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女の子たちの話  作者: なす
7/16

最初の日2

うたたねをして目を覚ます。

まだ昼前だ。夏休みの午前の過ごし方として、二度寝は悪くない。

とはいえ、生活リズムを崩さないように気を付けていたので、少し失敗した気分になった。


LINEを返さなきゃ。

クラスのグループLINEは和を乱さないように迅速に。それが基本だ。


「私にはちょっと早かったみたい」


適当なスタンプを加える。

クラスのみんなからいろいろな反応が返ってきて、根掘り葉掘り聞かれた。

隠しても仕方ないので、初デートの後に別れたことを説明した。

嫌悪感のことは書かず、なんか違ったとだけ理由をつけて。


ほめられた行動でもないけど、クラスにあの男を好きな女子はいないのでそれほど問題にもならないだろう。

そこに確信を持っていたからこそ付き合っていたのだ。


めんどくさいなあ。一連の流れが全部めんどくさい。

恋愛の持論を語り始めるクラスメイトを適当に流しながら、ベッドにあおむけで倒れこんだ。


そのとき、個別の連絡がきた。

真紀からだった。


「葉山君とのことで話したいことあるんだけど、ちょっと今日会えない?」


あの男のことで真紀が話がある?

それは異常な違和感だった。

一瞬、真紀があいつのことを好きだったのかと頭をよぎる。

それは絶対にない。真紀は考えが読みづらく、誰のことを好きなのかは知らない。

それでも、あいつは真紀の興味の対象になるほど大した人間じゃない。

中学のころから、いくらでも寄ってくる男たちを、華麗にそして女子の嫉妬も買わないようにかわし続けたのが真紀だ。

今更あんな男に惹かれるとは思えなかった。

もう一度スマホがなって、真紀からのLINEが届く。


「同じような経験あって、ちょっと相談してみたいんだ。ごめんね急に」


なるほど。断りにくいなあ。

同じような経験、ほんとだろうか。

真紀は考えが読みにくい。それでも、恋愛に関して普通ではないのは確かだった。

どんな顔のいい男からの告白も、悩む素振りすら見せずに断り続けたのだ。あの子について、どこか整合性が取れないという気持ちはずっとあった。

共有できる悩みを話したいというのなら、クラスの中で距離感があまり近くない私と会いたがるのも納得がいく。


真紀も見えないところで意外と苦労してるのかな。このときの私は、呑気にそんなことを考えていた。

もともと、断るという選択肢はない。クラスの中心人物の恋愛相談だ。

真紀はいじめなんかをするタイプではないけど、繊細な内容だけに万が一ということもある。

それにとても頭のいい真紀のことが、それを人を傷つける方向に利用しない真紀のことが、私は結構好きだった。


「いいよ、どこで会う?」

「ありがと!よかったらうちで話そ?今日親いないから、一緒に昼ご飯食べながら!」


お母さんに昼ご飯が要らないことを伝え、外出の準備を始めた。

初めてだな、真紀と二人で話すの。

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