【7】魔王、将来のことで悩む
シルディアに床に押し倒され、彼女の涙が俺の顔に滴り落ちた。彼女の泣き顔を見て、思わず罪悪感を覚え何とも言えない気持ちになってしまった。
……シルディアの顔を見ると、彼女は本当に俺が好きなようだ。
『俺、シルディアを慰めなきゃ』と思ったけど、シルディアを泣き止ませる方法を冷静に考えたが、『しかし、どうしよう……』と途方に暮れた。
初めて女の子に告白されて、とても恥ずかしくてどう返事をするか迷った。
それ故に避けて、シルディアを泣かせてしまった。
でも、告白に嬉しく思った。
受け入れようという気持ちが心の中に生まれ、胸は激しく鼓動を打った。
こんな気持ちは今までにない。俺はシルディアを好きになってしまったようだ……。
心を整え、俺は決めた。
「お前のさっきの告白、俺は受け入れる」
そう、俺は彼女の告白を受け入れた。
優しい口調で言って、シルディアの涙を指で拭いて頭を撫でて、少し落ち着かせた。
「本当ですか?ご主人様はあたしの告白を受け入れるなんて……」
「本当だよ、こりゃ冗談じゃない。俺はお前だけを大切にしたいから、俺の彼女になってくれるかい?」
形勢が逆転して、シルディアに告白した。
「はい!」
笑みを浮かべるシルディアの可愛さは俺を魅了した。
「これから、俺たちはカレカノだね」
「そうですね。でも、ご主人様と付き合うことができるなんて、まるで夢のようです。やっぱりご主人様が大好きです!」
「うわ!ちょっ!」
にわかに、シルディアは俺に抱きついてきた。彼女の嬉しそうな様子を見て、俺も嬉しくなった。
彼女ができたいという願望は、やっと実現した。
✦✦✦
一時間も魔法を勉強してもう疲れたから、部屋に戻るとベッドに飛び込んだ。
窓から外を見ると、すでに夕暮れだ。
以前は異世界なんて幻想的な世界であり、真実とは思ってなかった。
外を眺めると魔王城の周囲は町だけど、多くの建物はボロボロに見えた。魔王城と町の対比はとても鮮明である。
これを見て、人族を倒す決心はもっと強くなった。
「すみません、魔王様」
「どうしたの、シナ?」
シナは俺を呼んだ。
「もうすぐ夕食の時間ですので、私とミアさんは夕食を作りに行かなければなりません」
「確かに腹減った」
「それでは、失礼します、魔王様」
シナとミアはお辞儀をして部屋を離れた。
俺は人族を倒したいが、前後の考えもなく無鉄砲に行動してはいけない。
……やはり人材が不足だ。もしも諸葛孔明のような人が俺のそばにいて献策してくれたら、いいのになぁ……。
「ご主人様は何を考えていらっしゃいますか?」
ベッドに横たわる俺のそばに来て俺に添い寝するシルディア。
「ああ、将来のことを考えているのだ」
「将来のこと?」
「うん。将来はどうするか?どうやって人族を倒すか?いろいろ考えている……」
「ご主人様、あたしには軍隊を指揮して作戦する才能はありませんが、あたしはご主人様に助言することができます」
シルディアは俺に助言することができると聞いて、ちょっと安心した。
「じゃ、どんな助言だ?言ってみてくれ」
「はい。将来、ご主人様は必然的に人族を支配します。でも、もし人族がご主人様の支配に不満を抱いたら、人族はきっと一揆を起こします」
確かにシルディアの推測はとても道理にかなっている。どうやって人族を支配するかも難題だ。
万が一、人族が一揆を起こしたら、俺の地位はきっとその動乱に影響される。さらに政権が人族に覆される。
そんなことは起こって欲しくない。
「そうだな……」
「ご主人様、あたし一つの提案があります。それは人族と魔族が共存共栄の国を作り上げることです。どうですか?」
人族と魔族が平等に共存共栄する国か……。それなら、人族を満足させられ、地位も維持できる。一石二鳥だ。
「とてもいい。ありがとうな、シルディア」
「いいえ。その、ご主人様、あたしのことをディアと呼んでいただけますか?」
「わかった。じゃ、お前も俺を刀夜と呼んでくれ」
「いいですか?ご主人様の名前を呼んでも……」
「いいよ。お前は俺の彼女だから」
「わかりました。でっ、では、とっ、刀夜さま……」
赤面して俺の名前を呼ぶディア。とても可愛い。
俺はやはりディアを好きになってしまった。
✦✦✦
『とんとんとん』
ドアを叩く音だ。
「誰?」
「私たちです、フレナ様」
ドアを叩くのはシナとミアだ。刀夜に夕食の準備をするとうそをついたのだ。
「入って」
「はい」
シナとミアはドアを開けて入った。
フレナは彼女たちの慌ただしい様子を見て、何があったのか気付いた。
実は、シナとミアはフレナに手配され、刀夜のそばにいて、他の女たちの刀夜に対する言動を監視することを命じられていた。
「どうしたの、お前たち?」
「やばいです、フレナ様」
「魔王様はアイナベラ様とキスしました」
「なっ!?」
このニュースを聞いてびっくりしたフレナ。
「お前たち、詳しく話して」
シナとミアはさっきの魔法授業の經緯をフレナに教えた。
「アイナベラのやつ、魔力を補足するという口実で陛下とキスするなんて……私より先に陛下とキスするなんて……」
妬んで怒ってこぶしを握って足を踏み鳴らすフレナ。
「それにシルディア様も魔王様とキスしました」
フレナはまたびっくりした。
「それはどういうこと?」
「授業が終わった後、シルディア様は魔王様に告白してキスしました」
「そして魔王様はシルディア様の告白を受け入れました、フレナ様」
この二つのことはフレナにとって、明らかに大きな衝撃だ。
刀夜が好きなフレナは魔王の嫁になることを目指しているからだ。
「わかったわ。私、頑張らなければいけない」
それから、フレナたちは計画を立て始めた……。
・面白かった!
・続きを読みたい!
と思ったら、
是非広告の下にある☆☆☆☆☆から、作品への星5つ応援お願いいたします。