【4】魔王、魔法の授業が開始する
いよいよだな、魔法の授業に期待する。
何を教えてくれるか楽しみ。
「お前たち、道案内してくれ」
「はい。それでは、こちらへどうぞ、魔王様」
「わかった」
部屋を出て授業の場所に向かう。
広い階段を上がって三階に着き、右へ曲がって廊下の奥に行くと、両開きの門扉がある。
シナとミアはその門扉を開けて入った。
ここは訓練場みたいなところだ。
アイナベラは訓練場の真ん中に立って俺たちを待っている。
「魔王様」
と、俺にお辞儀をするアイナベラ。
「お待たせ、アイナベラ」
「いえいえ、魔王様、そんなことはありません」
「さあ、早く魔法を教えてくれ」
「はい、魔王様。でも、まず……」
アイナベラは右手を上げて呪文を詠唱する。
「異次元空間への門よ!我が命令に従いたまえ、開けてくれ!【空間収納】発動!」
詠唱すると魔法陣のようなものが現れた。
すげぇと思った。
アイナベラは魔法陣の中から水晶玉みたいなものを取り出した。
「なんだこりゃ、アイナベラ?」
「これは魔法適性と魔力値を測定できる水晶玉です、魔王様」
俺の魔法適性と魔力値は?
と、ワクワクしている。
「この世界には七つの属性があります。それぞれは水・炎・草・風・雷・岩、それと無属性です。この水晶玉の使い方は簡単です。ただ手を水晶玉の上に置けばよいのです」
説明しながら手本を示し、アイナベラが手を水晶玉の上に置くと、水晶玉は赤色と白色の光芒を放った。
さらに水晶玉の中には26377820という数値が現れた。
「赤色の光芒は炎属性を示し、白色なら無属性を示します。すなわち、私には炎属性と無属性、この二つの魔法適性があります。そしてこの水晶玉の中の26377820という数値は、私の魔力値です」
魔力値は二千万なんて……あまりにも高い。
「では、魔王様、試してみてください」
「うん……」
と、少し緊張している。
手を水晶玉の上に置くと、次の瞬間には青色・赤色・緑色・銀色・紫色・金色と白色、七つの色の強烈な光芒を周りに放った。
まぶしい。
目を開けられず、全然直視できない。
この訓練場の全体が水晶玉の放つ光芒に包まれている。
アイナベラはこの光景を見て目を丸くした。
光芒が消えた後、水晶玉の中には530という数値が現れた。
「魔王様にはなんとすべての属性の魔法適性があり、水晶玉があのように反応したのを初めて見ました」
崇拝のような眼差しで俺を見るアイナベラ。
「忘れるな、俺は魔王だぞ。全属性の魔法適性があり、反応が激烈なんて当然だよ」
俺は誇らしげに言った。
「そうですよね。さすが魔王様です!」
しかし正直、俺は全属性の魔法適性があるとは思わなかった。
だけど、この結果を見て嬉しい。
「なぁ、アイナベラ。全属性の魔法適性があるということは信じられないことか?」
「すごいだけではなく、もう無敵です。大部分の人はただ一つだけの魔法適性があり、二つまたは三つの魔法適性がある人はまれです、まして全部の魔法適性があるのは魔王様だけです。だから、魔王様は無敵です」
アイナベラにこう言われてさらに興奮した。
まったく規格外だと思った。
一切は俺の思い通りに進んでいる。
「さて、魔法の授業を始めよう」
「かしこまりました。でも、私には炎属性と無属性の魔法ができるだけですから、他の属性の魔法は……」
「それでも大丈夫。お前が知っている全部を俺に教えてくれ」
「はい、魔王様!では、一番に魔法の基礎を教えます」
「頼む、アイナベラ」
「はい!」
アイナベラはその水晶玉をミアに持たせて授業を始める。
「魔法は七つのレベルがあります。低い順に並べると、初級・中級・高級・王級・聖級・天級・神級です。魔法を発動することは簡単です。ただ、体内の魔力を流れさせて呪文を詠唱するだけです」
呪文を詠唱するか……ちょっと中二だな。
けど、多くの小説中には無詠唱はチートだ。詠唱なしでも魔法を発動できる。
俺は無詠唱に魔法を発動するようになりたい。
「えっと、魔法を発動するには必ず呪文を詠唱する必要があるのか?それとも、詠唱しないでも発動できるのか?」
「詠唱しないでも発動できますよ、魔王様。だが、それには魔法にかなり熟練しないと、できません」
「そうか……」
なんだ、魔法に熟練しなきゃ、無詠唱じゃできないんだ。
なら俺は絶対、魔法に熟練して無詠唱の境地に達す。
「じゃ、どうやって体内の魔力を流れさせるの?」
いきなり、アイナベラは後ろに来て俺の背に近づけた。
「えっ?!」
アイナベラの突然の行為にびっくりした。
やっ、やばい。彼女の胸が俺の背に当たっている。
「失礼しました。驚かせて申し訳ありません、魔王様」
「いっ、いや」
「では……」
アイナベラは目を閉じてさらに胸を近づけた。
恥ずかしく赤面した。
彼女はいったいなにしたいのか?
だしぬけに何かが体内に流れているように感じた。
「これは……」
「これは魔力の流れですよ」
なるほど、アイナベラは俺の体内に魔力を注ぎ、俺の魔力を誘導して流れさせている。力も絶えず湧いてきている。
「私はまず初級魔法【火玉】を教えます」
「うん、お願い」
「先に魔力の流れを手に集中してください、魔王様」
魔力の流れを手に集中してみて、魔法陣が現れた。
「そして、呪文を詠唱してください。呪文は『赤き存在の火よ。我が名において、手に集いて力となれ。我が前にいる敵を撃て。【火玉】発動』です」
「わかった」
アイナベラが言った呪文を俺は詠唱する。
「赤き存在の火よ。我が名において、手に集いて力となれ。我が前にいる敵を撃て。【火玉】発動!」
火は大きい球体になり、高速で飛び出した。
―――「バーン」と、爆発音が響いた。
壁は爆発した【火玉】によって凹んだ。
威力はすげぇ……。
アイナベラも魔法の威力に驚かれた。
自分は魔法発動の成功を見て大喜びした。
できた。俺は魔法をやすやすと習得したぞ。
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