表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

1.地球はアランのもの

 僕は地球外から来たアメーバのアラン。あらゆる生物の細胞に入り込み、その体を支配することができる。

 僕が地球に来た目的。それは征服である。

 僕は今、寄生する生物を探して、地上を彷徨さまよっている。

「あら?」

 人間の、それも端正な顔立ちをした高校生くらいの女の子が僕に気づく。

「アメーバじゃん」

 しめしめと思った僕は、その女の子に飛びかかった。

「きゃ!」

 びっくりした女の子はバランスを崩して尻餅をついた。

 女の子に細胞に入り込み、その体を支配する。

 僕は女の子の両手を目の前で動かす。

 乗っ取りは成功したようだ。

 僕は立ち上がり、行くあてもなく街を彷徨う。

「お腹空いたなー」

 女の子のお腹が鳴る。

 僕は美味しそうな香に気付き、それを発している店に入った。

「いらっしゃい」

 僕は席に着き、メニューを見る。

「すいません、カレーを」

「カレーね」

 店員がほかほかのカレーライスを僕の前に置く。

 僕はスプーンでカレーを食べる。

 地球の食べ物はなんて美味しいのだろう。

 カレーをよく味わい、やがて食べ尽くす。

 僕はお金を払い、店を出た。

「さて」

 僕は女の子の記憶を読む。

 どうやら、女の子は警察署へ向かうところだったようだ。

 僕は警察署に向かって歩き出した。

 警察署に着き、中へと入る。

 女の子が以前、遺失物届を出しており、その遺失物が見つかったという連絡があったので、会計課へと足を運ぶ。

 僕は職員が用意した書類に女の子の名前と住所を記入し、身分証を提示した。

 熊谷くまがい 小百合さゆり。それが女の子の名前だ。

「見つかってよかったですね」

 と、職員がいうと同時に、落とし物が返還される。

 せっかくだ。この警察署を占拠しとこう。

 僕は自分の細胞を分裂させ、小百合の体内に残してその体から外に出る。そうすることで、小百合を支配したまま、他の生命に寄生することもできるようになるのだ。

「ちょっと君?」

 受付の職員が僕に気づいて、こちらへやってくる。

「このアメーバはなんだい?」

 小百合が振り返る。

「私のご主人様です」

「ご主人様?」

 僕は職員に飛びかかる。

「うわ!」

 咄嗟にかわす職員。

 騒ぎを聞きつけて、他の職員たちや警察官が集まってくる。

 僕は、とんでもないものを敵にしてしまったらしい、と今更ながらに後悔する。

「抵抗しても無駄だ!」

 警察官が小百合を取り押さえる。僕には目もくれず。

「あれ?」

「アラン様!」

 取り押さえられた小百合が叫びながら取調室へと連行されていく。

 僕は小百合を追い、ドアの隙間から取調室の中に入った。

 刑事が小百合の取調をしている。

 僕は小百合の正面の刑事に入り込んだ。

「え?」

 刑事は驚くと力を失って机に伏す。

「小杉さん?」

 横に立っていた別の刑事が僕を心配そうに見る。

「いや、すまない。連日の捜査で寝不足だったもので」

 僕は適当に誤魔化した。

「小杉さん、寝ずに捜査してましたもんね」

 立ち上がった小百合が刑事を後ろから羽交い締めにする。

「ちょ!? なにするんだ!?」

 僕は小杉に分裂させた細胞を残し、羽交い締めにされている刑事に乗り移った。

 小百合が僕の体を解放する。

 そこへ、隣の部屋で様子を見ていた別の二人の刑事がやってくる。

「おい! 中に入ったやつ、出てこい!」

「小杉」

「はい、アラン様」

 小杉刑事が二人を殴りつけて気絶させた。

 僕は二人にも分裂させた細胞を植え付け、支配下に置いた。

 同じ作業を僕は何度も繰り返し、ついには警察署内の警察官と職員全員を支配下に置くことに成功した。

 これで市内の警察官は僕の思い通りに動かせる。

 僕は小百合を呼び出し、その体にもう一度入り込み、熊谷家へと歩き出すのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ