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車窓から

ちょっと頑張りました

あと書いてる途中で一回タブ閉じて全ロスした

二両編成の列車に揺られながら車窓に映る知らない田んぼや山を眺めていると、つい一昨日や昨日の記憶が徐々に朧気になっていく。疎らな乗客や控えめな車内広告、エンジンの胎動を直接感じられるような熱すぎる暖房。その全てが病院食のような安心感があり、新しい門出を祝っているみたいに、俺を包んでくれた。


トンネルに入ると、寒さに枯れた田園風景は真っ黒い闇に染められ、その代わりに窓は痩せこけた自分の顔を映した。あまりの変わり様に失笑してしまった上、こんな顔を見ても俺が生きてきた22年を思い起こすことはなかった。


終着駅はその十数分後にアナウンスで告げられた。この場所から離れたくなかった俺は、大儀そうに立ち上がって、ドアの前に立った。フシューと音がして、2枚のドアが、また大儀そうに開いた。

他の人に分からないように少しだけ腕を前に伸ばして、指先で外気を撫でる。エンジンに温められ湿った指先に、凍った空気が何本も刺さってしまうが、今ではそれも愛らしく感じられた。


一歩足を前に出すと、これからの生活に心が踊る様。もう一歩、これまでの生活に別れを告げるように。とうとう俺は、この列車と完全に分離した。


焦げ茶色の、今にも割れてしまいそうなトタン屋根。雨風に晒されすっかり褪せてしまった、時刻表のラミネート。元々住んでいたところも都会ではなかったが、全てが新鮮に感じられた。


周りの風景を見渡す。程々に田舎ではあるものの、遠くにはジャスコが見えるし、近くにダイハツの販売店があったので、俺にとって理想的な空間に来たものだった。


駅にもう1人、女が居ることに気がつく。バレないように少しだけ目を凝らすと、病院からそのまま出てきたような格好をしているのが見て取れた。その時、俺は否応なしに消えた恋人の事を思い出して、嫌だった。足早に、ここを去って、早く新しく住む場所を、早く見つけよう、

駅を降りる階段を探し当てて、年甲斐もなく2段飛ばしで駆け下りる。



「四宮くん」

呼ばれてしまった。俺の名前。どうして?俺は、ここに来ることを、誰にも、言っていないのに。

そもそも、彼女はまだ入院しているはずなのに。突然消えたと思ったら、なぜこの町にいるのか?

然るに、この女は、先回りをしていたのか?

ありがとう

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