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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
ゲームをさらに楽しみましょう。
46/61

新しい支店にお邪魔します。そして次のイベントのお知らせです。

 さて、連絡の通りにツーヴァの町に戻った僕達三人。


 まだ、町の地理に慣れていないので迷いそうです。


 “ヒソヒソ"

 "ジロジロ"

「ここを、右ですね」

 立て看板を目印に進みます。


「...カーは気づいてないのか?」

「というか、自分のことだと..いてない」

 おやおや、ダニエルさんとマーキュリーさんは後ろで何やらお話中ですね。

 しかし、町に戻って来てから周りでコソコソ話をしている人が多いような...


 ブームなんですかね?


 えっと、メールで指定された場所は....


「ここ、です...ね」


 ・・・・・・・


 僕の目の前にあるのは一件の建物。


 ドアの上には『アトリエ ♡マルタマコ♥︎ ツーヴァ支店』とあります。


「アトリエ、支店を建てたのですか」

「え、いつ?」

「早過ぎる」

 困惑するダニエルさん、率直な感想を漏らすマーキュリーさん。


 同意ですね。

 けど、


「お邪魔しま〜す」

 入りましょう。




「いらっしゃいウォーカー」

「ウォーカーさん、いらっしゃいませ」

 あ、まるたちゃんさんもいらしてたんですね。


「こんにちはたまこちゃんさん、まるたちゃんさん」

「失礼します」

「うむ、邪魔するぞ」


「「・・・・・」」

 おやおや、どうしたのでしょうか?


「ねえウォーカー」

「はい」

「マーキュリーちゃんは分かるんだけど、そっちは..」

「ああ、こちらはダニエルさんです。今日お友達になりました。凄い魔法使いさんですよ」

「か、『怪童のダニエル』...」

「あ、まるたちゃんさんはご存知でしたか」

 そういえば有名な方でしたものねダニエルさん。


「ふははは、如何にも我が名はダニエル。人呼んで『怪童のダニエル』だ!」

「えっと、どういう経緯でフレンドに?」

「ダニエルさんには魔法を教えてもらったんです。その上魔法をサポートとしてくれるアイテムもくれたんですよ。ほら」

 僕は首にかかった『メイジシンボル』を見せてたまこちゃんさんに説明します。


「いや、気にするなウォーカー。それに下級魔法を覚えたウォーカーにはもう不要な物だ。そちらで捨てても構わんぞ。そのまあ、代わりに下級魔法に対応した『マジシャンシンボル』をやろう」

「捨ててもいいなんて、それは駄目ですよ。折角お友達からいただいたアイテムなんですから。それに、そんな風にアイテムを貰ってばかりなのは申し訳ないですし」

 ダニエルさん、お人が好すぎますよ。


「そ、そうか...いや、ならばこそだウォーカー。同じ魔導の深淵に挑みし同志には共に高みを目指してもらいたいからな」

「おお、ダニエルさん...」

 なんと懐の広い..


「勿論、我が助けを求める時には貴様の力を惜しみなく借りるから覚悟をしておくんだ」

「はい、遠慮なく呼んでくださいね」

「ふはははっ! では受け取れウォーカー!」

「では、頂戴いたします」


 ダニエルさんの優しさに甘えさせていただきますが、このままではいけません。いずれきっちりとお礼をしなければ...




「ところでウォーカー」

「何ですか、たまこちゃんさん?」

「....何で眼鏡かけてないの?」


 ・・・・・・

「はっ、そういえば..」

「「忘れてたの(か)」」

「「気づいてなかった」」




 ーーーーーーーーーーーーーーー


 噂には聞いていたけど、『戦場の遊戯者』と呼ばれているウォーカーさんの素顔、本当に凄いな...


 プレイヤータウンについてから周りからジロジロと視線向けられていたし。


 なのにそれに気づかないウォーカーさん。


 どんだけ関心がないんだ?


 ある意味すごいな。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


「たまこちゃんさん、眼鏡直せませんか?」

「え、ウォーカーのメガネってアバターのデフォルトでしょ?」

「はい、そうですが..」

「[リュック]の中にあるはずだよ..」

「え」

[リュック]を開いて...


 あ、『眼鏡(デフォルト)』あった。


「ふう」

 やっぱり眼鏡があると落ち着きますね。

 

「勿体ない....」

「うん...」

「ん、どうしました?」

「ううん、何でもないよ」

「は、はい!」

「???」

 何か違和感が...まあ、いいでしょう。


「しかし、何故眼鏡が直ったのでしょう?」

「それはアバターを形作るデフォルトアイテムだからだよ」

「デフォルトアイテムはあくまで見た目のためのアイテムで装備品とは別扱いになるんです。そして破損しても一定時間の経過後に回収されますし」

「ほうほう....あ、そういえば確かにバトルイベントで眼鏡が取れちゃった時がありましたけど、後日町に戻ってきたらいつの間にか眼鏡をかけてましたね僕」

 あれは、そういうことだったんですね。


「そこで気づこうよ」

「いえ、あの時はあくまで外れただけでしたから」

「まあ、とにかくこれで眼鏡の件は大丈夫だね」

「ええ、お手数をおかけしました」

「それで、珍しい素材アイテムって何?」


 おっと、そういえば当初の本題がまだでした。






「へぇ〜『マナクリスタル』か」

 僕が持っていた『マナクリスタル』を手にしてまじまじと見ているたまこちゃんさん。

 吟味してくれているようですが、少し難しそうだなと言いたそうな表情でもありますね。


「たまこちゃんさん、難しいですか?」

「ごめん、正直言ってアタシには荷が重い」

「な、駄目なのか?」

「ダニエル、無理言わない」

 残念そうなダニエルさんと、事情を察している様子のマーキュリーさん。


 ふむ、難しいですか。

「ウォーカーさん」

「ん、まるたちゃんさん、どうしました?」

「たまちゃんは『鍛治士』だから、宝石系アイテムの加工は難しいんです。上位の『鍛治師』になればそれなりに出来るけど...」

「そうなんですか」

「そう、アタシの職業『鍛治士』は金属系アイテムの生産が主で、剣とかの武器、盾とかの防具とかが該当するね。ウォーカーにあげた『ボアレザー・ナックル』とか『猪牙の槍』とかは金属系アイテムじゃないけど、生産スキル向上目的の簡単な作成アイテムだから作れたってだけだし」

 ふむふむ、結局の所はアイテムを作ってもらうのは困難と。




「それでは、アイテム作成は一先ず保留とするしかないですかね」

「うん、ごめんねウォーカー。多分、マナクリスタルを加工するなら最低でも『細工士』の職業持ちが必要だから」

「いえ、十分ですよ」

「けど、アタシのフレンドに生産職の子も何人かいるからそっちで調べてみるね。『細工士』の子はいなかったけど、何か知っているかもだし」

「ありがとうございます」

 アイテム作成の件はこれにて一先ず終了ですね。




 ・・・・・・

「あ」

「ん? どうしたの?」

「どうしました?」

「いえ、この支店いつ建てたのかなって?」

「「あ」」

「というか、そのためにウォーカーを呼んだのではないのか?」

「私もそう思ってた」

「色々気になることがあったから...」

「ウォーカーさんが素顔で来たりとか...」

「「なるほど」」


 ?????

 どうしたのでしょう?

 まるたちゃんさんが何か言っていたようですが...






 改めてお二人に話を聞くと...


 ①ツーヴァの町に来たまるたちゃんさんとたまこちゃんさん。


 ②ララさんと再会(大きくなっていたことにびっくり)。


 ③御礼がしたいと案内されるお二人。


 ④御礼(それ)がここ『アトリエ ♡マルタマコ♥︎ ツーヴァ支店』


 ⑤けど、設備がまだ使えないとのこと。


 ⑥で、そのことを誰かに相談しようと思った所に僕からのメール。


 ⑦何か知らないか話を聞きたいとして呼ばれた僕。


 ということでした。


「お二人は称号を手に入れましたか?」

 心当たりが一つあるのでまず確認しましょう。


「え? 何の?」

「いえ、特には..」

 なるほど。


 では、かくかくしかじか・・・


「え、じゃあアタシ達ララちゃん探してくる」

「すいません。貴重な情報を教えてもらって」

「いえいえ、このお店もおそらく称号に関連しているはずですから」

「ありがとうウォーカー」


 さて、お二人は行かれましたが...


「マーキュリーさんは行かなくて大丈夫ですか?[

「あ、行く..」

「いってらっしゃいませ」

 遅れてお店を出るマーキュリーさん。


 おそらく、まるたちゃんさんとたまこちゃんさんのアトリエの支店は称号『町作りの貢献者』関係でしょう。

 あの称号には確か、NPCからの信頼度上昇補正の効果もありましたからね。


 けど二人はまだ称号を獲得出来ていない。


 僕が称号を獲得した時の状況を省みるとおそらくララさんから貰った花冠の提示が称号獲得の条件なのでしょう。


 あ、ガイさん達にもメールで教えておきましょう。

 今回のようなことが起きると手間がかかってしまうでしょうから。


 えっと、ガイさん、悟空くん、ルナさん、ジャンヌさんに報告とその時の状況について文面を纏めて....よし、送信。


 あとは...特にないですね。


「しかし、その称号は中々に有用だな」

「そうですね。まさか支援した開拓村が新しいプレイヤータウンになるとは想像していませんでしたし」

「その結果がこの称号か。正直に言うと羨ましいぞウォーカー」

「でしたら、また村の支援とかのクエストがありましたら一緒に受けましょうか。称号獲得の可能性はありますし」

「うむ、では機会があればよろしく頼む」




 “ピロンッ!"

 おや? これは...[メール]で..あ、たまこちゃんさんからですか。


「どうしたのだ?」

「いえ、たまこちゃんさんから無事称号が手に入ったという連絡です」

「そうか」

 メールで教えてくれて律儀ですね。


 っと、そろそろログアウトしないとですね。

 ダンジョン攻略とかで予定よりも長くログインしていました。


「それでは僕はそろそろ...」

「あ、待てウォーカー!」

「はい?」

「今さっき運営の掲示板をチェックしていたのだが、イベントの知らせがあったぞ」

「おお、イベントですか」

「うむ、どうやら探索系のイベントで専用のフィールドで手に入るアイテムもあるらしいぞ」

「おお、宝探しですか。楽しそうですね」

「詳細は追って掲示板で公開されるらしいからチェックを勧めるぞ」

「ありがとうございますダニエルさん。それでは改めまして、またお会いしましょう」

「ああ、また会おう同志よ!」


 ログアウトっと。








 ふぅ、ついつい長く遊んでしまいました。

 とはいえ生活に支障が出ないように気をつけないと。


 入社した頃にもワーク・ライフ・バランスをしっかり調整しなさいと言われましたからね。


 遊ぶためにも仕事を、仕事のためにも遊びをといかなければ。


 とりあえず...


 “グウウゥ〜"

 お腹が空いたのでご飯を食べましょう。

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