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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
始めてみました。
6/59

すごい称号のようです。そしてトラブル発生のようです。

 目を開くと最初の町『ファスタ』(という名前でした)の中に僕は立っていました。




 色々と調べ物をしていたので何をしようか? と頭が混乱してきますね。


 えっと...そうそう称号を確認しないと。


 僕はメニュー画面の[ステータス]を開き、そこにある[称号]の欄を見てみました。


 ■■■■■■■■■■


 Name:ウォーカー  Lv.2

 Job:遊び人

 称号:乾坤一擲の勝負師


 ■■■■■■■■■■


 えっと、称号(これ)に触ればいいのかな?




 僕が称号に触ると案の定、表示画面が変わりました。


 ■■■■■■■■■■


『乾坤一擲の勝負師』


[概要]

 自らの命を賭け、生死の境すらも遊び場にしてみせた者が得る称号。

 この称号を持つ者は飛躍的な成長を遂げる。それも自身が不利な状況下ほど、自身が窮地に陥っているほどに高みへ至る。


[効果]

1.獲得経験値増加補正。以下の条件下においては更に増加する。

①自身よりもステータスの高い敵との戦闘時

②戦闘時、敵の数が自身(及びパーティー)よりも多い時(数の差が多いほど増加)

③自身の体力が残り少ない時(少ないほど増加)

④自身が状態異常の時(かかっている状態異常の数が増えるにつれ増加)


2.固有スキル『●●●●』の発動。

 ※現在このスキルは使用条件を満たしていないので発動できません。


 ■■■■■■■■■■




 ・・・・・・・

「はっ!」


 いけないいけない、驚きのあまり唖然としてしまいました。


 経験値増加...僕には嬉し過ぎる称号ですね。

 しかし、誰も持っていないんですかね?


 初心者の僕が手に入れられた称号ですし...


 ガイさんに会えたら聞いてみますかね。




 よし!

 折角の称号、使わせていただきましょう。

 モンスターと戦い経験値を稼ぎましょう。


「と、その前に...」

 僕は改めて自分の格好を見ます。


 防御力が皆無な服装、武器は初期装備の短剣。




 ならば、まずは買い物ですね!


 資金は....足りますかね?


「よお、ウォーカー! また会ったな」

「あ、ガイさん。昨日はご親切にありがとうございました」


 考え込んでいた時に来てくれたガイさん。渡りに船とはこのことですね。


 ん? よく見ると後ろにいる方々は?


「ん、ああ、今からコイツらとダンジョンに行く所なんだよ」

「ああ、お仲間の方でしたか」

 おっと、こちらの目線で気づいてしまったのですね。ご予定があるのではお時間を取る訳には行きませんね。


「それでは、ご健闘をお祈りします」

「はは、悪いな。そっちも頑張れよ」

「ええ、いってらっしゃい」

 そうして僕はガイさんとお仲間の方々の出発を見送ります。




 とりあえず、お店に行ってみましょうか。






 まずはアイテムショップに。


 僕のレベルも低いですから、HPポーションもLv.1のものをとりあえず5本。




 次は武器屋ですね。


 お店の中は正にThe ファンタジーでした。

 多彩な武器が所狭しに並んでいて目移りしてしまいます。


 剣に短剣、槍、弓矢...おお、鞭やナックルなんてのもありますね。


 試しに近くにある大剣に近づいてみます。


 ■■■■■■■■■■


『グレートソード』


[性能]

 POW:+70

 SPE:-20

 DEX:-10


 Durability:75


[解説]

 大剣の一種。その質量とリーチにより一撃の威力が高い。代わりに扱いが難しくなっている。


[製作者]

 たまこちゃん(P)


 ※あなたのPOWでは使用できません。


 ■■■■■■■■■■


 あ、僕では使えないのですね。

 残念、少し使ってみたかったんですが。


[性能]をよくみると増加ではなく減少するステータスもありますね。

 ああそっか、重くて大きいから速く動けず当てるのが難しくなってしまうのですね。




 他はどうでしょう?


 ・・・・・・・


 一通り見させていただいた後、僕でも装備出来る『青銅の剣』と『黒曜石の槍』、『レザーナックル』を購入しました。

 どれも初期装備よりは少し性能がいいといったものなのでお手頃なお値段でした。




 では次は防具屋に!


 ・・・・・・・


 防具屋では革鎧や金属製の鎧だけでなく、魔法職が着るのかなといったローブなんかもありました。


 とはいっても、武器や回復アイテムでお金を使い過ぎてしまったので一つに絞らないと...


「これは...」


 ■■■■■■■■■■


『ライトバックラー』


[性能]

 VIT:+10

 SPE:+2


 Durability:20


[解説]

 盾の一種。小ぶりな盾であるバックラーを軽量素材で作った物。一般の物よりも更に軽いので動きを阻害せずに済んだ一品。


[製作者]

 たまこちゃん(P)


 ■■■■■■■■■■


 お値段もお手頃で性能も悪くないですね。

 これにしましょう。




 とにかく、これで装備は整ったので出発です!


 昨日に続き、東の出口から通じる初心者向けの森林エリアへ行きましょう!






 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ウォーカーが出発してすぐの頃。


 ファスタの町の一画にある掲示板にプレイヤーが集まり出していた。


 この掲示板にはプレイヤーがパーティーメンバーを募集したり、NPC(つまりは運営)からのクエストの提示、他にはプレイヤーからの依頼なんかが貼り出されている。




 そして今、でかでかと貼り出されたものが一つ。


 それを見てプレイヤーがざわついていた。


「おい、東にある森林エリア側でモンスターの大量発生だってよ」

「あれか、ランダムに発生する時間制限つきの?」

「噂じゃレアアイテムが手に入るらしいけど、眉唾もんなんだよな」

「この掲示って直前になってからだから間に合わないんだよな〜」

「ていうか、クリア条件も分からないしな」


 口々に文句を垂れるプレイヤー達。


 自分達はもう関わりようがないため、文句を言うしなかった。


 けど、知らずに渦中にいる者達は更に文句を言って帰ってくるだろう。


 死なないと思っていたら死んでしまうのだから。


 ーーーーーーーーーーーーーーー




 森林エリアを進むとまた(・・)ゴブリン数匹を見かけました。


 薄い黄緑色の肌に腰布を巻き、人のように二足歩行ですが、サルのようにも見える(体毛はありませんが)そのモンスターとの戦闘はかれこれ五度目です。


 今度は3匹。ならいけますね。さっきは5匹で少し時間がかかりましたから。


 槍を右手に僕は駆け出し、ゴブリンに仕掛けます。

 おっと、忘れずに左腕の盾を正面に掲げて一言、

「こっちだ!」


 するとゴブリン達は僕に視線を向けて迫ろうとします。


 3匹とも持っているのは錆びついた不衛生なナイフ。

 僕はまず右端のゴブリンの更に右側へと回り込みます。


 すると右端のゴブリンはナイフを振るおうとしますが、僕が今持っているのは槍。

 石を削って作った穂先を木製の柄に取り付けただけの代物。

 強度は低いので受け止めたりせず先手必勝で突き出します。


 槍は見事ゴブリンの左胸に刺さり、引き抜くとゴブリンは倒れました。


 残りのゴブリンはこちらへ真っ直ぐ迫ろうとします。

 ですが、倒れてまだ消えていないゴブリンの死体がその足を絡め取り転倒させ、更に後続のゴブリンも巻き込まれます。


 すかさず上に覆い被さるように倒れたゴブリンの1匹の後頭部に刺します。

 続けてその下でもがいていた最後の1匹にも槍を刺します。




 時間経過でゴブリンの死体が消えるとそこに転がっていたのは先程までゴブリン達が持っていたナイフが三本。


 ◆◆◆◆◆◆◆


『ゴブリンのナイフ』×3


 を入手しました。


 ◆◆◆◆◆◆◆


 ふう、これでナイフは10本目ですね。


 と、一息入れようとした途端、茂みから飛び出してきたゴブリンがまた1匹。

 その手に持つ棍棒の攻撃を盾で受け止め、僕は押し返して距離を取ります。


「“ウェポン・チェンジ"」

 その言葉を合図に右手の槍は消え、代わりに持つのはゴブリンのナイフ。


 それを僕は投げます。


 投げたナイフはゴブリンの喉に刺さります。

 痛みに悶えながらもナイフを抜くゴブリン。


 これが現実なら首から出血してしまいますが、ゲームなのでそういったことはなく、傷跡を示す赤い光を抑えるゴブリン。


 けど、運が良かった。

 ゴブリンの顔はいきなり真っ青になり、泡を吹いたと思えばそのまま倒れました。

 そしてその場に残るのは今のゴブリンが持っていた棍棒。


 ◆◆◆◆◆◆◆


『ゴブリンの棍棒』×1


 を入手しました。


 ◆◆◆◆◆◆◆

 ゴブリンの武器、大量ですね。


 しかし.....



 ■■■■■■■■■■


『ゴブリンのナイフ』


[性能]

 POW:±0

 攻撃成功時一定確率で毒状態


 Durability:0


[解説]

 ゴブリンが持っていたナイフ。落ちていたのを拾っただけで、手入れも何もしていないので使うとすぐ壊れる。修理不可。

 不衛生なため、この刃で切られると『毒』状態になることもある。

 武器としては完全に使い捨てなので、あとは融かして素材にするくらいしかない。


 ■■■■■■■■■■


 ■■■■■■■■■■


『ゴブリンの棍棒』


[性能]

 POW:±0


 Durability:0


[解説]

 ゴブリンが持っていた棍棒。ただの木の棒。殴れば少しは痛痒になるが手入れを一切していないのですぐ壊れる。修理不可。

 素材としての使い道もなく、売却は出来るが価値はほぼない。


 ■■■■■■■■■■




 ◆◆◆◆◆◆◆


 スキル『挑発』を獲得しました。


 ◆◆◆◆◆◆◆


 あ、スキルも手に入りました。




 改めて一息つけたので僕は腰を下ろしました。

 もちろん、不測の事態にならないように木の陰に隠れるようにして。


 森林エリアに入ってから何度目かの戦闘。


 僕は『乾坤一擲の勝負師』の恩恵で幾つかのスキルを獲得出来ました。


 まずは『ウェポン・チェンジ』

 これは事前に設定しておいた武器に瞬時に換装するアーツスキルの一種です。


 どうやら戦闘中に僕がメニュー画面から何度も武器を入れ替えて立ち回っていたのが習得条件だったようで獲得しました。



 次に『投擲術』と『スローイング』

 名称通り投擲による攻撃を補助してくれるパッシブスキルとアーツスキルです。ちなみに『投擲術』にはPOWとDEXのステータス補正もありました。


 これと『ウェポン・チェンジ』のおかげで使い道のなかった『ゴブリンのナイフ』を使い捨ての投擲武器として使うことが攻撃手段として確立しました。

 それまではいちいちナイフを装備し直しては投げて、武器を持ち直すの繰り返しでしたからね。まあ、そのおかげで獲得した訳ですけどね。


 ちなみに、最後のゴブリンが倒れたのは『ゴブリンのナイフ』が持つ毒状態にする効果が運良く発動したことによるものです。




 その他に手に入れたスキルはまとめるとこんな感じです。


『槍術Ⅰ』、『剣術Ⅰ』、『盾術Ⅰ』、短剣攻撃の『スラッシュ』、それに今手に入れた『挑発』

 更に『短剣術Ⅰ』は『短剣術Ⅱ』に、『暗殺術Ⅰ』は『暗殺術Ⅱ』へとレベルアップ。


 僕自身のレベルももう7まで上がりました。


 いやぁ、色んなことがどんどん出来ていって楽しいですね。


 さて、幸いポーションはまだ1本しか使ってないので余裕はありますが、武器の耐久性も減ってきましたので一旦帰りますかね。




 それに.....少しモンスターとの遭遇率、もっと言えばゴブリンとの遭遇率が高い気がしますしね。






 僕は戦利品を確認し、立ち上がり帰ろうとしました。


 その時です。




「早く!」

 誰かの叫ぶような声が耳に入りました。


 僕は息を潜めて声のする方へ進みます。




 少し進んだ所でようやく見えました。


 僕がいる所より傾斜を下った所、そこには三人の女性がいました。

 その内一人は見覚えがあります。


 以前森林エリアのことを教えてくださった女騎士さんです。

 彼女に庇われるようにその背後では二人の女の子がいます。女騎士さんより少し幼いですかね。


 そして彼女達の前に立つのは十数体のゴブリン。


 どうやら追われていて逃げていたようですね。


 ですが、彼女達が今いるのは大木が倒れて道が塞がっている所です。


 あれでは逃げ場はないですね。


「ご、ごめんなさい」

「安心して、私が何とかするから」

 庇われている女の子の内、エプロンをつけたおかっぱ頭の子が弱気になっていますが、女騎士さんが励ましています。


 尤も、彼女の苦しそうな顔からして根拠のない慰めのようですね。




 ・・・・・・・


 ここは逃げるのが正解でしょうね。

 それに、ゲームなのだから死亡しても町で復活するだけ。

 大して問題にならないはずですよね。






 まあ、だからといって助けない(・・・・)理由にはなりませんが。




 僕は手に持つ『ゴブリンのナイフ』を『スローイング』で投げるのでした。

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