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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
宝探しはワクワクします。
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49/67

宝探しイベントの開始です。

 □□□□□□□□□□


『トレジャーイベント開催』


 イベント限定のフィールドを舞台に隠されたお宝を集めよう。

 ここでしか手に入らない物もあるので頑張ろう!


 □□□□□□□□□□




 という触れ込みの後、イベントの詳細が告知されたので確認しました。


 現時点で分かったのは.....


 ①イベント限定のフィールドがあり、参加者はそこにワープするとのこと。


 ②そのフィールドの各地には『お宝』が存在するのでそれを探すのが今回の主題。


 ③『お宝』と一口に言ってもそれはスクロールのようなスキル獲得のアイテム、レアな装備品などと多彩。


 ④イベント期間は仮想世界での7日間とのこと。

 現実との時間の違いをどうしているのかは調べてみましたが専門用語が多過ぎて断念しました。


 そのため、指定の時間までにログインしないと参加は不可能と。

 それじゃ仕事とかで予定の入っている人が可哀想ですね。


 ⑤イベント期間を終えるまでかフィールドにてHP0(つまり死亡扱い)になった瞬間退場。


 ⑥プレイヤー間での『お宝』の取り合いは可とするが、マナーは守ってくださいとのこと。

 こういうあやふやな条件じゃ意味ない気がしますが...






 さて、開始時間はあと1時間もありません。

 で、僕はというと...




 特売品を詰め込んだ自転車を走らせています。


 いやだって、お米とお野菜のセールが今日なんですから。

 まあ、そのお店が遠いので自転車を走らせてもこの時間になりましたが。


 いやぁ、本当に凄まじかった。

 お米とお野菜を取るためにと揉み合うご婦人方。

 僕も何とかそこに潜り込もうとしましたが、勢いが本当に凄くて凄くて...

 おかげで眼鏡は落としてしまうし、危うく踏まれてしまうかと少しヒヤヒヤしましたよ。


 あ、でも何故か周りの人達が動かなくなってましたね。

 おかげで確保出来ましたけど。




 とにかく、これで目的の品を確保...とここまでなら時間に余裕がある内に戻れたのですが、帰路の途中で見つけてしまったのです。


 トイレットペーパーとティッシュペーパーの安売りを。


 これも買わねばとお店に行きました。

 幸い買取制限が敷かれていたので確保はさっきよりは簡単でした。

 けど、おかげで自転車の籠には入らないトイレットペーパーとティッシュペーパーをハンドル左右からぶら下げることになるのでバランスが取りにくいです。


 なのでスピードはあまり出せません。事故になっては意味がありませんし。


 ふむ、やはり車を買った方がいいですかね?

 免許は取ってますけど、維持費とか駐車場の確保とかが手間でしたし、車がなくても不便さがないからと取っただけにしていましたから。




 おっと、たらればな話をしていても意味はないですね。

 イベントに間に合うように努力しつつも安全第一で行きましょう。


 事故やトラブルは仮想(ゲーム)だけにしないとですから。






 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ツーヴァの町の広場にて。


「おいルナ、見たか?」

「いえ、悟空は?」

「ダメだ、ウォーカー先パイにメール送ったけど、反応ない」

「ということはログインしてないんじゃ...」

「ああああ〜先パ〜イ!」


 悟空とルナの二人はウォーカーを探していた。

 余裕を持ってログインした二人はアイテムを購入(称号のおかげで安く買えたので大助かり)し、イベントの開始を待っていた。


 だが、イベント開始まで差し迫った今になってもウォーカーの姿は見つからず、二人は(というか悟空が)慌てていた。




「ん、どうしたんだ二人とも?」

「あ、ガイくん」

 そんな二人に気づいて話しかけるガイ。

 ルナは事情を説明する。


「ウォーカーがまだ来ていないのか...」

「そう、それで相方はこんな感じ」

 話し終えたルナは慌てふためく悟空に目線を向ける。




 今回のイベントは開始と同時に専用フィールドの各地に転送されるというもので、最初はどこに飛ばされるのかは分からないのだ。だが、事前にパーティーを組んだ者同士でなら同じ地点に行くということなので、一緒にプレイしたい悟空はウォーカーが来ないことに慌てふためいているのだった。


「けど、ルナは落ち着いてるんだな」

「ま、まあ、わたしはそうなったら仕方ないとしか言えないし...」

 ちなみにルナはウォーカーがパーティーに入ることに賛成している一方、いないならいないで構わなかった。

 いくら仮想世界での7日間とはいえ、二人っきりになれるのではという展開に顔が緩みそうだった。




「そういえばガイくんはパーティー組まないの?」

「ん、ああ。このイベントって要は早い者勝ちだろ? 下手に組むと分配云々で揉めちゃいそうだしな」

「なるほど、それもそうね」

「まるたとたまこの二人は元々戦闘向きじゃないしでパーティー組んだけど、マーキュリーやジャンヌは一先ずソロで行くらしいぜ」

「まあ、あの二人は妥当よね」




「ウォーカー、何処だ! 何処にいるんだウォーカーッ!」

「ん?」

「え?」

「んん?」

 ガイ、ルナ、悟空は不意に聞こえたウォーカーを呼ぶ声に反応し、そちらに耳を傾けた。


 視線の先にいたのは辺りを見回しながら見境なく叫ぶいかにもな格好をした魔法使い。


「なあちょっといいか? 今ウォーカーって..」

「何だ貴様! いや、貴様はウォーカーを知っているのか?」

「えっと、なあ、お前の探しているウォーカーって瓶底眼鏡で『遊び人』の「そうだ!」

 ガイは魔法使いに尋ねてみることとし、ウォーカーの特徴を述べていく途中で遮られる形で叫ばれた。

 そうしてようやく、この魔法使いが何者かに気づく。


「ん、お前『怪童のダニエル』か?」

「....そういうお前は『破断のガイ』だな? 貴様、ウォーカーとはどういう間柄だ?」

「ああ、フレンドだよ。お前か?」

「確かに、ウォーカーとはフレンド登録もしているが、それだけではない! 奴とは共に魔導の深淵に挑みし同士にして盟友だ!」

「そ、そうか...」

 どことなく着いていけない雰囲気に気圧されるガイ。




「なのでウォーカーとは今回のイベントでパーティーを組み更なる高みを「ちょっと待った!」

「ん、何だ? 人の話を遮るでない」

 そんなダニエルの語りを遮るは悟空だった。


 ちなみにガイはダニエルの言葉に『お前が言うなよ』と思った。




「言わせておけば勝手なことを...ウォーカー先パイとパーティー組むのはこのおれ、悟空なんだよ!」

 と、喧嘩腰にダニエルの前に立つ悟空。


 そんな彼の言葉に『あんたも勝手にパーティー組もうとしてるじゃない』とルナは思っていた。




「貴様、ウォーカーの何だ?」

「後輩です〜、リアルでも職場の後輩です〜」

「な、リア友だと!」

「だから先パイと組むのはおれなんです〜」

「リアルでも会えるならいいではないか! 我はここでないとウォーカーと組めないのだぞ」

「おれだって先パイと一緒に遊びたいんだよ! あの人職場では真面目で基本仕事絡みでしか付き合いないから一緒に遊べる機会がないんだよ!」

「なにお〜」

「なんだよ〜」

 と、当人を他所に勝手に火花を散らすダニエルと悟空。


「「はあ〜」」

 そんな二人に呆れるガイとルナ。


「まあ、お互い頑張ろうな」

「ええ、頑張りましょう」


【間もなく、トレジャーイベントを開始する】

 そうしていうアナウンスが流れてきた。




 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ツーヴァの広場にログインした僕の眼前では、大勢のプレイヤーがいました。


 おお、バトルイベントの時よりもずっと多いですね。


 まあ、あれは戦闘に自信がある人が基本参加するものでしたからね。


 さて、ここにいればいいんですよね?


【間もなく、トレジャーイベントを開始する】

 お、始まりますね。


 さてと、アイテムのストックは...とりあえず大丈夫かな?


「あ、ウォーカーさん」

「おや、まるたちゃんさん。それにたまこちゃんさんも」

「やっほー、ウォーカー」

「お二人はパーティーで挑戦ですか?」

 確か、このイベントはパーティーを組むと一緒の場所でスタートするんでしたね。


「そ、お宝は気になるけど、無理のない範囲でとなるとね、まるちゃんと組むくらいが丁度いいの」

「わたしじゃ、戦闘には役に立たないから」

 なるほど。


「ウォーカーは誰かと組むの?」

「いえ、特には」

 僕ものんびりと宝探しをしたいですし。


「それじゃ、イベントで出会った時はお手柔らかにね」

「よ、よろしくお願いします...」

「いえいえ、もし僕がそちらのお役に立ちそうな物を手に入れましたらお譲りしますから」

「そ、そんな悪いですよ」

「お二人にはアイテムを幾つも作ってもらってますから、お礼にと思っただけですから」

「でも...」

「それじゃ、アタシ達はウォーカーの役に立ちそうなのがあったらあげるから、そういうことで」

「では、そういうことで」

 ふう、たまこちゃんさんには助けられましたね。まるたちゃんさんは義理堅い方ですからね。


 となると、渡す前に何かしらのお願いをするようにしますかね?

 例えば、美味しいお料理を作ってもらうとか...


 それでいきましょう。




「先パーイッ!」

「ウォーカーッ!」

「ん?」

 僕を呼ぶ声が....


「え、何?」

「悟空とダニエル?」

 まるたちゃんさんとたまこちゃんさんの視線の方には....あ、悟空君とダニエルさん。


「先パイッ!」

「ウォーカー」

 おやおや、何やら急いでこちらの方へ...

 というかダニエルさん凄いですね。ステータス的に悟空君の方が速いはずなのに並走してる。


「一緒にパーティー組みましょう!」

「我と共にパーティーをっ!」

【転送開始します】

 二人が手を伸ばしてきた所で僕の視界は暗転しました。








 次の瞬間、僕の目の前にはさっきまでいた町の広場ではなく、見たことのない草原でした。


 ・・・・・・・・


「さて、行きますか」

 宝探し開始です。

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