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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
始めてみました。
21/61

バトルイベント〜vsジャンヌさん① 出し惜しみは出来ませんでした。〜

 こちらへ向けて走るジャンヌさんの動きは鎧を身につけているとは思えない速さでした。


 軽装の僕が少しは速いかといった所でしょう。


 つまり、元のステータスの差がそれだけあるということ。


 対する僕はタイミングを見計らいます。

 真っ向からぶつかりあえば力負けすることが予想されますからね。


 盾を前に、剣を振り抜く少し手前のタイミングで迎撃すれば多分、こちらが押し退けられるはず。


 あと3、2、1、今です。

「“シールド・バッシュ"」

 盾術のアーツスキルで間合いをコントロールし、主導権を確保しましょう。




「うわ!」

 と、思っていましたが、盾からかかる衝撃の重さに、僕が大きく押し退けられました。


 どういうことですか?


 あ、ジャンヌさん、剣を振らずにその側面を前に...


 剣を盾代わりにして押してきましたか。

 ジャンヌさんも若干後退しているのはノックバック効果のある『シールド・バッシュ』のおかげですが、僕がこうして半ば吹き飛びそうなのは彼女のPOWが僕よりも高いからですかね。


 と、このまま吹き飛ばされたままじゃまずいです。


 何とか着地して、『ウェポン・チェンジ』で武器をスローイングダガーに替えてからの“スローイング"、更にもう一本。


 二本のダガーはジャンヌさんへ迫りますが、動じることなくジャンヌさんは剣を振るって叩き落とします。


 あらら、唯一の遠距離攻撃があっさりと...

 しかも手元に戻ってきたダガーはどちらも破損しています。


 さて、どうしましょうか?




「斬撃!」

 おっと、盾で防御...まずい!


 ジャンヌさんの剣は光と化し、盾をすり抜けて僕の身体へと直撃しました。

 咄嗟に後ろに引こうとしたことで当たったのは刃先程度だったのもあり、ダメージは少しは抑えられました。


「よく気づいたな」

「ガイさんからアーツスキルのフェイント技術は教わってましたので」

 感心してくれるジャンヌさんに僕も正直に話します。


 今の攻撃はおそらく防御突破の一種でしょう。

 防御技を破るものや防御力を無視して一定値のダメージを与えるなど何パターンかありますが、おそらくジャンヌさんの攻撃は防御無視の類でしょう。


 おかげでHPの減りは少なかったです。


 とは言ってもこのままじゃ意味がないですね。


 なので煙玉を取り出し、視界を封じます。

 中身は動きを止めるためベリーの方二種で。


 煙幕が展開され、僕はその隙に体勢を整えま..え?


 ジャンヌさんが煙を突っ切り切り掛かってきます。

 咄嗟に盾でそれを受け止めることが出来ましたが、これじゃ何も出来ませんね。


「痺れないんですか?」

「吸わなければいいのだろう?」

 ごもっともな答えですね。

 当然と言えば当然警戒されていましたか。


 ジャンヌさんの剣を僕は両手と短剣を使って押し返します。

 けど、何にもなりませんねこれじゃ。


 だって、

「“流星斬(りゅうせいざん)"」

 ほらまた飛ばす斬撃が来ました。

 何とか盾で受け止められましたが、このままじゃジリ貧です。

 そしてまた接近され斬りかかられ、何とか堪えるしかないという悪循環。


 そもそも、今の僕の戦闘スタイルとジャンヌさんの戦闘スタイルは同じ接近戦が中心のもの。

 そして向こうは僕よりも高いであろうステータスを有し、僕よりも多彩なアーツスキルを有し、そして僕よりも多くの経験を有している人。


 これで勝ち目はあるのかと言われたら、僕は間違いなくこう言えます。


『難しいですね』と。


 なんて、余計なことに思考を割いたのがいけませんでした。

 振り上げてきたジャンヌさんの剣が僕の顔を掠めました。


 刃先だけですが、それにぶつかって防護マスク、帽子が舞い上がります。

 加えて、最も大事なものも一つ。

 常に身に着け、大事に使ってきた、僕の眼鏡が。

 反射的に顔を手で覆いましたが、指の隙間から見えました。


 僕は咄嗟に振り上げた姿勢のままのジャンヌさんに“シールド・バッシュ"をぶつけます。

 ジャンヌさんの方も目論見が外れたのでしょう、隙ができて大きく後退させられました。

 更に僕は煙玉を連続展開します。


 煙幕の範囲を広くすれば、流石に吸わずに接近するのも無理でしょうから。


 しかし、まずいです。

 眼鏡がないのはまずいです。




 視界がボヤけ.......ん?


 ボヤけていない?


 何故?


 ・・・・・・・


 あ、そうでした。ここはゲームの中。

 つまり仮想世界で眼鏡はあくまでアバターのデフォルト(初期装飾)でした。


 だから裸眼でもこの世界なら僕の視界は問題ないと。


 ふう....少し一息入れましょう。

 幸いジャンヌさんも煙幕が晴れるのを待ってくれていますし。

 あ、帽子発見。

 マスクも....あ、壊れてしまってますね。


 眼鏡は...他の所ですかね。


 まあいいでしょう。帽子を被り直してと..




 このままじゃ勝てないのは明白。


 まだ予選ですが、仕方ないですかね。


 どうせこのまま(・・・・)じゃ勝てないでしょうし。


 けど、いいでしょう。

 折角楽しくなってきた所ですし。


 ちょうど煙が晴れてきました。

 晴れた煙の先には剣を構えるジャンヌさん。


 さて、それでは、

「反撃させて、いただきます」




 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ウォーカーというこのプレイヤーは得体が知れなかった。

 しかし、まさか『遊び人』の職業だとは。


 けど、そうなると違和感があり過ぎる。


『遊び人』にはクラスアップがない。

 つまり、職業を変えることで得られるステータス上昇の恩恵はないということ。

 武器だって駆け出しにはそこそこいい代物といった所だ(おそらくまるた達が用意したのだろう)。


 なのに、押され気味とはいえ、私の動きについて来れているのは不思議だ。


 多分、私が上ではあるのだろうが、極端なほどのステータス差は出ていないということか?


 おかげで振り上げた私の剣は顔を掠るだけになり、思わず反撃をまともに喰らってしまった。


 喰らったのが『シールド・バッシュ』だったからダメージはそれほどではないが、後退させられてしまった。

 加えて煙玉で煙幕を展開もしてきた。

 私は急いで煙幕から離れる。




 ウォーカーの姿は煙幕で見えない。

 これでは『流星斬(りゅうせいざん)』で攻撃しても空振りになるので剣を構えて待機する。


 そして煙が晴れていく。


 そこには堂々と立つ彼がいた。


 特に変わった様子は....え?


「反撃させて、いただきます」


 そう言い放ち、帽子の下から見えたその顔。


 浮かべる笑みにはまるで子どものような無邪気さがあった。その一方でどこか蠱惑的とも言える雰囲気を放ってもいる。


 さっきまでのパッとしなかった感じとは真逆の魔性とも言うべきものが今、素顔の彼から放たれていた。




 えっと、誰?

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― 新着の感想 ―
[一言] だれ?www そもそもなんで初期装備に瓶底メガネがついてたのか(笑)
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