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ウィークリーシリーズ

金曜日、いつもの電車で恋が動き出す

作者: リィズ・ブランディシュカ



 私は、いつも学校に登校するために電車を利用している。

 電車通学と言う奴だ。


 ちょっと学校が家から遠い所にあるからしょうがない。

 最初の頃は自転車で通学してたんだけど、坂道が多くて学校に着くまでに疲れてしまった。


 だから今は満員電車に揺られながら登校。

 けど、人が多い電車だから、毎日嫌になっちゃう。


 だけれども。


 そんな嫌な気分も一週間のうちの金曜日だけは吹き飛ぶの。


 別に明日が土日だからじゃない。


 一応それもなくはないけど。


 もっと別の理由。


(あっ、いたいた)


 離れた所に、とある男子生徒がいるのを見つけて、顔がにやけてしまう。


 毎週金曜日。


 その生徒はその日だけ電車で見かける人だ。


 他の曜日は別の方法で学校に登校しているのか、それとも別の車両に乗っているのか分からないから。


 その人物は金曜日だけ私の乗っている車両に現れた。


(一度他の曜日に別の車両にのってみたけど、いないんだよね。やっぱり金曜日だけ乗ってるんだ)


 私はその男子生徒に淡い恋心を抱いている。


 制服を見ると、違う学校の生徒だと分かるから。


 話しかけるなら、今しかない。


 けれど、なかなか勇気が出せない。


 そもそも。


(一目ぼれなんです。なんて言っても、変な子を見るような目を向けられるだけだよ)


 というわけもある。


 その人が喋っている所は見たことはない。


 だからどんな性格なのか全くわからない。


 こんな状態で躊躇なく告白できるわけがなかった。


(メアドとか教えてもらってメル友からなんとか。っていっても、知らない人間に教えるわけないし)


 そういうわけで確かに幸せではあるんだけど、悩ましい時間でもある。


 それが金曜日のいつもの電車通学の時間だった。


 そんな中、たまたまその男子生徒が近くにいる日があった。


(うわあああ、近い。手を伸ばせば触れちゃうくらいだよ!)


 真正面から視線をぶつけたら、相手から気が付かれてしまいそう。


 横目でちらちら窺うのが限界。

 心臓はもう、ばくばくだ。


 その人の雰囲気と外見だけで、そんなにドキドキするとは思わなかった。


 話しかけたい。


 けれど、何を話せばいいのか分からない。


 せめて、世間話くらいできればいいんだけどな。


 そう思っている間に、降りる駅についてしまった。


 私は落胆しながらその場から移動する。


 金曜日の時間はやっぱり幸せで、悩ましいな。


 そんな私は気づかなかった。


 満員電車の人ごみにもまれているうちに、通学カバンにつけたストラップが外れてしまった事に。


 そして、そのストラップが男の子の足元に落ちていたことに。


 その男の子は、まだ手を伸ばせば触れられる距離にいる事に



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