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女の子たちの話  作者: なす
9/16

最初の日4

「ねえ加奈、私も同じような経験があるんだ」

「どんな感じだったの?」

「んー。男の人と付き合ってみて、体触られて無理ってなったみたいな?」

「真紀、彼氏いたことあったんだ」

「中学の時、高校生とちょっとね。すぐ別れたよ」


意外だった。中学のころから、真紀が彼氏がいたというのを聞いたことはない。本当に誰にも言わずに隠していたんだろう。一呼吸ついて、真紀が言葉を続ける。


「それでね、私思ったんだ。もしかして男の人だからダメなんじゃないかなって」

「どういうこと?」

「つまりね、男の人って目とかが基本的に嫌らしいじゃん。そういう印象が積み重なって、男の人がダメになっちゃったんじゃないかなって」


考えてみる。ありそうな話だった。生理的な嫌悪感がずっと積み重なってきて、その感覚のまま触られるのが無理になった。だとしたら、解決策なんてあるのだろうか。


みると、真紀が珍しく緊張した顔をしている。体がこわばって、顔が下に向いていた。

でも、それは一瞬だった。次の瞬間、真紀は私の方に体を運び、ゆっくりと手を重ねた。

真紀のきれいな顔が、私の目の前にきた。訳も分からぬまま、ゆっくりと押し倒される。


私は脳が真っ白になり、それでもこれから何が行われるのか察しがついた。

こんなときでも、意外と人間は冷静なのだ。


上気した真紀の呼吸が、耳をかすめる。


「それでね」

「うん」

「だから、加奈も同じようなことで悩んでるんだったら、女の子同士で試しにやってみるのはどうかなって。男の人がダメなのか、こういうの全部ダメなのかくらいは分かるじゃん」

「そうだね」


そうだねと言いながら、私は事態が飲み込めていなかった。

真紀とやる?なんで?試しに?


「大丈夫。加奈がいいって言うまで私はやらないし、加奈が嫌っていったら途中でだって絶対やめる」

「うん」


声にならない掠れた声が喉を通る。近くで見ても、真紀の顔はきれいだ。

中学一年で同じクラスになったときから、私は真紀のことを知っている。

あの頃からずっと、真紀は聡明で小器用で、そして蠱惑的だった。

こういう子は人生をうまく渡っていくんだろうな。女の子社会のルールを必死に学んでいた当時の私は、そんな風に思っていた。

その真紀が、私に覆いかぶさって同意を求めている。


「だから加奈、答えて。いま、私とやるかどうか」


私は答えをひねり出した。だって真紀がどういう人間なのか、私は知りたかったから。

その答えの先には、この子との時間が待っているはずだった。

多分、憧れてたんだ。ずっと。





そこから先はもうめちゃくちゃだった。

初めてって絶対嘘じゃん。いろいろなことをされながら、そればっかりが頭に回っていた。

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