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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
ゲームをさらに楽しみましょう。
29/61

隠しエリアでモグラ叩きをしてきました。

 最奥だと思っていたこのエリアに更に奥へ進む隠し通路が出てきました。


 僕は振り返って二人の方を見ますが、首を振って存じないことを示してくれます。


「ウォーカー、もしかしてさっきのゴーレムの倒し方が条件なんじゃ..」

「え、あれで?」

「多分それで合ってると思う..」


 意外と気づけそうな倒し方な気もしますけどね...




「では、行ってみましょうか?」

 隠し通路、お邪魔しまーす。


「さーて、なにがあ、ふきゃ!」

「ふぇ!」

 おや?


 振り返ります。

 たまこちゃんさん、鼻を抑えてどこにぶつけたのでしょうか?


「大丈夫で、すが!?」

 痛っ、何ですか一体?


 おそるおそる手を伸ばすと何やら見えない壁があるご様子。

 ちょうど、隠し通路を仕切るように。

 なるほど、たまこちゃんさんはこれで鼻を打ってしまったと。そして今僕も。

 ですが、僕はこの隠し通路に入る時は平気で出る時にだけ引っかかるなんて...


「マーキュリーさんはどうですか?」

「ダメ、入れない」

 となると考えられるのは....


 ①最初に入ったプレイヤーしか通れない。

 僕が一番最初に入っていましたしね。


 ②男性しか通れない。

 いや、あり得なくはないですが、ここで男性プレイヤー限定というのはおかしいですね。


 ③特定条件でゴーレムを倒したプレイヤーしか通れない。

 これもありえそうですね。一応僕がゴーレムにトドメを刺した訳ですし。


 ④その他、何かしらの条件に合致するか否かにより通行の可否が決まる。

 この場合考えられるのは職業、ステータス、所持アイテム、レベル、称号....


 駄目ですね。色々ありすぎて分かりません。


「それでは、僕だけ進めそうなので進んでみます。詳細は後でお話ししますので」

「うん、分かった。気をつけてねウォーカー」

「はい」

 それでは行ってみましょう!




 通路は緩い下り坂。

 ランタンで照らして見える限り、足元に何か転がっていたりはしませんね。


 これで後ろから巨大な岩玉でも転がってくれば完全に蛇が苦手な大学教授の冒険家のあの人の気分が味わえそうですね。


 ・・・・・・


 転がってこないかな?




 なんて期待をしながら僕は通路を渡り終えました。

 結局、岩玉は転がってきてくれませんでした。


 がっかり・・




 そして、目の前に広がるのは先程のエリアと同じ位に開けた空間。

 ある一点を除けば、ですが。




「穴ぼこだらけ...」

 あれ? 穴ぼこって凹みのことであってこんな風に底が暗くて見えないほどの穴ではなかったっけ?


 とにかく、地面となる場所には穴が幾つもありました。

 よく見ると、綺麗に等間隔で並んでいますね、しかも穴のサイズもみんなおんなじ。


 ざっと、穴の数は5×5で25個ですね。


 あ、真ん中の穴から...


 “ヒョコッ"


 ・・・・・・


 あれは、モグラ?


 写真とかネイチャー番組で見る感じのあれですね。

 昔は有名なモンスター捕獲物語に出てくる頭でっかちなあれがモグラのデフォルトだと思っていたから、本物を見た時は驚きましたね〜。


 さて、あのモグラさんこちらをジッと見ていますね。

 僕は今、通路とこの穴ぼこだらけの広場との丁度境目にいます。


 これが何かのイベントなら....


 僕が広場に片足入れた途端、

 “スポンッ!”

 あ、モグラさんが隠れた。


 “ヒョコッ"

 あ、目の前の穴から出てきました。

 あ、よく見ると大きいですね。出している部分だけで僕の背丈と同じくらい。


「モキュ?」

「・・・・」

「・・・ジュルリ」

「“ウェポン・チェンジ"」

 からの“クイック・ブロウ"

 モグラさんの左頬にヒット。


「モギュッ!」

 いけないいけない。つぶらなお目目で見つめていましたが口端から涎が...


 “ブッブーッ!"

「え、不正解?」

「モギューッ!」

 直後にモグラさんからのビンタ。

 咄嗟に盾で受けたはずなのに衝撃が素通りしてきました。

 ん? HPが減ってない?


『アハハハハハッ! ダメだよ、それじゃソイツは倒せないんだから』


 この声....


 なるほど、僕だけここに来れたのはそういうことですか。


「ここはロキさんの遊び場ですね?」

『正解ッ!』

 目の前に現れるロキさん。


 モグラさんはロキさんの姿を見ると動きを止め、また穴に引っ込みます。


「バトルイベント以来ですね、ロキさん」

『アハハ、ボクもウォーカーがこんなに早く来てくれるなんて思わなかったよ』

「偶然とは凄いですね」

『ね〜』


 この隠しエリアはおそらく、僕が持っている称号『ロキの遊び相手』がないと通れないのでしょう。


「それで、ここはどんな遊びをするのですか?」

 なんて聞く僕ですが、半分は予想がついていました。


 モグラ、そして幾つもの穴。

 となれば....


『エヘヘ、これ!』

 その言葉と共にポンとまた愉快な煙がロキさんの手元を覆うように出てきました。


 そして煙が晴れるとその手には大きなハンマーが握られていました。

 どれくらい大きいかと言いますと、全長が多分僕くらいで、頭の部分の長さは多分その半分かもうちょっとあるくらいの大きさ。


 子どものロキさんがよく持てるなと思いますが、よく見ますとこれ・・・


「ピコピコハンマー...」

 です。


 赤い頭部分は蛇腹構造で叩くとその部分が折り重なって威力を和らげる仕組みとなり、その際に中の空気が押し出される吹子のような機能によって柄の部分との付け根の所からピコっと音を鳴らす昔から存在するオモチャ。


 バラエティ番組で使われたりはしますが、ここまで大きい物は初めてみましたね。


『ハイッ♪』

 なんて感心していたらロキさん、いきなり僕にピコピコハンマーを投げ渡してきました。


 おっと、重..くない。


 ああ、ハンマーの中は空洞ですし、重い訳はないですか。


「ここまでのお膳立て、やはり『モグラ叩き』ですね?」

『フッフッフッ、ただの、じゃないけどね』


『ただの』モグラ叩きではないですか・・


「いいでしょう」

 ピコピコハンマーを手に僕は意気込みます。


「いくぞ、モグラさん!」

 見えませんけど。


『がんばってね〜』

 姿を消すロキさん。


 “ヒョコッ"

 あ、また真ん中の穴に。


 はっ!


 デカいけど中身はスカスカの見せかけなハンマー。

 相手はモグラ。


 これは、あの技名を言わないと!

 あのキャラクターのどこにそんなパワーがと思わせ、次の話でそれはハリボテだったと分かりちょっとがっかりもしたあの....


「ウォ〜カ〜..」

 ジャンプして、


「パウンドッ!」

 振り下ろす!


 “ピコンッ!"

「モギュッ!」


 命中!

 “スポンッ!"

 隠れた。


 “ヒョコッ"

 あっちか。


「ウォ〜カ〜、パウンドッ!」

 “ピコンッ!"

 “スポンッ!"

 “ヒョコッ"

「モキュッ!」


「そっちか、パウンドッ!」

 “ピコンッ!"

 “スポンッ!"

 “ヒョコッ"

「モギューッ!」

「うわっ!」

 こっちが叩かれました。


「パウンドッ!」

 “ピコンッ!"

 “スポンッ!"

 “ヒョコッ"

「モキュッ!」


「パウンドッ!」

 “ピコンッ!"

 “スポンッ!"

 “ヒョコッ"

「モキュッ!」


「パウンドッ!」「パウンドッ!」「パウンドッ!」「パウンドッ!」「パウンドッ!」


 ・・・・・・・


「モギューッ!」

「わっ!」

 また叩かれました。この攻撃、貫通攻撃のようで、盾で受け止めてもダメージがまともに入ります。


「モキュキュッ!」

 モグラさん、笑っていますね。

 当たらないぞってこちらを舐めているのでしょうね。


 しかし、当たらない。こうも素早く動くとは。こっちは追いかけて行っても振り下ろす時には潜ってしまう。

 そして時折のモグラさんの反撃。


 まずいですね....


 これは.....






「楽しすぎる」

 ふふ、巨大モグラ叩き。

 現実ではあり得ない大きさのハンマーを手に、同じく現実ではあり得ないモグラを狙って叩く。

 こうも面白いとは。


「ふぅ...」

 とは言っても、このままじゃジリ貧ですね。

 こちらの攻撃は中々当たらず、喰らうことの方が多いですし。

 さて、どうしましょうか...


「あ」

 “挑発"


 途端に僕の目の前の穴からモグラさんが出現。

 なので、

「パウンドッ!」

 “ピコンッ!"

「モギュッ!」

 “スポンッ!"


 よし、成功。この調子で行きますか!




 繰り返すことしばしば。

 どうにも一度叩かれた穴からは警戒して出てくれないのでちまちま場所を変えて叩きます。

 これってもしかして....


 更に三回ほどモグラさんを叩いていくと動きが更に素早くなってきました。

 そのせいで必殺のウォーカーパウンドが空振りに終わるばかりです。

 なのにこっちはモグラさんからの反撃をまた喰らってしまいます。

 HPの残量からしてあと一撃もらったらこっちの負けです。


 ふむ、どうしましょうか?


 とりあえず、隅っこに行きましょう。




 よし、ここならモグラさんが出てくる穴は隅の一箇所だけすみますね。


 あとはタイミング。

 さっきまでは“挑発"を使って姿を見せてから振るってましたけど、出てくる前に振りますかね。




 よし、“挑発"っ!


 そして振り、

「パウンドッ!」

 下ろす!

 “ピコンッ!"

「モギューーーッ!」


 モグラさんの叫び声は一層大きく響きます。

 そして消えていくモグラさん。

 つぶらなお目目でこちらを見ながら消えるって、胸が痛みますね。ちょっとだけ。


 “ジャーンジャジャーンッ!"

「ん? ファンファーレ?」

 愉快なメロディが鳴り響きました。


 そして、穴が何個か光っています。

 いや、よく見ると僕がモグラさんを叩いた時の穴ですね。光っている穴は一列に並んでいます。


 やっぱり、これは...

『ビーンゴッ! おめでとうウォーカー!』

 クラッカーの破裂音と共に現れるロキさん。

 手には破裂済みのクラッカーで、そこからハトが数羽出てきていますね。


「このゲームはモグラ叩きとビンゴを合わせたものだったのですね」

『そゆこと! けど、よく気づいたねウォーカー』

「もしかしてくらいには思ってたので。とりあえず、クリアということで?」

『うん、あらためましておめでとうウォーカーッ!』

「これは重ね重ねありがとうございます」

『そんなウォーカーには、プレゼントがありまーす!』

「ほうほう、それは一体?」

『ソレ』

 ロキさんが指差します。


 指差す先にあるのはお借りしていたピコピコハンマー。


「これ?」

『ん、ソレ』

「おおっ...」

 これ、貰えるのですね。


『他のがよかった?』

「いえ全然、むしろこれは嬉しすぎます」

『へへへ、ありがとう♪』

「ロキさん、楽しいお時間に加えて素敵な贈り物をありがとうございます」

『アハハ、それじゃウォーカー、また遊ぼうね!』

 消えてしまうロキさん。


 ◆◆◆◆◆◆◆


 エクストラクエスト『ロキとの遊び モール&ビンゴ』をクリアしました。

 エクストラボス『ディグドンモール』を倒しました。

 クエストクリア報酬『K・Oハンマー(クラウン・ホイッスル)』を入手しました。

 レベルが上がりました。


 ◆◆◆◆◆◆◆


 このピコピコハンマー、『K・Oハンマー(クラウン・ホイッスル)』という名前でしたか。


 うん。面白い武器が手に入りました。




 さて、折角ですし担いで帰りましょうか。

 大きい(見た目だけですが)を担いで歩く、ガイさんみたいで格好良さそうですし。


 “ガッ!"


 ・・・・・


 しまいましょう。

 通路に引っかかってしまいますから。


 残念です。

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