クエスト達成です。そして新しいプレイヤータウンに訪問です。
「今回は村を救っていただきありがとうございます」
村民を代表してお礼を述べてくれるドヴァさん。
「いえ、ですが大丈夫ですか? もう少しお手伝いしても構いませんが」
そうです。復興そのものはまだ続ける必要があります。
「いえいえ、最後まで皆様に頼ってばかりとはいきませんから」
「お兄さん!」
「あ、ララさん」
すっかり明るくなりましたね。
何よりです。
「ありがとう! わたし達頑張って村を直すね。今度お兄さん達が来た時はもっと大きくするから期待しててね!」
「はい、楽しみにしてます」
「そしたらね、お兄さん達をもてなしてあげる!」
「おやおや、それは嬉しいですね」
「また来てね」
「はい、約束します」
「じゃあこれ」
「これは...」
花冠ですね。作ってくれたのですね。
他の皆さんの分もありますね。
「村のみんなで作ったの」
「ありがとうございます」
嬉しいですね。
◆◆◆◆◆◆◆
クエスト『村を助けて』をクリアしました。
クエストクリア報酬『花冠〜ララとの約束の証〜』を入手しました。
◆◆◆◆◆◆◆
こうして、このクエストは無事終わるのでした。
「それじゃ、このパーティーで初のクエストクリアを祝して...」
『かんぱーい!』
ファスタの町に戻ってきた僕達は『♡マルタマコ♥︎』にて打ち上げをしました。
「しかしまあ、変わったクエストで中々に面白かったな」
「ああ、そうだな。私達戦士職は専ら戦闘がメインのクエストになってくるからな」
「アタシ達も生産職向けのになるから今回のは新鮮だったわ」
「そうだよね」
ガイさん、ジャンヌさん、たまこちゃんさん、まるたちゃんさんは飲み物を飲みながら今回のクエストの感想を語ってくれました。
あのクエスト、随分と異色なようですね。
僕も用意していただいたドリンク(サイダー)をいただきます。
うん、炭酸の刺激と甘さが程よい。
「で、もらったこのアイテムだよな...」
そう言ってガイさんは[リュック]から取り出します。
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『花冠〜ララとの約束の証〜』
[解説]
記念アイテム。
少女の願いを聞き、助けたお礼にと貰った手作りの花冠。金銭的価値はないが、所有者の善意を示す証となり、感謝の意を抱かれることとなるだろう。
譲渡不可。売却不可。
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・・・・・
「なんか照れますね」
「言うなウォーカー」
「失礼しました」
ガイさんの言葉に他の皆さんも少し顔が赤いご様子。
こうも感謝の意を示されるというのはやはり、こそばゆいと言いますか、何とも言えない気持ちです。
「そうだ、ウォーカー。改めて今回は助かった。ありがとう」
「はい?」
「いや、元々は他のプレイヤーからの誘いを断る口実として貴方を利用してしまったのだぞ」
「え、そうなんですか?」
「気づいてなかったのか!?」
「はい。全く」
そう答えるとジャンヌさん、肩から力が抜けた様子。
よっぽと疲れているのですかね。
「しかし、ウォーカーのあのエプロン姿には驚かされたな」
「そうですか、たまこちゃんさん?」
「そうだよ。何であれ買ったの?」
「え、だって料理スキルに補正をかけてくれるんですよ。便利じゃないですか」
「それ以前に女性ものでしょあれ」
「ああ、そういうことですか。男性用のエプロンはなかったんですよね」
「だからって買うって結論になる?」
「なるんじゃないんですか?」
「疑問系で返さないでよ..」
おや、たまこちゃんさんも草臥れた様子。初めてのタイプのクエストで疲れちゃったのですね。
僕はお皿に盛られた串焼きをいただきます。
ふむ、タレの辛みと肉の噛み応えがいいですね。
「ウォーカー先パイ、次は何します?」
「ん、もう次の話ですか悟空君?」
「はい!」
やる気一杯ですね。
ふむ、次にやることですか...
クエストはまあ暇があれば受け...
スキルの強化もまあクエストとかと並行していればいいですかね。
「あ」
「どうしました?」
「僕、まだ魔法を使ってない」
「はい?」
「僕の職業『遊び人』も魔法のスキルは習得出来るはずなんですよ。でも、どうやったらいいのでしょう?」
「そ、それは...」
口を噤んでしまう悟空君。
悟空君は戦士職ですからね。
あ、ルナさんに聞けば...
「あ、もう帰られてましたね」
ルナさん、明日は有給取られていましたね。
確か、高校時代の女友達に会うのだとか言っていたような...
じゃあ、魔法はまた後日でいいですね。
ついでに調べておいておきますかね。
ふむ、僕も遂に魔法デビューです。
これまでは武器の方ばかりに夢中になってましたが、魔法はもっと興味がありますからね。
ワクワクします。
そうしてしばらくして打ち上げは終わり、僕はログアウトするのでした。
後日、遂にゲームの拡張がなされました。
僕も早速新しいプレイヤータウンに行きます。
ガイさん達はまだですね。悟空君とルナさんはまだ残っていたお仕事があると言っていましたが、ガイさん達も学校の予定ですかね?
ガイさんは大学生ですし、まるたちゃんさんとたまこちゃんさんはおそらく中学生で、ジャンヌさんとマーキュリーさんは高校生くらいですからね。
部活とかサークルとかかな?
「あ、あの時の旅人さん」
「おや、馭者さん。お久しぶりです。先日はありがとうございました」
先日のクエストで開拓村へ連れて行ってくれた馭者さんです。
「先日?」
「おや?」
「ああ、まあいいや。旅人さんも『ツーヴァ』に?」
その名前は確か、新しいプレイヤータウンですね。
「ええ、新しい町に行ってみようかと」
「そいつはいい、うちの馬車に乗って行きな。ちょうど向かう所だからさ。もちろんお代はいらないぜ」
「その代わり、馬車の護衛、ですね?」
「へへ、正解だ」
では、お言葉に甘えさせていただきます。
そういえば馭者さん....なんか老けてません?
馬車に揺られることしばしば。
護衛という名目で乗りましたが道中モンスターに遭遇することはありませんでした。
それに、道中の道も整えられていて揺れは以前の時より少ないですね。
ん、あれ?
この景色、見覚えが...
もしかして、新しいプレイヤータウンって..
「着いたよ、旅人さん」
「ありがとうございます」
逸る気持ちに押され、僕は馬車を降ります。
そして目の前にあるのは...
「ここが『ツーヴァ』だ。旅人さん達が助けた元開拓村だよ」
馭者さんの言葉に僕は驚かされます。
ここが、以前に来た開拓村...
いえ、村ではなく町でしたね。
すごい...
ファスタの時は立地の影響なのかありませんでしたが、このツーヴァの町の外周は大きな堀となり、水が流れています。
加えて大きな丸太を綺麗に並べての柵、いや外壁と言うべきですかね。
周囲にモンスターが出る場所でしたから防衛対策は入念に施されていますね。
僕は少し早足で中に入ります。
堀の一部には橋がかかっており、そこが出入り口となっていました。
「うわあ...」
中も中々のものですね。
多くのプレイヤーと思われる人達とそれを相手に商売をしている住人達で賑わう市場通り。
よく見ると、建物はファスタの家々のような木製ではないですね。
あ、僕達が作ったモルタル?
いや、そんな訳ないですよね。
たまたまですよね。
「お兄さんっ!」
ん? この声は...
「ララ...さん?」
「うん!」
えっと、待ってください。
あの時村で会ったララさんはおそらく10歳いくかどうかの子でしたよね?
けど、目の前にいるこちらのララさんはどうみても中学生くらい...
どういうことですか?
「びっくりした? お兄さん達が村を助けてくれてからもう5年も経つものね」
「5年?」
え、村の支援クエストに行ったのはつい数日前では....
「ああ、そういう設定ですね」
「せってい?」
「いえ、こちらの話です。お久しぶりです」
確かに、この規模の町を築くなら年単位の時間は必要ですよね。専門家じゃないので分かりませんが。
あの開拓村が新たなプレイヤータウンになるために5年かかったという辻褄合わせの設定が成されたという所ですかね。
「そうだ、ララさん。あの時は素敵な花冠をありがとうございました」
僕は[リュック]から花冠を出します。
「これ、持っててくれたの?」
「ええ、貴女がくれたお礼ですから」
「そっか。嬉しい、ありがとう!」
◆◆◆◆◆◆◆
『花冠〜ララとの約束の証〜』をララに見せました。
称号『町作りの貢献者』を獲得しました。
◆◆◆◆◆◆◆
え?
「それじゃ、お兄さん達はこの町の恩人だから色々とサービスしてあげるね」
「あ、そうですか。ありがとうございます」
いけないいけない、呆けて聞きそびれる所でした。
「じゃあ、またね」
「はい、お気をつけて」
そう言ってララさんは忙しそうに去っていきました。
しかし、今の称号はいったい...
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『町作りの貢献者』
[概要]
プレイヤータウンの開発に貢献した者に与えられる称号。損得を無視した優しさにより、その恩が返された証。この称号を持つ者はプレイヤータウンの住人に信頼され、プレイヤータウン内での買い物などがちょっとお得になる。
[効果]
1.プレイヤータウン内での売買に補正。詳細は以下の通り。
①購入時に若干値段が下がる。
②売却時に若干値段が上がる。
2.NPCからのクエストによる報酬の上昇補正(金額の増加、アイテムの増加など)。
3.NPCからの信頼度上昇補正。
※この称号を持つ者とパーティーを組んだプレイヤーも称号の効果を得る(ただしパーティーを組んでいる時に限る)。
※同称号を持つプレイヤーがいる際は補正効果が更に増す。
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うわぁ、これは中々。皆さんが来たら教えておきましょう。
とりあえず、新しいプレイヤータウンですし、お買い物でもしましょうか。
アイテムショップの中にはファスタの町ではなかった代物もちらほら。
性能のいい回復アイテムなんかがありますね。
少し手持ちに入れておきましょうか。
Lv.4のHPポーションを3本ほどお店で購入してみると称号の効果が早速出てきました。
少しではありますが、値段が下がっていました。
おかげでお金が浮きます。
「うむ....」
お店を出ようとすると何やら唸り声が...
よく見ると棚の前で何やら睨めっこをしている方が...
「どうかされましたか?」
「ん? ああ、すまないな。何、このMPポーションを買おうか少し悩んでいるだけだ」
えっと、ああ、Lv.5のMPポーションですか...
流石にLv.5となるとお値段が張りますね。
確かに買うのは悩みますね。
あ、そうだ。
「ん、な、何だ?」
「急な話ですが、僕をパーティーに入れてみてください」
「あ、ああ」
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プレイヤー“ダニエル"がパーティーに入りました。
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こちらの方はダニエルさんというのですね。
「それではダニエルさん、もう一度ポーションの値段を見てくれませんか?」
「ん? え、おお!」
よかった。値段はちゃんと下がっているようですね。
「これなら買えますか?」
その後、ダニエルさんは悩んでいたMPポーションのLv.5をはじめレベルの低い方も数本購入しました。
「ありがとう、えっと、ウォーカーだったな」
「ええ、そうですよダニエルさん」
改めて見るとダニエルさんのこの装いは....
丈の長いローブ(フード付き)で革製の防具も装備していないご様子。
ローブの表地は黒に近い紺色系ですが、裏地はこちらも黒に近いグレー系ですか。
そして購入したのがMPポーションということは...
「ダニエルさんは魔法職の方ですか?」
「ふ、そうか。貴様は我を知らないのだったな」
「ええ、そうですね」
「うぐ、そんなはっきりと言わなくても...」
あれ、落ち込んでしまいました。
ここは嘘でも知っていると言うべきでしょうか?
いや、それはそれで失礼ですね。
ですから、
「すいません。ですので、貴方のことを教えてください」
「いいだろう...聞いて驚け見て慄け!」
「『見て笑え』ではないのですか?」
「我を知って笑える者などいない、敵対者なら恐れるのが必然! 故に見て慄けのが正しいのだ!」
何やら盛り上がっていますね。ダニエルさん。
でも僕、敵対するつもりないですけど。
「我が名はダニエル! このNOVAの世界にて高みを目指す求道者! 魔法の神に愛され、魔道の深淵を覗く者なり! 人呼んで、『怪童のダニエル』だっ!」
仰々しいポーズを次々に披露しながらの自己紹介をしてくれるダニエルさん。
芝居がかっていて役者さんみたいですね。
「おお〜」
“パチパチ!"
「ふ、拍手ありがとう!」
「それでは本題に入っていいですか?」
「ん、ああ、何だ?」
「実は会って早々で申し訳ないのですが、お願いしたいことがありまして」
「ほう、この我に頼みとは?」
「ええ、魔法職の方にしか頼めないことでして..」
本当はルナさんに機会を見つけていただくのもいいのですが、折角のご縁ですからね。
それにダニエルさん、いい人のようですし。
「魔法を使いたいので教えてください」




