【3】魔王、魔王軍の士気が盛り返す
「はい、ファージェル様。二つの良い知らせとは、一つは援軍が来たこと、もう一つは魔王召喚が成功したことです」
この二つの知らせを聞き、ファージェルは口元に微かな笑みを浮かべた。
「でも、援軍はともかく、魔王召喚が成功したとは……本当か?」
「はい、ファージェル様、本当です」
「まさか成功するとは……」
ファージェルはその事実を聞いて雀躍して、思わず涙を流した。
すでに三ヶ月にわたって苦しい戦いを続け、やっと勝利の曙光を見た。
「魔王召喚が成功したと聞いて、もう撤退するつもりはありません。私はあくまでも奮闘すると決めました、ファージェル様」
撤退しようという考えを捨てるカオズ。
「あぁ!」
ファージェルはとても感動した。
魔王召喚が成功したんだ。
魔王は魔族たちに尊敬されている至上の存在の王、まるで神様のように崇拝されている。
いいや、魔王は魔族たちの神様だと言った方がいい。
魔王は魔族の守護神だ。
ファージェルの悲しい気持ちはもう消えた。かえって、闘志が盛んになった。
絶対に勝利する!勝利を魔王様にささげる!
と、思った。
「援軍を率いる将領は次席騎士クラノ・タル様と三席騎士エフィナ・ミミム様です。それに援軍の兵力は五万人で、私たち本部の兵力を加えたら、約十三万人ですが、ケノス城の兵力は約十万人です。私たちの兵力人数はより多いけれど、ケノス城の防備は非常に堅固です……」
「それなら、どうする、パイレナ?」
「安心してください、ファージェル様。私には計略がありますから」
「さすがパイレナだ。じゃ、どんな計略だ?」
「でも、この計略はちょっと冒険です、ファージェル様……」
「冒険でも大丈夫だ。教えてくれ」
「はい」
ファージェルは期待のまなざしでパイレナを見ている。
パイレナは説明を始めた。
「ケノス城の東西南北、四つの城門はすべて強力に守備されているので、私たちは必ず全兵力を傾けなければなりません、ファージェル様」
「そうか……」
「そして、軍隊を二つの部隊に分けてください。一つの部隊は十万人の兵力、ケノス城の北門を攻めます。もう一つの部隊は三万人の兵力、迂回してケノス城の南門を攻めます」
「んん、ちょっとわかんない……。なぜ軍隊を二つの部隊に分けるか?」
パイレナの計略を納得できないファージェル。
「実は私たち十万人の大軍が全力で北門を攻めたら、ただ北門を守備する人族兵士だけは防ぐことができません。人族は北門を防ぐためにきっと、他の門の兵士を配置換えして北門の守備を援助します。だから、すきをうかがって南門を攻撃できます」
「なるほど、両側からケノス城を挾み撃ちする」
「もちろん、北門を攻落することも簡単です。カオズは毎日、北門に向かって攻めているからです」
「私?」
と、疑惑するカオズ。
「はい。私がカオズを毎日のように攻めさせる目的は人族に死傷を与える以外、またケノス城の堅固な城壁を少しづつ破壊するためですよ」
「そうなんだ。知らなかった」
パイレナの計略は入念に画策してある。目的はゆっくりとケノス城の守備を弱めることだ。
ケノス城の防備は短期的に攻め落とせるものではなく、長期的な攻めで機会をうかがうしかない。
だが長期化すれば必ず多くの魔王軍兵士の命が犠牲となる。実に過酷だ。
「いい方法だね。パイレナの計略を採用する。そして、我はみずから大軍を率いてケノス城に進攻したい」
「ファージェル様がみずから出征したら、士気を鼓舞して完勝を勝ち取れるに違いない」
「我の命令を伝達して。三日後、全軍はケノス城に進攻する。我らは魔王様を失望させてはいけない」
「「はい!」」
この戦役は十二分勝算があると思い、魔王軍の士気は盛り返した。
魔王の召喚に成功したことも、魔王軍の消沈した意気を消えさせ、さらに軍気をいっそう上げた。
絶対ケノス城を攻め落とす、魔王のために。
魔王軍のみなは闘志を燃やした。
✦✦✦
現在、二人の魔族少女が俺を魔王城に案内している。
それに、シルディアも俺につき従っている。
果たして豪華だ。
部屋も廊下も、すべて豪華だ。
目の前の二人の魔族少女はサキュバスだ。
メイド服を着ているが、服装の露出度が高い。眼福の光景だ。
一人の名前はシナ、つややかなオレンジ色の長い髮と澄んだ紫色の瞳をしている。もう一人の名前はミア、愛しい紫髪のツインテールと生き生きと輝く青色の瞳をしている。
外見は俺と歳が近く見えたけど、彼女たちの実際の年齢は俺よりかなり年上だろう。
彼女たちはフレナに手配されて、専属メイドとして俺に奉仕してくれた。
俺に奉仕するには……エッチな奉仕もできるの?
早く童貞を卒業したいな。
シナとミアとセックスする情景を想像すると、顔が赤くなった。
「ここは魔王様の寝室です」
寝室の中に入った。
こりゃ俺の部屋か……。
他の部屋より広くて豪華すぎる。
俺のためにこんな部屋を準備した。……まあ、俺は魔王だから。
魔王なんて最高だ。
ベッドに横たわってゴロゴロしてみると気持ちいい。
このベッドは柔らかくて大きい、十人が一緒に寝ても問題ない。
「その、魔王様。もうすぐ魔法の授業時間になります」
魔法の授業時間になると聞いて興奮してしまい、起きて立ち上がった。
「わかった。さっさと行こう」
魔法ができたい。
小説のようにチートのような存在になりたい。
そして、魔族のために人族に復讐する。
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