた王妃イオカステと結婚。


「お前は父を殺し、母と結婚する運命にある」

予言の後半も、結局、成就してしまいました。


そして、当事者も外野も誰一人気づかないまま、四人の子どもをもうけます。


やがて、テーバイ国に疫病が蔓延しました。

またここで、オイディプスは神託を受けました。よせばいいのに×2


すると、返ってきたのは恐ろしい言葉でした。


「この国を汚しているのは、父を殺し、母と寝た男である」


調べた結果、ここで全ての真実が明るみに出ました。


王妃イオカステは、絶望のあまり首を吊って命を絶ち。

「もうなにも見たくない。自らの罪も、世界の真実も」

オイディプスは、針で自分の目を突いて盲目となり、放浪の旅に出ましたとさ。



どれだけ抗っても、神々の定めた運命は避けられない。


世界の謎を解くほどの知性を持つオイディプス。

だが、自分という謎を解くことはできなかった。

それが悲劇。

――でも、それが人間というもの。



というオチのお話です。

ギリシャ神話って、ほんとうにバッドエンディングが過ぎる……。

話の展開は面白いんですけどね。



クノップフの「スフィンクス」。

ギリシャ神話のストーリーとは違った印象を与えて来ます。

二人は寄り添って、なんだか親密そう。


このオイディプスはスフィンクスを倒そうとはしていない。

戸惑ってはいるけれど、静かに考えている。

そして魅かれている。


ああ、このスフィンクス自体が、彼自身なんだ。

この絵は、彼の心の風景なんだ。

そんな気がして書いた詩です。



挿絵(By みてみん)

ChatGPTで作ったスフィンクス実写風



★★なお、AI画像生成に悪戦苦闘している様を投稿しております★★


挿絵(By みてみん)

https://ncode.syosetu.com/n7288li/

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