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死んじゃった!

予期せず、知らない町をリコと歩くシチュエーションが生まれた。古民家と細い用水路に挟まれ、日が差さずに湿っている裏路地を入院着で歩くリコを後ろから見ていた。リコは、僕の心のざわつきに構わず無邪気に歩いているのが分かる。地面に生える苔を、突然しゃがんで観察したりして、彼女のあまりにミスマッチな服装も相まって人工知能が作成したイラストのような光景だった。もとい、今自分の目が捉えている状況から現実味が全く得られなかった。そもそも今は晩冬であり、春が少しづつ訪れているとはいえまだ桜も咲いていない。新聞には、まだ公立高校の受験問題も載っていない。今あんな薄着をしていることは、一般的にはおかしい事なのに。それなのに、僕は未だに彼女が本物の藤リコであることを信じようとしている。


リコが消えた。よく消えるなぁと思ったら左肩から腕が回ってきて、俺の首に凄い勢いで引っ掛けた。明らかにリコのそれではないと分かる、筋肉質な腕だった。


「ウゲエエェー...」


首はどんどんと絞まっていき、やがて頬から目尻にかけて電撃のような熱が走る。熱に食われるように視界が褪せていく。俺を取り巻いていた超常現象のゴールは、俺の死だったみたいだ。腕に噛み付いて悪あがきしようかと画策したものの、情けなくて諦めてしまった。


「...ハハハ」


笑ったのは誰?声の判別はもうできない。死んだら、冥土の土産に教えて欲しいな。




首に掛かった腕が(ほど)けるのと一緒に、四宮の体は地面に崩れ落ちた。

青く湿った裏路地のコンクリートに、体重と一緒に四宮の体温が伝わる。四宮は、白くなる。四宮は、溶けたように、倒れたまま、遠くで電車のブレーキの音がしたのを、誰もいない駅のホームのトタン屋根が反射した。

前書きと後書きって書かなくても投稿できるんだね

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