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真面目な僕は遊び人になりました  作者: 樫原 翔
始めてみました。
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飲み会にて。

物は試しにと書いてみました。

進藤(しんどう)先パ〜イ、今日飲みに行きましょうよ」

「ん?」

 本日の業務が終わり、帰宅しようとしていた僕に後輩の猿渡(さわたり)君が声をかけてきました。

 普段から人付き合いのいい方ではないと言われる僕は思わず疑問符を声にしていました。


「先パイのおかげで仕事上手くいったから、部長が奢ってくれんすよ! 行きましょう!」

 なるほど。気前のいい部長からの奢りだからと盛り上がっている訳ですか。


 しかし、

「僕のおかげと言うのは違うのでは?」

「何言ってんすか! 先パイが取引先の人と知り合いだったから上手くいったんじゃないですか!」

「そうでしょうか? 知り合いとは言っても以前立ち寄ったラーメン屋で相席をしただけなのですが」

「そこですっ! そこで先パイとラーメン談義して意気投合したというじゃないですか。しかも、その人取引先の社長ですよ、社長!」


 猿渡君の言う通り、僕は先日美味いと評判のラーメン屋に足を運びました。

 評判なだけあって混雑していたので他の方との相席となりましたが。

 僕としては美味しいものを美味しく食べたいからおすすめは何か知っているのかと尋ねたら向こうも初めて来たということだったからではお互いに好きなものでとなりました。


 ちなみに、僕は味噌、その人は醤油でしたね。

 どちらが一番かで軽く論争じみた展開になったので、周囲の方々も少し驚いていましたかね。

 まあ、どちらも美味しいという結論で落ち着きましたが。


 更に成り行きで店員さんに頼んで小さいを器を用意してもらい、お互いに頼んだメニューを少しずつシェアしてみましたが、確かに醤油も美味しかったです。


 最終的に僕とその人は硬い握手を交わしていました。

 まさかその人が先日の取引先の社長さんだったとは思いませんでしたが。しかし、取引のお話の最中に向こうが通りかかり乱入してきたのは驚きましたね。

 おかげで、その日の夜も美味しい焼き鳥屋さんを紹介してもらいましたけど。




「先パ〜イ行きましょうよ!」

「...分かりました。ご馳走になります」

 おっと、思考に集中し過ぎましたね。

 ならば御相伴与りましょう。




「それじゃ仕事が上手くいったことを祝して、乾杯」

『かんぱ〜い!』

 部長の号令のもと、僕達は手にした酒杯を掲げ一緒に声を合わせました。

 そして僕はビールを呷る。

 正直、酒はあまり好きではないのですが、こういった付き合いがある以上、少しは嗜むようにしています。


 さて、次は....




「先パ〜イ、食べてますかって、凄っ!!」

「ん?」

 猿渡君は何を騒いでいるのでしょうか?


「『ん?』じゃないですよ先パイ! 何処に入ってるんですかこの量!」

 彼が指差すのは僕が食べ終えた料理のお皿。

 ビールを飲み終えた後は各自好きなように注文していいということだったので注文させてもらいご馳走になった品々ですね。


 ふむ。若鶏とタコの唐揚げ、フライドポテト、刺身、枝豆、天ぷらの盛り合わせ、焼き鳥、そして今食べ終えたとんぺい焼き....


「そろそろメインの頃合ですね」

「まだ食べるんですか!」

「すいません、この豆腐チゲをお願いします」

「話聞いてくださいよ先パイ!」

 おや、僕のことでしたか。


「どれだけ食べてるんですか? 本当に底なしですね」

「そうかな?」

「そうです!」


「あはは、進藤くんは本当に食べるね」

「部長」

 赤ら顔で部長が来ました。片手にはまだ中身の残ったビールジョッキですか。


「部長、食べずに飲んでばかりのようですが、大丈夫ですか?」

 食べずにアルコールばかり摂取すると酔いが回り易くなってしまいますからね。


「大丈夫、大丈夫。かみさんに介抱してもらうから」

 なるほど、愛妻家で夫婦仲のよい部長らしい回答ですね。

 とはいえこのままというのも何ですから店員さんにお冷を頼んでおきましょう。


「あの、進藤さん!」

「ん?」

 お冷頼んだ所で今度は一体? 彼女は確か、今年入った新人の...


「何ですか小岳(こたけ)さん?」

 よく見ると彼女の顔も赤いですね。新卒で成人しているとは言え、飲み方を誤ったのかもしれませんね。


「あの、眼鏡を外してください」

「.......はい?」

 彼女の頼みがよく分かりませんね。


「先輩達から聞きました! その、眼鏡の下を見せてください!!!」

 どうやら、随分と酔ってらっしゃいますね。普段の彼女は真面目で大人しいのにこんな風に大きな声を出すなんて。


 しかし、眼鏡を外してほしいと言われるとは困りましたね。

 自分で言うのもなんですが、僕はかなりの近眼なので眼鏡がないと良く見えないから外すのは避けたいんですが...


「見たらすぐ着けて構いませんので!」

 どうやら外さない限り引いてくれないようですね。


 仕方ないので外しましょうか。

 うむ、やはり外すとボヤけて見えてしまいますね。

 どうしても何か見ようとすると細めてしまう分目つきが悪くなるから気をつけないと...


『キャーッ!!!』

 悲鳴? しかも複数。何事ですか? 眼鏡を掛けなければ。


「どうしたのですか?」

「い、いえ、その...凄かっただけですので」

「はい?」

 鮮明になった視界に写る彼女達の顔が赤いですね。本当に大丈夫なのかな? 店内を見渡しますが特に変なものは....


 おや、職場(うち)の人以外にも他の女性客や女性店員さんが固まってますね。随分顔が赤いようですが、飲みすぎたのでしょうか?

 いや、店員さんが飲むはずはないですね、風邪なのかな?




「先パーイッ! 豆腐チゲが来ましたよ」

「おお、いただきましょう」

 まあ、僕がどうこう出来る訳ではないので、今は食べましょう。






「そんれれすね〜最近(さいひん)買った最新(さいひん)のゲームが面白(おもひろ)いんれふよ〜」

 おやおや、猿渡君、大分酔っているようですね。発音が怪しくなって何を言っているのか分かりづらいですよ。


「しぇんぱいもやりまへんか?」

「はい?」

「でしゅから、ゲームをでしゅよ!」

「ああ、なるほど」

 主題が抜けての突然のお誘いでしたが、ようやく分かりました。




「ちなみに、どんなゲームですか?」

「ふっふっふ、VRMMOでしゅ!」


 VRMMO....確か、仮装空間を舞台としたオンラインゲームのことでしたか。

 不特定多数のプレイヤーが参加しているために現実と同様に他者との交流ができるといった点で家庭用ゲームとは異なる人気があるらしいですね。


 そういえば、電車内の広告などでそういうゲームが表示されていましたね。


 名前は....


「『NOVA』ですか?」

「ほれです!」

 呂律の回らない中、猿渡君は我が意を得たりといったご様子。


 しかし....


「私はあまりコンピュータゲームは得意ではありませんよ。精々テーブルゲームが関の山ですし」

「ああ、そういえば進藤くんはトランプとか強かったね」

「え、そうなんですか?」

 ふと思い出したご様子の部長に小岳さんが聞いています。


 別に強くはないかと...




「そうだね、昨年の忘年会で各部署毎に代表者を出してのポーカー大会なんてしてたけど、進藤君は優勝してたわね」

「そうだったんですか、大町(おおまち)さん!」

 そういえばそうですね。話に加わってきた女性社員のまとめ役の大町さんの言う通り、僕は忘年会のポーカー大会で優勝しました。あの時は景品のお菓子セットを勝ち取り後日堪能させていただきました。

 そうなると僕は強いということでいいのですかね....




「しぇんぱい! 面白(おもひろ)いでしゅから、やってみてくだしゃい!」

 おお、いつも以上にグイグイ行きますね。

 猿渡君がここまで推してきますか....






 そして....

「買ってしまいましたね...」

 打ち上げを終えた翌日の休み。

 僕の前には専用のヘッドギアがあります。


 打ち上げの帰りに寄った専門店にて購入したこれが猿渡君の言うゲームをプレイするための機体です。


 自分で言うのもなんですが、こういったものを衝動的に買うのは珍しいです。

 基本的、生活に必要な物以外ですと食べ歩きとかにお金を使うくらいですからね。




 とはいえ、折角買ったのですから、楽しむとしましょう。


 僕はヘッドギアを装着し、後輩がおすすめするVRMMO『NOVA』のプレイをスタートしました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 確かに豚骨も美味しかったです。 主人公は醤油で相手は味噌やろ?豚骨じゃなくね?
[良い点] 最初から個性のある主人公が書けていて、面白そうです [気になる点] 地の文の文末を、ですます調に統一した方が読みやすそうだなと感じました
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