2.警鐘
熊谷家。
小百合の寝室で目を覚ます僕。
部屋を出ると、僕はリビングに移動した。
「おはようございます、アラン様」
と、小百合の母親が台所で料理をしながら言った。
この母親には、昨日帰ってきたときに分裂させた細胞を植え付けておいた。
「小百合でいいって言ったじゃん」
「ですが、アラン様は私のご主人様です」
「そう。別にいいけど」
僕は席に腰掛けた。
母親が朝食を持ってくる。
僕は朝食を小百合の体内へと取り入れた。
「ごちそうさま」
食事を終えた僕は、カバンを手に玄関に移動する。
「行ってらっしゃいませ」
僕は母親に見送られて家を出た。
高校に着き、下駄箱の前で靴を上履きに履き替え、教室に向かう。
教室の前にやってくると、僕は扉を開けて中に入った。
クラスメイトたちが、僕に挨拶をする。
僕は挨拶を返しつつ席に腰掛ける。
こいつらも、後で支配しておくか。
チャイムと同時に、教師が入ってくる。
「ホームルーム始めるぞー。席に着けー」
クラスメイトが席に着く。
教師が出席確認をする。
僕はそれを聞き流し、ホームルームの終わりを待つ。
やがてホームルームが終わり、一限の授業が始まった。
退屈な授業が終わると、僕は次の授業の準備をする。
定刻通り、二限も始まる。
やがて全ての授業を終え、放課後になる。
僕は支度をすると、帰路に就いた。
クラスメイトを支配するのを忘れていた。ま……いいか。
家に着き、部屋へ直行すると、僕は私服に着替えた。
プルルルル、とスマホが鳴る。
「はい」
応答する僕。相手は小百合のクラスメイトの吉川 雄介だった。
雄介は明後日の日曜日に映画へ行こうと誘ってきた。
これは雄介を支配するまたとないチャンス。
僕は、「いいよ」と、答えた。
「じゃあ、駅前で十時に待ち合わせしよう」
「うん」
電話が切れる。
僕はスマホを机に置き、ベッドに横たわる。
「ん?」
バルコニーに気配を感じて振り返る。
そこには一匹の黒猫がいた。
僕は起き上がると、戸を開けた。
黒猫が部屋に入ってくる。
「侵略活動は進んでいるのか?」
黒猫は僕の母星の言葉でそう訊ねる。
「まあ、なんとか」
「そうか。それなら安心した」
「用はそれだけじゃないよね?」
「んあ? あ……敵対しているアニマル星人が地球に向かっているとの情報を得た。それを伝えにきたんだ」
「アニマル星人……」
「やつは我々が生命体に植え付けた細胞ごとDNAを書き換えて戦士に変える。気をつけろ」
黒猫はそう言って、バルコニーに出ると、手すりを乗り越えて去っていく。
アニマル戦士、か。