【10】魔王、ハーレム作りを受け取る
「おっ、お前、さっき何といった?」
「ハーレムを作りましょう。どうですか、刀夜様?」
「ハっ、ハーレム?!」
「はい、ハーレムです」
「えええっー!?」
ディアの発案をとても恥ずかしく感じた。
冗談だろう、と思ったけど……ディアの目つきを見ると彼女は本気のようだ。
ハーレムを作るとは、数多くの女性たちに囲まれて、彼女たちの愛を独占することだ。しかし、俺にハーレムを作らせるなんて理由が全然わからない。
「なっ、なぜ?」
「なぜなら、彼女たちも刀夜様が好きなようです。それに、あたしも刀夜様を一人占めしたくないのです。ですから刀夜様、ハーレムを作りましょう」
聞けば聞くほど、耳が熱を帯びた。でも、わからない所がある。
「おっ、お前は彼女たちも俺が好きなようだって。彼女たちって誰?」
「はい、ティリアさん、フレナさんとアイナベラさんです」
えっ!彼女たちも俺が好き?!
と、まったく驚いた。
前にディアもアイナベラも俺が好きだと言ったことがあるけど、フレナとティリアも俺が好きだなんて思わなかった。
そして、俺を一人占めしたくないと言って……つまり―――共有。
ディアたち四人に愛されて囲まれるのを想像して、顔を赤らめた。
でも、落ち着いてよく考えると、ハーレムを作るのは悪くないんだ。ハーレムに溺れるのはほとんどの男性の憧れだから。
「……わかった、ハーレムを作ろう」
「本当ですか?」
俺は頷いた。それ故に、ディアは嬉しく可愛く微笑んだ。
「……っ」
だが、ディアの笑顔を見て、そして彼女が突然にハーレムを作りましょうと言ったことを思い出してよく考えると、彼女には何か企みがあるみたいだ。
……まあ、まず静観しよう。
「もう遅いから、俺は寝る。お前も早く自分の部屋に戻って休んでくれ」
「刀夜様とあたしは同じ部屋ですよ」
「えっ?同じ部屋!?」
ディアと同室なんて、聞いていない。
「はい、刀夜様とあたしはカップルですから。もしかして刀夜様はあたしと寝ることが嫌いですか?」
と、泣きそうな表情を浮かべるディア。
「わっ、わかった、一緒に寝よう」
「やりました!やっぱり刀夜様が大好きです」
「……っ」
苦笑するしかなかった。
「では、おやすみなさい、刀夜様」
「うん、おやすみ」
横になって目を閉じた。ディアもろうそくを消してから、俺のそばに横になった。けど、彼女はいきなり俺の左腕に抱きついてきた。
こりゃちょっと……。
ディアは小柄だが、結構胸がある。
「あの、刀夜様、やりませんか?」
俺の耳元でささやいたディア。
「んっ?なにを?」
「エッチなことです」
「やっ、やらない!」
「ええっー、なぜですか?」
ディアは俺の答えを聞くと、落ち込んだような表情をした。
「……もしかしてあたしには女としての魅力がないのですか、刀夜様?」
「いっ、いや、そんなことはない。俺はただもう疲れて寝たいだけだ」
実は断る原因が二つある。一つは確かに疲れて寝たいけど、もう一つは付き合う初日にやるとは、進み具合が早すぎると思うからだ。
でも正直、俺の本音はやりたいけど……。
「かしこまりました……」
ディアが落ち込む様子を見て、ちょっと申し訳なく思った。
彼女はおそらく愛を確かめ合うため、そう言ったのだろう。
「今は性欲はないけど、性欲があったら絶対やる。いいか?」
「それでは、約束しますよ、刀夜様」
「うん、約束」
お互いに約束をしてから、ディアは俺の腕に抱きついたまま寝た。
エッチを約束するなんて初めてだけど、ディアの可愛い寝顔を見て俺は安心した。
再び目を閉じたが……疲れて寝たいけど、俺は眠れない。
多分抱かれて寝ることに慣れないのだろう。
にわかに、ディアはきつく俺の腕を抱きしめた。
おっ、おっぱいが……。
「愛しています、刀夜様」
と、寝言を言うディア。
彼女の寝言は俺を赤面させた。
こんな状態では全然眠れない!
✦✦✦
夜は明けて、もう朝になった。
けど、誰かが俺の体を揺すっている。
「起きてください、刀夜様」
この声はディアだ。
もう朝なのか?まだ寝続けたい……。
「あと十分寝させてよ」
「ダメです」
「じゃ、五分……」
「十分でも五分でもダメです!このあと重要な朝会がありますから。刀夜様が起きないのであれば悪戯してしまいますよ」
「……っ」
どうやら、起きないといけないようだ。俺はディアに悪戯されたくない。
起きて背伸びしてあくびをした。まだ眠い……。
昨夜はちっとも眠れなかった。
「おはようございます、刀夜様」
「おはよう、ディア」
ベッドから立ち上がった。
「おはようございます、魔王様」
「おはようございます、魔王様」
「おはよう、ミア、シナ」
ミアとシナも俺の部屋にいた。
「私たちは魔王様のお着替えを手伝わせていただきます」
「着替えるなんて俺一人で十分だよ」
「ダメです。これは私たちの仕事です」
「……じゃ、着替えさせてくれ」
恥ずかしいが、こりゃ彼女たちの仕事である以上、しょうがない。
「「はい!」」
鏡の前に行って立ち、ミアとシナも近づいてきて、俺が着ているパジャマのボタンを外し始めた。
眠たい……。
俺は立ちながらうとうとした。
そして間もなく、着替えが終わった。
「はい、着替えは終わりました、魔王様」
目を開けて前の鏡を見て……これが俺?
ヨーロッパ風の黒い華麗な宮廷服装、肩に黒いコートをかけられている、それに俺の黒髪赤瞳。
人に冷酷さを感じさせるかもしれないが、かっこよく感じた。
「刀夜様はかっこいいです」
「私も魔王様がかっこいいと存じます」
「私もそう存じます」
彼女たちに褒められて嬉しくなり、眠気も消えた。
それから、歯を磨き顔も洗った。食堂に行ってみなに挨拶し、朝ごはんを食べた。
あとは重要な朝会だ。全部の大臣が出席するって、ちょっとドキドキした。
門が開いてディアと宮殿の中に行った。レッドカーペットの両側にはすべての大臣が頭を下げ跪いている。
王座に座ってディアも座った。
「お前たち、立ち上がれ」
それで重要な朝会が始まった。
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