#3
「それで、次元貫通装置を最大威力で発動して…」
それは、ファーレさんが帰って来れた経緯を身振りも交えて語っていた時だった。
ばちり、と、嫌な音が鳴って、店の中が、真っ暗になった。
窓際の席には微かに外の光が差し込んでいるのが見えたが、私たちが座っているテーブルはあいにくと窓は近くになく、ほとんど何も見えない。
「ルナ、復旧」
「はい」
滑らかにやりとりは行われ、次いで暗闇にキラキラとした線が生み出される。
最初はただの円だったその線は、ルナリィの指が走るたび、その軌跡を表すように付け加えられて行って。
やがて、ぱ、と、何事も無かったように灯りがついて。
「うん、やっぱりルナは上手いわね」
「ありがとうございます」
懐かしいわ、とリアねぇは目を細めて、ルナリィの月色の髪をさらさらと撫でる。
「リア様に褒めていただけるなんて…しあわせ…」
とろりと顔を蕩けさせて、ルナリィは幸せに浸っていた。
…うん、あれだな。ルナリィは忠犬タイプなんだな。
***
「さて。レレは帰って来たし、ここはちょっとトラブルが多いみたいだし」
一旦日本で息抜きしましょうか、とリアねぇは微笑む。
「日本!懐かしいであります!」
「あれ、レレさんは日本に来た事あるの?」
「うん!あそこは文化が発展していて、良いインスピレーションを沢山もらったんだ!であります!」
「私は行った事が無いので、とても楽しみです」
「ふふっ、じゃあ行きましょうか――」
お読みいただきありがとうございました。
ファーレは会議の結果、末の妹として扱われる事になります。失踪前は契約もしていませんでしたし、関係を結び直した感じですね。