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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
宝探しはワクワクします。
65/65

トレジャーイベント〜一対十は大変ですね。③〜

 あと五人、編成は....


 ①戦士職

 リーダーさん(格闘系)、メイス使いさん

 ②魔法職

 電撃魔法使いさん、土魔法使いさん

 ③生産職かロール職

 草刈り鎌使いさん


 意外と編成のバランスがいいですね。乱戦気味故にやりやすさもあったのに。


「てめぇ、調子に乗るな!」

 おっと、リーダーさんが殴りかかってきました。僕は盾で何とか捌きます。

 うーん、何というか動きの精細さというんですかね? ゲームのような補正感がない気が...


「やっぱり、格闘技経験者ですか?」

「うるせぇっ! “バレットジャブ"」

「ぶっ!」

 顔を殴られました。早過ぎます。早過ぎて拳が捉えられませんでした。


 いけないいけない。お、意外とダメージもありますね。『クイック・ブロウ』の強化版ですかね?


「で、実際は?」

「だから、答える、気は、ない!」

 殴りかかるリーダーさん。ゲーム内のステータスのおかげで何とか防いだり、直撃を避けたりします。


 残念。でもまあ、気が逸れた(・・・・・)なら十分です。


「っ!?」

 摺り足気味に肉薄しようとしたリーダーさんですが、その動きは不自然に止まり、更に体勢が崩れます。


 成功。


 けど、リーダーさんもよろめきながらも殴りかかってきました。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 オレはこのチームのリーダーを任されている。


 実力だって決して低くない。


 実際、以前のバトルイベントは予選三回目まで行った程だ。


 けど、本線にはいけなかった。理由は単純だった。


 同じグループ内にヤツ(・・)がいたからだ。


 あの、最強の男が...


 チームメンバーも結局他のネームドプレイヤーとかにやられてしまった。


 もう一回言うが、オレ達は弱くない。


 一方でウォーカーという変なプレイヤーは予選一回目をクリアしただけなのに変に目立ちやがった。

 戦績だけならオレが上のはずだ。


 だが、悔しかった。無名の奴があのジャンヌ=ダルクを相手に接戦を繰り広げてみせたことが悔しかった。

 ネームドプレイヤー相手に渡り合ってみせたことができなかったオレ達への当てつけな気もしてしまった。


 願うなら正々堂々戦って勝ちたかった。


 だけど、このイベントでは負ける訳にはいかない。

 だからチームで挑んだ。


 なのに、こいつは....オレ達を、弱いと...


 オレ達は衝動的になってウォーカーを追いかけた。


 10対1だぞ、なんでもう半分やられてるんだよ!


 ふざけんなよ、なぁ!?


 オレは踏み込んだ足が何かに躓いた。

 咄嗟に視線を足下に見た。


 んな、地面が盛り上がって...


 だが、このまま倒れる訳には...


 オレは拳を伸ば.....しブッ!


 今度は顎が何か打ち上げられ...肘?!


 アセンディング・エルボー...かよ。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 踏み込んでくる前に『アース』で盛り上げた地面に躓いたリーダーさん。


 だけど咄嗟に前のめりになりながら拳を伸ばしてくるから焦りました。

 顔に当たりそうだったので咄嗟に躱します。


 その時、動かしていた僕の肘がリーダーさんの顎を打ち上げました。


 ありゃ?


 リーダーさんが気絶...してますね。


「なんか知りませんが、ラッキー」

 僕はナイフを取り出してトドメを刺すことにします。


「させるか! “ライトニングスピア"!」

「うわっ!」

 電撃魔法使いさんの指先から放たれた攻撃を僕は盾で受け止め...きれないですね。またダメージが。


 ならリーダーさんは放置で、厄介な電撃魔法使いさんを。


「“マグチェイスショット"ッ!」

 おっと、これは? バチバチした電気の大きな球が放たれて迫ってきます。サイズ感のわりに早いですね。


「“アースバンプ"」

 盛り上げた地面で即席の壁を作りますが、消されます。まずいですね。


 何とか避けないと..

「おっと」

 あ、躓いて..ナイフも...

 ん、当たってない?

 というか、逸れた? もしかして..


「チッ、もう一発!「てやぁ」バブァッ!」

 っと、追撃させないために僕は足下の土塊を拾って投げつけます。


 さっき消された『アースバンプ』の残骸です。

 ダメージはなくとも動きを止められるならよしです。


 体勢を立て直して反撃を「じっとしなさい! “スパイクフィールド"!」

 と思ってたのですが...


 土魔法使いさんの前方の地面から棘棘の石か何かが出てきました。そしてその棘棘はこちらの地面にも...

「“アースバンプ"」

 その前に地面を盛り上げて勢いに任せてジャンプします。

 危ない危ない、何とかジャンプに間に合いましたけど、間に合わなくて棘棘の地面に押し上げられたらと思う...


「ふんっ!」

 おおっと、メイス使いが待ち構えてました。

 傘で受け止めます。


「“クエイクノック"!」

 わわ、何か振動が...これ、ガードブレイク?

 HPが削られます。


 ポーション、ポーションっと、あ、これ違う。


「そのチャチな傘は、壊させてもらう!」

 あ、それは無理ですね。これ()耐久性(Durability)∞なんで。


「出来るものならどうぞ」

「っ、テメェ!」

 簡単に挑発に乗りましたね。


「このっ!」

 おお、傘を狙ってきてますね。

 けど、付き合う義理はないので。


「ほい」

 目の前に放り投げます。


「へ?」

 きょとんとしてくれました。なので、

「“ファイア"」

 隙あり、です。


「うわっ!」

 眼前の火に驚いてくれています。

 なので蹴り上げます。股間を。


 “キーンッ!"

「ハウっ!」

 何か変な音しませんでした。

 あ、メイス使いさんが悶えてる。痛みはないはずですけど、ショックはあるのかな?


「ちょ、それ酷くない!」

 あ、草刈り鎌使いさん。女性から見てもやはりまずいですかね。


 あと、その手に持ってるポーションは何ですか? 回復ですか? させません。

「“スティール"」

 なので奪います。


「あ、ちょ、返して!」

 はい、どうぞ。


 ぶん投げて返します。

「きゃいんっ!」


 薬瓶を投げつけてやります。

 怯みはしましたけど、ダメージはそこまでないですよね。


「っう、回復しないと」

 あ、それ使おうとしたら...


 “ボフンッ!"

「きゃんっ!」

 薬瓶から毒々しい煙が出て草刈り鎌使いさんの顔に直撃します。


「は、はへ?」

 お、効いてる効いてる。


 ■■■■■■■■■■


『失敗したポーション』


 [効果]

 HP減少

 状態異常(ランダム)


 [解説]

 ポーション開発の過程で出来た失敗作。使用しようとするとそのまま逆にダメージを受けてしまうので使わないでください。早急に処分してください。


 [製作者]

 ウォーカー(P)


 ■■■■■■■■■■


 メイス使いさんの攻撃から回復しようと出した時に間違えて出してしまった失敗作だったので奪ったポーションとすり替えて投げつけてやりました。


 まさか、そのまま使われるとは思いませんでしたが。


 ポーション容器の形って統一されてるんですよね。だから勘違いしたのですね。

 よかった、仕舞わなくて。


 あの様子は、混乱ですかね?

 流石に酩酊って状態異常はないですものね。

 このゲーム、未成年のプレイヤーもいますし...


 そして隙あり。

「“俊突"」

 槍を出して急所を一突きです。


「っうく!」

 咄嗟に左胸に当たるのを庇う草刈り鎌使いさん。


「“ウェポン・チェンジ"」

 なら次は頭です。

 取り出した長剣を両手で持って振りかぶります。


「っ!」

 草刈り鎌を頭上に構えて防御姿勢を取ってきました。

 意外とこの人、受け方が上手い感じですね。ダメージは負っても急所とかは避けて致命傷にはならないようにって感じの。


「“断截(だんせつ)"」

 けどまあ、ガードブレイク効果を持ったこのスキルを防ぐのは無理ですけど。

 武器ごと切られて遂に倒れる草刈り鎌使いさん。


 さて、次は..「“ストーンバレット"」

 おっと、またですか。


「“ウェポン・チェンジ"」

 傘を出して...


「“パラヴィース"」

 広げて防御です。


「だったら、“ストーンシェル"ッ!」

 っと、大玉ですか。これは防げないですね。


「“アースバンプ"」

 前へジャンプです。


 よし、これなら届く。

「カサーベル」

 変形させながら振り抜きます。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 くっ、しまった。防がれるから威力重視の『ストーンシェル』を放ったけど躱された。


 ウォーカーはそのままこっちへジャンプしてくるし。


 う、速い。何なのこいつ?

 魔法使う癖に戦士職くらい動いてるでしょ。


「カサーベル」

 また傘で攻撃...

 こうなったら後ろに倒れて間合い外に...


「うぐっ!」

 え? 何で、当たって...

 え? 傘が裏返って..


 どういうこと?


 ーーーーーーーーーーーーーーー


「カサーベル」

 僕は柄尻部分の飾りを回して『アンブレランス』にします。

 フェイント狙いで嘘を言いましたが、引っかかってくれました。


 伸びた傘が喉元を捉え、土魔法使いさんをよろめかせます。


 後ろに倒れて間合いから逃れようとしていた土魔法使いさんにはもう、次の攻撃を躱す術はないでしょう。


「“ウェポン・チェンジ"」

 なので、ナイフでトドメを刺します。


「しまっ..」

 倒れる土魔法使いさん。


 あと三人。


「“マグチェイスショット"」

 雷魔法使いさんですか。でも、その魔法のネタは読めましたよ。


「“スローイング"」

 僕はナイフを放り投げます。


 すると、大きな電球(言い方合ってます?)はそちらに引き寄せられました。


 やっぱり、金属系武器に引き寄せられる特性があったみたいですね。


 続けて、

「“ウィンドカッター"」

 速度に長けた風魔法です。


 残念、当たったのは肩でした。

 怯みつつもこちらに指先を向ける雷魔法使いさん。

 だから、ネタは読めてますって。


「“ライトニングスピア"」

 指先から電気が飛んできます。早いけど、指先で狙いが読めるんですよね。


 半身になって躱...せました。若干ジグザグしてるから掠りそうでした。

「っ!?」

 いや驚くことじゃないでしょうに。


 某空手の達人高校生なんかはライフル銃を躱したなんてとんでも技を披露してたんですから。

 まあ、フィクションですけど。


 そして驚く隙を突いて僕は短剣を投げつけます。

 今度は手のひらに当たりました。


 そしてまた怯んだ隙を狙って接近してからの...


「“クイック・ブロウ"」

「ブフォッ!」


 からの、

「“ウェポン・チェンジ"」

 剣を出して首を狙って切り、倒します。


 これで残りは二人。


「ウォーカーッ! テメェよくも!」

 おお、メイス使いさんが復活しました。

 まあ、大事な所を蹴られたショックで動けなかった感じですものね。


 リーダーさんは...あら、まだ起きない。誰も起こそうとしてなかったのですね。


 なら、

「新技の実験させていただきます」

「っ!! 舐めるなっ!」

 大振りのメイスを、躱してからの、


ネック(首辺りのお肉)

 まずは首元にハイキック。


「がっ!」

 仰け反りました。


ショルダー(肩辺りのお肉)

 次は踵落としの要領で肩。


「うぐっ!?」

 前に倒れるのを踏ん張りますか..


 でも背後がガラ空きです。

ラック(背中辺りのお肉)ロイン(腰辺りのお肉)

 連続で蹴ります。ってか、出来ましたカポエイラキック。やった。


「が、はっ!」

 おお、堪えますね。


「この..」

ブレスト(胸辺りのお肉)

 振り返ってくれたので足裏で押すように蹴ります。


「うぇほっ!」


レッグ(もも辺りのお肉)

 更にももパーン、です。


「い"い"っ!」

 よし、後は・・


「この、いい加減..」


 そしてラストの、

「ジンギスカン・ショット!」

 後ろ蹴り、です。


「だがぁっ!」

 顔面にもろに入りました。


 そして、格好つけて一言。

「デザートは、別腹です」

 ここでタバコを吸ってたらもっと格好良かったですかね?

 まあ、僕はタバコ吸いませんし、吸ったとしても格好良く吸えるかどうか...




 軽く吹っ飛ぶメイス使いさん。

 持っていたメイスは吹っ飛び、あ、リーダーさんに当たりましたね。


「んん...」

 あ、起こしちゃった。


「っぅ、一体...」

 辺りを見るリーダーさん。

 少し離れた先で倒れたメイス使いさんが退場するのを見つけました。


「え...?」

 キョロキョロしてますね。

 お仲間を探してるのでしょうか。


「もう他の方はいませんよ」

「・・・は?」


「ですから、他の方は全員倒しましたよ」

「・・・嘘だろ」

「いえ、事実ですね」

 呆然としてますね、リーダーさん。




「...で」

「ん?」

「...んで!」

「え?」

「なんで、勝てないんだよっ!」


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 目を覚ますと、そこはまだイベントのフィールドだった。


 オレは気絶したからやられてた思ってたのに、まだトドメを刺されていなかった。


「え...?」

 チームメンバーに助けられたのかと思ったのに、目を開けた時にはどこにも仲間達がいない。ってか、見つけた一人が目の前でリタイアしてる。


 俺が辺りを見ていたら、

「もう他の方はいませんよ」

「・・・は?」

 何言ってるんだウォーカー(コイツ)は?


 だって、ウォーカーの仲間と思しき奴は一人もいない。それじゃつまり、

「ですから、他の方は全員倒しましたよ」

「・・・嘘だろ」

 コイツ一人で倒したのか?

 10対1だぞ。


 そんな訳...

「いえ、事実ですね」

 ・・・ふざけるなよ。


「なんで」

「ん?」


「なんで!」

「え?」


「なんで、勝てないんだよっ!」

 ふざけるなよ!


「こっちは10人だぞ!」

「ですね」

 コイツは1人だぞ。


「レベル差だってそこまでないだろ!」

「おそらくは」

 手応えからしてレベル差はないはずだぞ。


「なら何で、何で勝てないんだよ!」

 くそっ、何言ってんだよオレは・・


「ふむ...」

 って、何考えてんだよコイツ。真面目に答えようとしてんのか?


 ・・・・・


「運ですね」

「んがっ!」

 何だよその回答っ!

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